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12. 到着! 口は災いの元

二人はあれから歩き街にたどり着いた。それは相模が初めて訪れた村とは規模の違うものだった。


「やっと着いた!」

「思ったより荒れた道中だった」

「……盗みとかしなければ直ぐに着いただろうに」

「だが寄り道で収穫があった。今後の資金源になるのは間違いなしだ」

「果たして幾らかな?」


二人は大通りに通ずる門をさけ脇の道から入った。持ち込むものが魔獣の残骸だからだ。


「あそこで換金できたはすだ」


フランが指さしたのはパッと目普通の建物。たが相模には建物から出た人物皆強そうに見えた。


「重そうな武器持ってたり逆に身のこなしが軽やかそうだったり……敵わなさそう」

「怖気ついたか?だがものは試しだ」


二人は建物に入る。中には受付を含め誰もいなかった。


「どうするの?」

「『御用件のある方はこちらを押してください』?……」


フランがボタンを押すと修道女のような服装の少女の映像がホログラムの様に浮かび上がった。


「御用件は何でしょう?」

「凄いSFチック……」

「魔物を倒した。報奨金に変えたい」

「では身分証を提示してください」


フランはカード状のものをかざした。


「あれ……有効期限の切れていますね」

「何!」

「ということは依頼を受注してもいませんね。今は受注してから期限内に倒したものでないと換金も無理です」

「そ、それは何故?」


受付嬢は呆れた顔で答えた。


「知識が昔のまま止まってるのですか?前に金欲しさから魔獣を養殖した馬鹿のせいです」

「養殖できるのアレ?」

「何の利点があるというのだ……」

「探す手間が省け安定して倒せると考えたとか。結果は魔獣の集団脱走で街一つが滅びる惨事でしたが」

「はあ……」


フランは今まで見せたことのない表情をしている。想像を絶する馬鹿の行動は想定外だったようだ。


「ではお引き取りを」

「そんな馬鹿な……」


二人は途方に暮れそうになった瞬間。怒鳴り声が響いた。


「うっさい!今副業中!もう一度溶かして試験管からやり直させようか!」

「「!?」」


二人は驚いて受付を見る。その視線に気が付いたらのか少女も顔が青ざめていく。


「え……声聞こえてましたか?」

「うん」

「『溶かして試験管から』と」

「こ、交信切り忘れた……」


辺りはとても気まずい雰囲気になる。


「こちらの手続き不備という形で報奨金を渡しますので先ほどのことは忘れてくれませんか?」

「別に構わないけど」

「良かった。この仕事副業禁止なんです」

「え?そっち?溶かしてとかの方かと」


相模は混乱している。


「そっちは問題ありません。エフの合成獣は合法です」

「エフ?」

「私の名前です」

「聞いたことがあるような……」


フランは何か思い当たることがあったようで考え込んだ。


「ついでにフランの身分証も新しくできる?」

「それは役所でお願いします」

「役所か……どんなとこだろ?」

「では計測するのでそこの石像前に置いてください」


二人は言われた通りに置くと石像が動き出し天秤で器用に計測を始めた。


「これが魔法の世界のオートメーション」

「中々の術師……そうか!思い出した。自動人形の先駆者か」

「知っていましたか」

「引き篭もりを拗らせた変人と聞いていたがこんなに若いとは……てっきり男かと」

「……」


気まずい雰囲気を察した相模は話題を無理やり切り替えた。


「今後も世話になるんだよね?よろしく」

「そうだ。よろしく頼む」

「今後とも御贔屓に」


それから少し経ち計測が進む。途中からエフは目に見えて顔が青ざめていった。


「い、一体何体倒したんですか?こんなの魔物の群れを壊滅させないと無理ですよ」

「ああ、群れは壊滅した」

「幾らに……なる?……の!?」

「これは期待できそうだ」

「そんな……話が違いますよ……」

「討伐依頼の利鞘は大きいはず。違うかな?」

「何故それを……」

「それにこの取引は信用が絡む。貴女自ら提示した条件を踏み倒すようでは心がない」

(エフ)が……ハヒュー……不履行なんて……ゴホゴホ……口約束でも……必ず……必ずや……」


エフが何かを指示した。


「ウウウ………」

「大変だ。閣下が」


遂にエフは想定外の出費に胸を抑えて倒れ込みそのままホログラムもフレームアウトした。周りにいた誰かが運び出そうとしている。


「サガミ、寄り道の甲斐があったな」

「死にかけたけどね」

(エフ)も今死にかけよ!よりによって高難易度と言われる魔獣ばかり……」


話は聞こえていたようで最期の力を振り絞ったエフの声がか細く流れていった。そして奥から石像が鞄を持ってやってきたがそのカバンはパンパンに膨れている。


「字が書かれてる?」


ーー持ってけ泥棒!


「踏み倒さないとは律儀だ」

「自尊心と損益の天秤で壊れたけど……」

「しばらくしたら治るさ。では宿を探そうか」


二人は建物を後にした。

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