第7話
人は何故、争うのか、話し合いで解決出来ないのであろうか! 遥か遥か昔、戦い争う事なく話し合いで国々をひとつにまとめ上げた国家があったと言う。
真田は久しぶりに福原の地下シェルターに戻ってきた。
全てはここから始まった。今は全権限を江口亮介に任せて彼は自由奔放にこの国の行き先を模索中である。
「江口、お疲れだなっ!」
「お前こそ! 元気でなによりだ!」
「首都福原の進み具合はどうだ?」
「神戸港と地下シェルターの直通ルートを今、着工中で、神戸港沖の海洋研究所及び海洋施設も相模湾と東京湾同様に着工している! 未来都市の構築も着々と進めている所だよ」
「いよいよ潜水艦の充電供給システムを全国に配備する準備段階に入ったんだな。」
「先の大東亜戦争でこの国の先人達はエネルギー問題の為に戦い尊い命を奪われたと言っても過言ではない、この国の為に戦い散っていった者達の命を無駄にしてきた先の政府の様になっては断じてならない!」
「江口はいつもストイックだからな、たまには理沙と会っているのか?」
「今日の夕方、理沙が手料理を振る舞うらしいからお前の為に!」
「親父が二人いるからな! 一人はくそ真面目で笑いが少ない男、もう一人はいつも女の子を見つけては話しかける男」
「お前の真似をしているだけだよ! 俺より真面目で努力家で勉強熱心なくせになっ」
「それを知っているのはお前位だけどな」
「アイリも知っているぞ! 聞かれたから、お前の性格を言った事がある」
「いらぬ事を! 笑 まぁアイリには真武蔵の艦長だけでなく、伊賀忍術潜団の総長の役目も押し付けているから一時期はかなりの重圧を彼女は背負っていたのだろうから! ありがとなあいつの相談相手になってくれて!」
「そんな昔の話じゃなく最近だがなっ!」
「いやでも感謝してるよいつも江口には!」
「感謝ついでに理沙の事も気に懸けてやってくれ! 忙しくてなかなか家にも帰れないから!」
「わかった! 理沙にこれから先の夢やあいつがやりたい仕事など聞いてみるよ!」
「そうしてやってくれ、俺はなかなか聞けなくて!」
「それとこの国を昔の緑豊かな国に戻したいのだがどうすれよい?」
「何故?」
「遥か昔のもっと昔のまだ日の本を名乗る前のこの国の神はいつも木を植えなさいと人々に伝えたと聞いたのでな。」
「木を植えれば林になり森になりやがて鳥が住み草木が芽吹き雨を降らし水が豊かで食物連鎖が絶えない肥沃な大地でまた食物を作る事が出来る様になる」
「俺が言ってるのはそう言う所だよ! 思いつきの様に話すが実はかなり陰で勉強している所だよ!」
「恥ずかしいからやめろ!」
「そー言えば理沙は山登りが好きで最近よくハイキングに言っていると電話で話していたな」
「俺の影響かな? 海の生活になっているから山の話をしてくれるんだよ! 理沙に電話するとそれが不思議でな、行ったこともない所の山の話をしてくれるんだが、何故か目を瞑ると瞼にそれが浮かぶ様な感覚になるんだよ」
「一度お前もゆっくり理沙の山の話に耳を傾けてやれよ」
「わかった! ありがとないつもあの娘を気に懸けてくれて、忙しくてついつい後回しにしてしまってて、でもちゃんとお前が理沙のフォローしてくれていたんだな」
「俺の娘だと言ってるだろ! 笑」
「わかった! わかった! 笑」
「それでは今夜、俺の家に集合だ!」
「了解だ!」
江口幕僚長は全国の植樹のエキスパートを官邸に呼び寄せ全国森林倍増計画の立案を打診した。
「この国がこの先百年千年草木が豊かで綺麗な水が豊富に流れる国を存続できる様な環境と自然の必要性をこの国に住まう人々に今一度その考えを植えつける計画をみんなで考えて欲しいと思う!」
「分かりましたそれでは意見交換の後、報告書をお送り致します」
「宜しく頼みます」
「今から海洋施設の着工進行状況を見に行くのだが皆さん見学しませんか? この国の未来が明るい事がわかりますから!」
「それでは皆さん行きましょう!」
2
上杉アイリは南樺太の鉄壁の要塞を築くべく現地にいた。
[みんな疲れている所を申し訳ないが皆に紹介する。前田部隊直属の山下隊長である! 敬礼! ]
「初めまして穴掘りの山下と言います! よろしくおねがいします! 私がここにいると言う事はこの南樺太からロシア領である北側樺太の下に穴を掘り地下シェルターを造りつつ北側を徐々占領する作戦を遂行する為に呼ばれました。皆さん疲れてるとは思いますが、部隊を増大する計画もありますので期待して下さい!」
[そして真田総司令から伝言としてこの樺太を緑ある豊かで肥沃の大地にして大切に発展させて欲しいとの事なので、木の植樹の専門家も来てもらっている。色々な発想があるものは随時木下に発言する様にしてくれ! 以上だ。]
「上杉艦長、わからない事は直ぐ聞くタイプなのでよろしくお願いします!」
「あははっ! 私もこの樺太は来たばかりだから解らん! なんとか二人で穴掘りを頑張ろうではないか! その内、真田さんもひょっこり姿を見せるだろう!」
「樺太の地質は今調査中ですが恐らくかなり掘っても大丈夫だと思います! 潜水艇ドックと直通するのも恐らく大丈夫だと思います。」
「任せなさい! この国には世界一と言われている掘削機が山ほどあるからもうじきそれも届くので」
「前の政府は承認、承認とうるさいから全然話が進まなかったけれど新幕府体制になってから幕僚長の一言で話がすすむ」
「国民はそれだけ政府がしてきた愚かな政治をまの辺りにし、少子化対策も放ったらかし今の超高齢化社会にしてそれでもまだ責任を国民に押し付けた! そんな国家はもう要らない! 共産党の一党独裁政治も要らない! 必要な物は人間性を重視した助け合いの心だよ! それがあれば人は争わない! 良く思っていない人にも忍耐強く伝えれば血を流す争いは最小限になると私は信じている。だが軍人である以上闘いとなった時点で生き残る道を模索し生き残る事を諦めない! 生きていればまたやり直しがきく」
「上杉艦長に同感です! いずれロシアは樺太を取り返しに来るでしょうし、アメリカも今の日本の行動をずっと見逃すわけはないのだから、今の間にやれる事をしっかりやらないとまたアメリカの占領国家に戻ってしまうかもしれないから」
「もうアメリカとは戦争する事はないと思うがこの国に手を出したらえらい事になると思われる国に今度こそしなければならないのだ。これは真田総司令の言葉なんだけれど、いつも心に留めている言葉だ」
「私も覚えておきます! それでは準備に取り掛かります!」
「お願いします!」
[VERYです! 真田艦長]
[どうした! 北京を統括しているアメリカAIが何者かに占拠され北京周辺地域が独立国を宣言したとアメリカ側から伝えて来ました]
[情報を集めてくれ! これはアメリカの自作自演の可能性と反乱協力の可能性もあるから内密に捜査せよ! ]
[了解しました]
[アメリカは日本の今の軍事力を疑っているはずだからなんとか日本の力を表に引き出したいのかもしれない! 今、最新鋭の軍事機密をまだアメリカさんには知られたくないので、VERYなんとか頑張ってくれ]
[Queenも借りてよいですか? 上杉艦長には先程報告しましたので]
[了解だ! こちらもいつでも出動できる手筈は整えておく! ]
[それではまた報告します]