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漆黒のEDGE Ⅱ RISING  作者: 三谷 章吾
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第四話

択捉島(えとろふとう)国後島(くなしりとう)には極秘に地下施設と地下トンネルがロシアからの奪還後に前田の指示の元、急遽進められほぼ完成と同時のこの作戦であった。

国後と択捉を結ぶトンネルには厳重な擁壁があり、敵の侵入を防ぐあらゆる仕掛けが施されてある。

「択捉島が占拠されるのを想定し、国後島にほぼ全ての兵器、施設を移して置いています。択捉島の一般人も国後の地下施設に移動済みです」

「手際よさは更に磨かれてるなっ!」

「ほとんど趣味見たいなもので、想定して想像し、可能性のあるものを残し、不可能なものを消去法で消してゆき、今の最大限を引き出すだけです。」

「上海の調略もギリギリの線を攻めてたと聞いている」

「あれは皆がよくやってくれましたから、何回敵、味方を行ったり来たりしたか事か! 笑笑」

「次はどう出る!?」

「ロシア軍に占拠された択捉島を海上から我が軍が取り戻そうと(こころ)みて交戦状態に持ち込み、海岸沿いにロシア上陸部隊を寄せ付けます。その後、地下シェルターを開け、ロシアを挟み撃ちにする作戦です。」

「ここはお前に任せた、俺は上杉艦長と合流して海からの作戦に同行する。」

「了解しました。」

「と言う事で上杉艦長! 潜水艇をこちらへ向かわせてくれ!」

「了解しました。」

 樺太から択捉島に上陸したロシア軍は慎重に警戒体制で択捉の中心に進軍していた。とうぜん前田はロシア軍の動きを把握し、ロシア兵部隊に択捉を占領したと思わせる為にあえて砲撃を上陸地点にのみに集中させていた。

 「上杉艦長! 只今戻りました。」

「ご苦労様です、真田さん! 樺太の様子は?」

「快適なツーリングだったよ! 笑。一段落したら北海道の真っ直ぐな道をバイクでツーリングしないか?」

「一段落したら行きましょうね!」

「前田の部下が急ピッチで樺太の南上陸地点から中心部に向かって道路拡張を行いながら、新たに海岸沿いに空港を作る準備に取り掛かっている。」

「簡易の空港はどれくらいで完成ですか?」

「3日もあれば使えるはずだが! どうするんだ?」

「まぁまかせてくださいよ。とっておきの物、持っていきますから!」

「上杉艦長、真武蔵の出番はあるのか?」

「ありますよ! 笑笑」

「武蔵は全方位攻撃艦ですよ!」

「武蔵が出なくとも充分戦力は上回ってると思って」

「真武蔵も真大和と同じでグレードアップしないといけない部分があるからその部分をまた後で説明する」

2

真田幸貞が上杉アイリと行動を共にしている頃、真大和のAI、VERYは真大和の攻撃力と防御力を高める為、単独で呉港の潜水艦ドッグにいた。真田が戻った時に驚いて貰う為に、真田には極秘で動いていた。

[VERYですが、連絡してくれと言われましたので、連絡した次第です]

「東京地下研究所のものですが、VERYさんにはこれから動かして頂きたい機体があります。データ送ります」

[また尖った形の艦ですね]

「最新鋭、空海型潜水翼機、伊#700です。」

[これはまさか! ]

「最終段階で試験運用中の小型核融合炉を搭載しています。融合炉から発充電循環装置にどれだけのレスポンスと、どれだけのストレスをかけれるかを試して欲しいのです。」

[真大和、真武蔵はあらかじめ現熱核炉部分を切り離せる構造になっているのは融合炉に入れ替え可能にするためです]

「緊急時の原子炉のシャットダウンを想定して造られた構造になっていますが、核融合の小型化に成功した時のための載せ替えも考慮に入れていると判断します」

[やはりこの艦は我ながら凄いと思います]

「ところでVERYさん内の弟はちゃんと艦長の職務をこなしていますか? なにせあれやこれやと気の多い奴ですから。」

[真田艦長の指示は的確かつ正確で時に私の考えを上回る事があり、さすがとしか言えません! ]

「そうですか! お話できて良かったです。伊#700が呉港に入港できるのが今から一週間後で、造船した神戸港で最終チェックを行ってますので少しお待ち下さい」

[了解致しました]

3

現日本国防幕僚長、江口亮介は神戸港の新たな都市開発の視察に来ていた。首都機能の向上と地下トンネルと海底の潜水艦ドッグを現在の2ヶ所からさらに5ヶ所増やし、計7本の潜水艦ドッグを造るための視察である

「江口さんこれから新しく竣工する潜水艦を見に行きませんか?」

「見させてもらうよ! 大和型艦ですか?」

「見てのお楽しみです、きっと驚きますよ!」

三菱造船所、歴代の潜水艦を増産している日本の重要拠点であるこの港の地下に細工が施され首都へと地下トンネルで繋がっている。

「これが()#700ですか! 形がまるでステルス爆撃機ですね。」

「まさにそうです。巨大エイのマンタをイメージして造られています、先端部分の鋭利な形は水中から海上へ一気に浮上できるだけでなく核エネルギーによって放出されるパワーを使いこの船体を機体に変え空中に飛ばす事が出来るのです。」

「ですからステルス潜水翼艦または、空海型潜水翼機と呼び空中でのあらゆる電磁波をはねのけ敵のレーダーには映らない設計です。」

「上空をまるで飛行機の様に飛び敵の領土近くの海域へ一気に着水し潜水艦に戻る。まさに忍びの様な機体です。」

「だからこの平べったく尖った型なんですね」

「そして江口さん、この機体は核融合で産まれる膨大なパワーを電力にし、ジェット推進力にし、潜水艦からステルス爆撃機へと変化できるんです。」

「ついに核融合炉の小型化に成功したんですね! 素晴らしい。この事は真田は知っているのですか?」

「まだ伝えはいませんが分かっているかも知れません。この後この機体を呉港に移しある人物に試験運用してもらいます!」

「真大和AIのVERYだろ?」

「そうです」

「彼女ならうまく人が扱い易い様に調整してくれると思うよ!」

「江口幕僚長が言うなら間違いないですね。」


核融合、身近なものとしてこの地球が大変恩恵を受けている恒星、太陽がそうである。

あの膨大な質量のエネルギーを小型化し箱に入れ稼働できればほぼエネルギー問題は解消されると言われ20世紀半ばから研究されてきた夢の技術である。

現在の原子力はウラン鉱石などを用いて核分裂を起こさせ膨大なエネルギーを得る変わりに膨大な核の負の産物、放射性物質を残し管理を(おこた)れば放射能汚染として動植物に多大な被害をもたらす。

一方、新次世代エネルギーとして注目を浴びた核融合は、海水や水から抽出した水素原子を利用し、その原子をぶつけて融合した時に出る膨大なエネルギーを得るシステムの事を言う。核の負の産物と呼ばれる放射性物質は核分裂システムに比べると何百分の1と言われる位の低い(あたい)だと言われている。

核融合の元となるものは水素爆弾実験だと言われロシアを皮切りにアメリカも数多くの水爆実験を行ってきた。重水素と他の重水素を引っ付け合体する時に産まれるエネルギーを利用した爆弾でこの時は核分裂の力を借りて爆発を誘発したため大量の放射性物質が実験箇所数百キロにわたり飛び散り水爆も核兵器とみなされた。

核融合の素晴らしい点は原料がこの地球上に無限と言っても

過言ではない海水、水だからだ! この無限とも呼べる原料を元にしたエネルギーを手に入れ、ほんの少し出る放射性物質を保管するか、現原子力|(核分裂)発電が出す大量の放射性物質を保管維持し続けるかを比べると選択すべき物は核融合システムに他ならないのだ。各国もかなり前から開発を行っているが我が国の足元にもおよばない。

 そしてこの核融合炉と、充電し蓄電しても放電してしまう電力減衰を極限まで押さえた発充電循環装置(エレクトニックロータリーシステム)と名付けた循環装置の組み合わせにより、エネルギー問題は解消されたと言ってもよい時代が来たのだ。



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