いつのまに!?
「痛っ.....」
声がして振り返ると、そこには体を抱え込んでうずくまる母の姿があった。
「お母さん!?」
「ママ!?」
私と父は、母に駆け寄った。幸い大きな怪我ではないようだ。
母の目線の先には、弓矢をこちらに向けているゴブリンの姿があった。
「でっ、でた!」
どうやら母はゴブリンが放った矢で傷を負ったらしい。
大丈夫よ、心配しないで、と言って母は立ち上がった。
数にして7、8体。緑色の肌に尖った耳。
黄色い目がギラギラと光るそのモンスターは、まさにファンタジーそのものだった。
なんというか...ぐろい。かわいくない。
何体かのゴブリンが地面の穴から這い上がってくるのが見えた。
別の穴からも続々とゴブリンが出てきている。
あれは...巣穴?
あたりを見渡すと、私たちを囲むようにゴブリンが包囲しているのがわかった。
まずい。完全に囲まれている。
どんどんゴブリンたちは数を増やしていく。
「どうしよう...」
巣穴から出てくるゴブリンたち。
剣を持っていたり、盾を持っていたり、装備は個体によってさまざまだ。
まずい...今私が持っている戦闘スキルはファイヤーボールしかない。
武器はなく、防具(?)はパジャマ。
戦闘はおろか、運動すらも真っ当にできない私である。
ぐっと体に力が入ることに気付いた。
一体の剣を持ったゴブリンが私に近付いてくる。
やめて!?!?近付いてこないで!!
モンスターに襲われる、言葉にすれば聞き馴染みのある感じだが、実際の場面に遭遇すると怖いもんである。
殺す気満々の敵が全速力で走ってくるのだから。
でも、やるっきゃない。がんばれわたし。
やるかやられるか!
くっと目を見開いて、私は叫んだ。
「ファイヤーボール!」
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