村に向かおう
村に行くって言ったって、村がどこかもわからない。
せめて地図くらいあれば...
そう思った私は、スキル「魔法クリエイター」の存在を思い出した。
物は試しだ。ちょっくら試してみようか。
「マップ表示!」
手をかざして私はつぶやくと、目の前に長方形の画面が現れた。
おお。ダメ元だったけどちゃんとできたぞ。
カラー表示の画面の中央に矢印が書いてある。きっとここが現在地だな。
「おおお...スマホみたいだ」
「便利ねーすごいわねー(にこにこ)」
近くの村はと...。
すると、村らしい名前が書かれているのをみつけた。
『はじまりの村』
絶対ここじゃん.....。
なんという安直な名前。
単純な私たちにこんな名前の村を見せたら、行くに決まっているのである。
「じゃあここにいこう!」
安直な名前の村がちょうどよくあったので、簡単に目的地が決まった私たち。
父は物体創造でスリッパを三つと、抱っこひもを作り出した。
「スリッパかあ」
「あまり難しいものはまだ作れなくてだな」
「まあいいじゃないのー(にこにこ)」
「だあー」
たまに喋る妹。母は抱っこ紐で妹のリコを背中におぶった。
さすが母。手慣れた物である。
「じゃあ...」
「「「しゅっぱーつ!」」」
「だぁー!」
マップを見ながら見知らぬ土地を進んでいく坂上家。
地図上には『はじまりの村』の他にも、村や国がいくつか表示されている。
肝心のダンジョンは...表示されていない。この辺にはないのかな。
「川とか森の位置もわかるのかー」
マップを見ながら歩いていると、少しずつ私たちが村に近付いているのがわかる。
暑すぎず、寒すぎない、ちょうどいい気温。
おひさまがさんさんと照り注ぐ、快晴の空。
たまにはこんな風に、みんなでお散歩するのもいいなあ。
そんな呑気なことを考えていた私。
ふと目をやると、地面に穴が開いている部分が遠くにあることに気がついた。
1箇所ではなく、何箇所も。
「なんだろう、あれ?」
他にもあるのかなと、後ろを振り返った瞬間。
「痛っ......!」
と、お母さんの声が聞こえた。
もしよかったら、
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