4.現れた敵。
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ライネの指示で、ボクは身構える。
いったい、この炎に対してどのような魔法を放つというのか。おそらくはボクには知る由もない、強力なものに違いなかった。
その証拠に、少女の周囲の魔力は一気に膨張して――。
「すべてを呑み込め――【タィダル・ウェイブ】!!」
勢いよく、放たれた。
魔力の奔流は水へと変換され、炎を押し流していく。
陽炎のような魔物たちも同じだった。水には弱いのか、一瞬にして煙へと変わる。そしてあっという間に、ライネの魔法は火災を鎮めるのだった。
「す、凄い……!」
「ふふん。どうだ、これが大魔法使いライネの力だ!」
「凄いよライネ! 本当に、本当に信じられないくらい凄い!!」
「う……うぅ、そう真っすぐに褒めるな……」
自慢げな表情も一瞬のことで。
ボクが興奮して彼女の手を取ると、なにやら真っ赤になってうつむいてしまった。どうやら褒められるのには慣れていないらしく、慌ててボクの手を振り払う。
そして、咳払いを一つ。
「……では、そろそろ姿を現したらどうだ?」
「え……?」
そう口にすると、焼け焦げた木々の方へと視線を投げた。
するとそこから――。
「あらあら。さすがは、勇者パーティーに同行した魔女ですね」
一人の、女性が姿を現した。
赤の髪に金の瞳。妖艶な女性らしい人物で、ロッドを手にしていることから魔法使いだと思われるが、肌の露出がやけに多い服を着ていた。
紅を塗った唇をひと舐めして。
その女性はボクを見て、こう自己紹介した。
「アタシの名前はサーシャ。王宮魔法使いよ」
「王宮魔法使い……?」
王宮魔法使いとは、王家に認められた魔法使いのこと。
王城で魔法の研究などを行い、後世に語り継がれる大魔法使いが誕生することも多い。しかしそんな人物が、どうしてこのフレリアにいるのか。
そして、何故この魔法使いは――。
「貴女が、火を放ったんですよね……?」
この町に、危害を加えたのか。
ボクは警戒心を高めて、サーシャを睨んだ。
すると彼女はニヤリと笑うと、こう口にするのである。
「それは、貴方がここにいるから、ですよ? ――アラン」
「え……?」
「貴方を焼き殺せば、アタシには栄誉が与えられる。王宮魔法使いとして、歴史に名を遺す――まさしく、誰もが望む栄誉が!!」
「そんな!?」
ボクはそれを聞いて愕然とした。
自分がいたから、町が燃やされた事実以上に。この人の言っている理屈が、ねじ曲がっていることに、開いた口がふさがらなかった。
この人は、間違いない。
頭のネジが外れている……!
「それに、この町を焼けば――そこ小癪な魔女も消せますからね」
「え……?」
そう思っていると、サーシャはくつくつと笑いながら。
じっとりとした目でライネを見た。
「現在の王宮魔法使いはみな、そこの女と比較されている! そいつを超えなければ、王宮魔法使いとしての名を残すことは不可能!! だから――」
にやり、笑って。
「アタシが手ずから、消しにきたんですよ」――と。
サーシャはそう、口にした。
つまり、どういうことかというと……。
「アラン、共同戦線だな」
「うん……!」
この人は、どうしてでも倒さなければいけない人だ、ということ。
自分の命が危ないとか、そういう話ではない。
この人は、ただ純粋に危険だった。
「面白いですね。なら、二人まとめてかかってきなさい!!」
サーシャの周囲に火の玉が浮かぶ。
それと同時に、戦いの火蓋は切って落とされた――!
次回更新は20時かな。ゲームしたいので(ぉぃ
テンポを意識してますが、そういった展開への感想もお待ちしてます。