2.突然の事件。
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詳しくはあとがきに! 次回更新予定も書いてあります!!
ライネは身の丈百三十センチメイル程度の、慎ましやかな外見の女の子だった。しかしその反面に、綺麗な顔に浮かぶのは不遜な表情、とでもいえばいいのだろうか。
服装は魔女らしく、ボクを迎え入れた時には大きな帽子を被っていた。
「なるほどな。アイツの息子か」
「………………」
「どうした? なにを黙っておる」
ボクはそんな彼女を見て、思わずこう口にする。
「いや、どんな人かと思ってたから。その――」
「あぁ、捨虫の魔法が珍しいのか」
「捨虫……?」
すると、こちらの言いたいことを言い当てたライネはそう言った。
首を傾げていると、彼女は軽くため息をついて続ける。
「捨虫の魔法というのは、いわゆる不老の魔法だな。決して不死ではないものの、ある程度は寿命も延びるのだ」
「へぇ……」
「ただし、年増といった文言は厳禁だからな」
「うぐ……」
前もって釘を刺されて、ボクは思わずうめいた。
しかし、そんなこちらには気も留めず。ライネはこう訊いてきた。
「して、アレの話を聞きたいのだったな」
「アレって、父さんのこと?」
「そうだ」
椅子に腰かけて気だるげに言う少女に、ボクが聞き返すとそう頷かれる。
どうやら彼女は勇者である父のことを良く思っていない、らしい。
もっとも、その原因は分からなかった。
「そうさなぁ、アレと出会ったのは王宮勤めをしていた頃だったが……」
そして、ボンヤリと。
ライネが昔を思い出そうとした時だった。
――ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!
「えっ、爆発……!?」
なにやら、町の方から轟音が聞こえてきたのは。
地響きを引き起こすほどのそれに、ボクとライネは顔を見合わせた。そして、大急ぎで外へと飛び出す。すると、そこにあったのは――。
「そんな、森が燃えてる……!!」
フレリアの綺麗な森が、炎に包まれる光景だった。
◆
「ふふふ。こうすれば、一網打尽ですね」
フレリアの外には、一人の女性の姿があった。
放火の犯人である彼女は、燃え盛る木々を見ながらほくそ笑む。
「忌々しき魔女も焼き殺せますし、一石二鳥。これで――」
その女性は、高笑いした後にこう言うのだった。
「アタシの王宮魔術師としての地位は、揺るぎなきものに!!」――と。
人々の悲鳴が響き渡る。
しかし、彼女にとっては自身を賛美する声に聞こえていたに違いなかった。
次回更新は16時かな。お出かけから帰ってきて。