7.使用人のニック。
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「いやいや、申し遅れました。私はニックと申します」
「………………」
ボクたちはレイズの使用人――ニックを睨みながら、少しだけ距離を取る。
表情はにこやかだが、瞳からの殺意は隠しきれていなかった。それでも彼は笑みを絶やさずに、こう続けるのだ。
「おや? そのように警戒しないでいただきたいですな」
「それは無理、という話だろう?」
「お嬢さん――いえ、大魔女ライネ様も、お人が悪いですな」
「………………」
睨み合いの中で、少女と使用人はそう言葉を交わす。
その隙にボクはライルくんに、母親のもとへ向かうよう促した。
しかし――。
「残念ながら、それはもう遅いですぞ?」
「なに……?」
その動きを察知したらしい、ニックが表情崩さずそう言った。
同時に、黒ずくめの集団が至る所から現れる。
そしてその中に、
「お母さん!?」
「ライル……!」
イザベラさんの姿があった。
拘束された彼女は、明らかに顔色が悪い。
ただでさえ身体が弱いのに、このようなストレスに晒されたら当たり前だ。そんな事情をも知っているのだろう。ニックはあえて、こう言った。
「おやおや。お母様、どうされましたかな?」
「ひっ……!」
「やめろ!!」
ナイフを取り出して、イザベラさんの首元に宛がう使用人。
ボクは思わず声を荒らげた。だが、それすらも面白がるように彼は言う。
「ほほっほほ。これは失礼、私の趣味です故……」
「なにが、目的だ……!」
こんな状況は耐え切れない。
ボクは痺れを切らせて、そう訊ねた。すると、
「いえいえ、目的など。しいて言えば――」
ニックは、そこでようやく表情を変える。
舌なめずりをしながら――。
「私の一存で申し訳ないですが、貴方たちには死んでほしいですな?」――と。
背筋の凍るような、そんな声だった。
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