1.出生の秘密。
こんな始まり方してますけど、そんな暗い話にはなりません。
なんだったら、次回ギャグでいこうと思ってます。
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――同時刻の王城、謁見の間。
「国王陛下、なぜ私が処罰されねばならないのですか!?」
「………………」
公爵家当主――ダンは、国王へ抗議していた。
どうしてなのか、と。どうして、あの穀潰しを放逐したことを、咎められなければならないのか――と。
しかし、国王は答えない。
そのことにダンは異様な緊張を抱いていた。
「な、なにかの御冗談でしょう? どうして――」
「あの子は、な……」
「はい……?」
そして、笑いに変えようとした時だ。
深く失望したような声で、国王がこう告げたのは。
「アランは、世界存亡の鍵を握っているのだ」――と。
◆
「ボクが、勇者と魔王の子供……?」
「あぁ、その通りさ。国王――デルガによって、秘匿されていただろうがね。まさか、こんな普通の街中で見つけることになるとは思いもしなかったよ」
「え、あの……!」
お婆さんの話について行けずに、ボクは待ったをかける。
ボクが勇者と魔王の子供……?
そんな、ふざけた話があるのだろうか。
たしかにボクは公爵家に拾われた子供だった。だけど、こんなろくでもない役立たずが、そんな重要な人間であるはずがなかった。
「まぁ、驚くのも無理はないさね。力は聖女の手で封印されているようだ」
「封印……?」
そう思っていると、お婆さんはニヤリと笑って。
そっと、皺だらけの手をボクの胸に当てた。
すると――。
「え、なんだ――!?」
白と黒の輝きが混じり合うようにして、ボクの周囲を渦巻いた。
まるで、光と闇の両方が身体に吸い込まれるように。
そしてそれが収まった時――。
「見てごらん、これが本当のアンタだよ」
「そ、そんな……!」
お婆さんから手渡された鏡に映ったのは、黒と金の入り混じった髪。そして、黒と赤のオッドアイに変化した自分の顔だった。
まるで別人。
ボクは言葉を失っていた。
「これを見ても、まだ信じられないかい?」
「…………」
そんなこちらに、その人は言う。
ここまできたら信じざるを得ないのかもしれなかった。
だけど、そうなると気になるのは――。
「そうだ、ボクの両親は!?」
自分の家族――すなわち、勇者と魔王のことだった。
その二人に合わなければまだ、自身の出生を呑み込めない。
「ひっひっひ。それなら、目指すと良いさ」
「目指す、ってもしかして!?」
ボクが驚くと、お婆さんは言った。
「世界の果て。そこにある、魔王城さ」――と。
その言葉に、ボクは胸が震えた。
そして決意する。
「……分かった」
こうなったら、行ってやろうじゃないか。
その、魔王城という場所へ――!
◆
「いいか、ダン。もしアランのことを逃してみよ。さすれば――」
国王は忌々しげに、ダンを見下ろしながらこう言った。
「公爵家は取り潰しとする……!」――と。
公爵家当主は震え上がった。
そして、大慌てで謁見の間を後にする。
「先代の話を真剣に聞いていなかった木偶の坊が、このような……」
そんな彼を見送ってから、国王は深くため息をついた。
先代の公爵はこのことを理解していたはず。ダンにも当然、アランのことは説明をしていた。それにもかかわらず、真面目に向き合わなかったのは彼の落ち度。
「レイラはいるか!」
「はい、お父様」
そう考えた後に、国王は娘を呼んだ。
そして、こう伝える。
「あるいは力が目覚めているかもしれん」
「分かっております。その時はこの――」
父の一言に、王女レイラは柔和な笑みを浮かべてこう答えた。
「聖女である、わたくしレイラにお任せください」――と。
次回更新は19時頃かな。
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