4.闇討ち、容易く。
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「へっ……間抜けな二人だ。鍵もかけずに寝ていやがる」
一人の男が、アランとライネの部屋の前に立っていた。
鍵がかかっていないことを確認すると、彼はゆっくりと扉を開く。そして、忍び足で中への侵入を試みた。だがしかし、その直後である。
「残念だったな」
「な、馬鹿な……!?」
寝息を立てていたはずの少女が、扉のすぐそこに立っていた。
驚く彼だが、その違和感を口にするより先――首筋に鈍い痛みが広がる。意識が遠退き、膝から崩れ落ちる男。
そんな相手を見ながら、ライネは肩をすくめるのだった。
「なんとも、間抜けだな」――と。
◆
「とりあえず、縛っておこうか」
「そうだな」
ボクが提案するとライネは、特に意見することなく頷いた。
そして指を鳴らし、ベッドに横たえていたデコイを消失させる。彼女が使っていたのは簡単な身代わりの魔法。得意分野ではない、とは言っていたが器用なものだった。
少女の用意していた縄で男を縛り上げると、ボクは一息つく。
これで、証拠は十分だろうか。そう思って少女の方に視線を投げるが――。
「トカゲの尻尾切り、というやつだ。どうせ、白を切られる」
「だよね……」
そう言われて、やはりか、と思った。
仮に町長的な人物にこの男を差し出しても、この町の者ではない、と言われればおしまいだ。だとしたら、気は進まないのだけれど痛い目に遭ってもらうしか――。
「ん……?」
「ひっ」
「誰か、そこにいるの?」
そう、思っていた時だ。
部屋の前に誰かがいることに気付いたのは。
「あ、待って!?」
声をかけると、慌てた様子でその人物は逃げていった。慌てて追いかけるものの、想像以上の速度で距離が開いていく。
ボクも足には多少の自信があったのに、それを振り切るなんて……。
「きゅ、急に走る、な……!」
「あ、ごめん」
と、あまりに一瞬のことだったのだが。
大慌てでボクを追いかけてきたライネに、ひとまず謝罪。ちょっとした距離しか走っていないのに、なにやら致命的なダメージを受けたように息を切らしていた。
魔法専門だからって、少し体力なさすぎるかも。
「って、それよりも。今の声、もしかして……?」
だが、すぐに気持ちを切り替えて。
ボクは先ほどの声の主について、少し思い当たることがあった。
「ちょっと、確認してみる必要があるかな」
そして、そう考える。
なんにせよ、ひとまず捕らえた男性から事情を聴くのが先。ボクはライネに声をかけて、宿へと戻るのだった。
◆
「す、すごい。アランさん……!」
自分の足についてきた相手に、素直に驚くライル。
物陰から宿に戻る二人を確認してから、ホッと胸を撫でおろした。地の利がなければ、あるいは捕まっていたかもしれない。
そう考えて、ゾッとした。
だが同時に――。
「もしかしたら、あの人なら……」
微かな希望を抱く。
もしや彼なら、この状況を打破できるかもしれない、と。
少年は胸に手を当てて、大きく息を吸い込んだ。そして――。
「…………」
ゆっくり、吐き出しながら。
遮るもののない、綺麗な星空を見上げるのだった。
午前中、もう一話いけるか……?




