3.リーデローという町。
みなさん、昨日は寝てしまって申し訳ございませんでした。
応援よろしくお願いいたします!
「やはり怪しいな、この町は」
ライネが、宿の部屋に入ってからそう口にした。
密室であるこの場所であるにもかかわらず、周囲を物凄く警戒しながら。窓の外を見て、数少ない人の往来に目を細めていた。
いつものボクなら何故と訊くが、今回は同意せざるを得ない。
だって――。
「ねぇ、ライネ。この町は本当に、山賊の標的になってるの?」
違和感が、大きすぎたから。
ボクが訊ねると、少女はベッドに腰掛けてこう答えた。
「十五年前は、少なくとも数回襲われたな。もちろん返り討ちにしたが」
「……ねぇ、この町はもしかして――」
「あぁ、言いたいことは分かるさ。あの頃と変わっていないからな」
ボクの言葉を遮って、彼女は大きくため息をつく。
「グランは底抜けのお人好しだからな、確証がないのに断定するべきではない、そう言っていた。だが、おかしいんだよ。この町の人間は」
「うん、そうだね。だって――」
そんなライネに向かって、ボクは言った。
ライルくんの言っていたことと、この町の現実の矛盾点を。
「この町には、農作物がない」――と。
そう、そこだった。
ライルくんは早口にそう捲し立てていたが、実際に町の様子を見ると分かる。この町では農作物を作っていないのだ。もちろんすべてを見たわけではないので、確証はない。それでも、痩せこけた大地には、草花の一つも生えていなかった。
このような土地で、農作業ができるだろうか。
ボクには、それが大きな疑問だった。
「その通りだ、アラン」
こちらの指摘に、ライネも頷く。
どうやら、十五年前のリーデローも同じだったらしい。
「今夜は気を付けて眠ろう。今さら、別の町へも行けないからな」
「うん、分かったよ」
そう言葉を交わして、夜は更けていく。
ボクはそこで、ふとライルくんがどうしているのかが気になるのだった。
◆
「よくやったな、ライル。珍しく金づるを連れてきたじゃねぇか」
「は、はい……」
とある暗い一室にて。
ライルは、一人の大柄な男性と話していた。
いいや正確に言えば、周囲にはたくさんの男たちがいる。みな人相が悪く、下卑た笑みを浮かべていた。
そのただ中で、少年は小さく震えている。
「ただ足が速いだけのお前だが、今回はそれが功を奏したらしい。しばらくは、母親の治療費を払ってやろうじゃないか」
「ありがとう、ございます……」
まるで凍えているような声。
ライルは、何度も頭を下げていた。
しかし次に彼が口にした言葉が、男の逆鱗に触れる。
「でも、僕はもうこんなことしたくなくて……!」
「あぁん!?」
「ひっ!」
近場にあった椅子を蹴り倒す男に、少年は尻餅をついた。
そんな彼に向かって、男がこう吐き捨てる。
「じゃあ、お前は一人で生きていけるのか?」
「それ、は……」
「できねぇだろ? それじゃ、オレ様の言うことを聞くしかねぇよな?」
「…………!」
唇を噛むしかなかった。言い返せなかった。
何故なら、男の言う通りだから。
自分は逃げることができない。
その力のなさに、口惜しさを強く感じた。そして思うのだ。
「もし……」
――伝説の勇者様なら、どうするのだろう。
憧れの存在。
そんなあの人なら、この状況を変えられるのではないか――と。
午前中にもう一話上げたいなぁ。




