9.一人きりでは、なくなる時。
間に合った……!(午前中投稿
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「お前の父親は、本当に手のかかる奴だった。無鉄砲だし、人一倍お人好しだし、でもとにかく強かった。そして、何よりも仲間思いな奴だったんだ」
ライネは、目を細めてそう語る。
心の底から父さんを信じていたと、そう思わせるように。
彼女の言葉は真実に満ちていた。だからこそ、思わされることがある。
「ライネは――」
この人はもしかして、と。
「父さんのこと、大好きだったの?」
「ひゃっ!?」
ボクの言葉に、少女の身体は思い切り跳ね上がった。
そして目を見開き、動揺を隠さずにこちらを凝視してくる。どうやら、図星だったらしい。ライネは父さんのことが大好きで、それで……。
「……そっか」
そう考えると、町の人が言っていたことも理解できる。
大切な人が亡くなったのだ。
荒れるのも当たり前か。
「な、一人で勝手に納得するな!!」
「いててっ!?」
そう思っていると、ライネは力いっぱいにボクの頬をつねった。
頬を膨らして。まるで、本当の少女のように。
こちらが目を丸くしていると、彼女は鼻を鳴らしてこう言った。
「人の死を受け入れられぬほど、幼くないわ! 馬鹿にするな!」――と。
腕を組み、あからさまに怒った『フリ』をして。
ボクは何も言わずに、ライネを見た。
すると――。
「…………ふん」
やがて、どこか観念したように。
彼女はまた一つ鼻を鳴らしてから、こう口にするのだった。
「ただ、一つ心残りがあるとすれば。弱かった自分、だな」
「弱かった、自分……?」
「あぁ、そうだ」
ライネは頷き、こう続ける。
「わしは、グランを守るだけの力を持たなかった。そのせいで、アイツは死んでしまったのだ。あの時もし、わしにもっと力があれば――」
――きっと、運命は変わっていたかもしれない。
少女は少しだけ泣き出しそうな声で、そう漏らすのだった。
ボクはそれを聞いてハッとする。
彼女は悔しいのだ、と。
大切な人を守れなかった自分自身が憎くて、仕方がない。
でも、どうにもできない。過去は変えられないと、そう理解している。だからこそ、ライネはずっと一人で苦しみ続けているんだ。
「ライネ……!」
「な、なんだ!? 急に手を取ったりして!?」
そう思った時にはもう、ボクは彼女の手を握っていた。
そして、こう言う。
「やっぱり、ボクに色々教えてくれるのはキミしかいない! 他の誰かじゃ駄目なんだ。ライネに教えてもらって、それで――」
しっかりと、その円らな瞳を見つめて。
「一緒に強くならないと、駄目なんだ!!」――と。
だから、一緒にきてほしい。
ボクは改めて、そんな思いを込めて伝えた。
すると彼女は狼狽えたように視線をそらして、こう小さく口にする。
「だが、わしではまた――」
「いなくならない、ボクはライネを一人にしない!!」
「……え?」
しかし、それを遮って宣言した。
なにがあったかは分からない。それでも――。
「ボクは、ずっと一緒にいるから!」
なにがあっても。
仲間のもとを去ったりしない。
そう、真っすぐに伝えたのだった。すると、
「本当、か……?」
ライネの瞳からは、大粒の涙がこぼれ落ちた。
ぼろぼろと。とめどなく。
「本当に、わしと一緒にいてくれるのか……?」
「うん。大丈夫だよ、約束は守るから」
「………………!」
そっと、小さな少女を抱き寄せる。
一人きりだった魔女は、その瞬間に一人の女の子に戻るのだった。
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