プロローグ 穀潰しのアラン、廃嫡。
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「アラン! お前は、何度言えば分かるんだ!!」
「うわっ!?」
養父に思い切り蹴り飛ばされて、ボクは床に転がった。
周囲には使用人がいたが、誰一人としてボクのことを助け起こそうとする者はいない。それもそのはずだ、だってボクは公爵家の血筋の者ではないのだから。
「先代が拾ってきたから面倒を見ていたが、いよいよ限界だ! お前のような取柄のない穀潰しは、この公爵家に相応しくなどない!!」
「………………!!」
養父であるダンは、そう言ってボクを見下ろした。
そして――。
「勘当――すなわち、廃嫡だな」
そう、告げるのだった。
「そ、そんな突然!?」
「突然などではない! お前はこれまで、我々の期待に応えるような成果を上げたか!? 学問でも、武術でもいい――何一つとして、成果を残せていないではないか!!」
「そ、れは……!」
とっさに抗議するが、彼は無慈悲にそう言うとこうせせら笑う。
「公爵家にはアグニスという、優秀な子もいる。お前のように、どこの馬の骨とも分からない者とは違う、本当に素晴らしい子だ」
「…………」
「それに、なに私も鬼ではない。王都から出ていくための路銀も渡そう」
冷淡に、無感情に。
そこまで言われてしまうと、ボクも首を縦に振らざるを得なかった。
「分かり、ました……」
こうして、ボクは居場所を失う。
拠り所としていた公爵家を追い出されて、ボクはただの流浪者になった。
◆
――翌日。
ボクは王都の街をただ、無意味に歩き回っていた。
公爵家を出てから数時間が経過したけれど、行く当てがないのだ。
「どうすれば、良いんだろう……」
路銀は与えられた。
しかし、仮に他の街に行ったとしてどうなるのだろう。
ボクは学問でも、剣術などといった武術でも、ろくな成果を上げられなかった。万年2位だと言われた人もいるらしいけど、ボクは2位にもなれない。
正真正銘、取柄がゼロなのだ。
「こんなろくでなし、冒険者にもなれない……」
だって、使いどころがないから。
ボクは自分の行く末に、頭を抱えてしまうのだった。その時だ。
「やあ、そこの坊や。少しいいかい?」
「え、ボクのこと……?」
一人のお婆さんが、声をかけてきたのは。
目深にローブを被ったその人は、ニヤリと口元を動かすと手招きする。それに従って歩くと、たどり着いたのは――人気のない路地裏だった。
「あの、ボクはそんなにお金持ってないですよ……?」
そこに至って思ったのは、物取りの可能性。
路銀はあるけど、これを盗られてはどこにも行けなくなってしまう。警戒心を最大限まで高めて、ボクはお婆さんを見た。すると、
「ほっほっほ。このような婆に、坊やをどうにかできると思うかい?」
愉快そうに笑う。
その表情に、ボクもついつい気を抜いてしまった。
頬を掻きながらこう訊ねる。
「それで、お婆さんはボクになんの用なんですか?」
こちらの問いかけに、お婆さんはにっこりと笑みを浮かべた。
そして、ボクの顔を見て心底嬉しそうに言うのだ。
「あぁ、ようやく見つけたよ」
深々と、頭を垂れながら。
「勇者様と魔王様の、愛し子」――と。
たぶん、15時くらいに!
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