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五話 村づくり①

 

 農民奴隷はスレッドから購入したテントと寝具で休んでもらっているが一番の問題はクレア様とギアス様だ。昨日はクレア様は俺の部屋でギアス様たちは廊下で寝ていた。

 

 住民の受入はもう少し先になると考えていたが住居を建てるための資材は貯めている。ゴーレムは農作や家具作りのような細かい作業に向いていないし、限界がある。各の産業を発展させるためにゴーレムでは無く、人が必要だ。


 技術や魂は人から人にしか継承されない。そうやって、俺も皆から貰ったものがある。


「これはアルト様。朝が早いですな」


「ギアス様。おはようございます。」


 後ろから声をかけてきたのはギアス・ラーデン。度重なる連邦の侵攻を食い止め、逆侵攻にて、領地を奪い取っていった。その功績から東部の守護神と呼ばれるようになった。


「今度からは呼び捨てにして下され、主人が奴隷に様付は他の者に示しがつきません」


「そうですね。昔からの癖ですみません」


「懐かしいですな。アルト様を取り合うクレア様とマリア様、それを笑いながら眺めるギルバード様」


「去年までは当たり前だったのですがね。この世は全てを最初から無かったように奪い去る。本当に憎ましい」


 俺と同じ光景をギアス殿も思い浮かべているだろう。もう戻っては来ない光景を。


「昨日の通り、我々は軍事と治安、土木については知っておりますが政はヴァンフリート様に教育されているクレア様を頼りください」


「ヴァンフリート様はクレア様を領主するつもりだったんですね」


「はい、女伯爵は先例がございます。長男であるギルバード様は精霊に憑りつかれております。たちが悪いことに戦いの精霊でございます。偏りが無く満遍なく能力があるクレア様の育成に励んでおりました。このことはギルバード様も了承していました」


「なるほど。ギルバード様の戦いぶりには努力もありましたが天賦の才と後押しする精霊も居たのですね」


 精霊は契約を結んだ者に恩恵を与える。魔法属性の精霊なら魔力の底上げ、威力向上などが挙げられる。戦の精霊なら身体強化と回復能力向上が挙げられるが副作用なのか大抵の契約者は好戦的になってしまう。


 精霊と契約を結んだ者は契約者と呼ばれているが精霊が一方的に気に入った者と契約しているだけで人間側には拒否権は無い。


「我々は何をいたしましょうか?」


「ギアス殿とアレス殿、アレスター殿は順番を決めて、一人は狩り隊を預けるので指揮をお願い致します。他の二人はクレア様の護衛をお願い致します」


「了解した」


 短く返事したギアス殿は階段を降りて行った。さて、下で寝ている農民達に朝飯を食べ貰って、どんな家がいいかを聞かないとな。


「今日から始まるのか。頑張ろう」


 農民たちの話を聞いていたら同じの村の出身であったようだ。元村長のアグリが居てくれて順調に情報が集まり、ゴーレム達に建築の指示を出した。後は育てていた作物を確認して、農地を振り分けていくがやはりほとんどが麦を育てていたようで野菜などを育てていたのは極僅かであった。


 肉は大量にある。大森林が近くにあるから狩猟対象の肉が取れる魔物が多いし、他の地域より嫌な意味で質が高い。商人たちからは素材の評価は高く、買取価格も高いから金は良い感じに集まっている。


 大森林付近の開拓村は魔物の売買で儲けてるから食材や武器などは行商人から購入していて自分達で育てることは少ない。畑を作っても小中規模の魔物群の襲撃で荒らされる。けど、うちは最大二千人規模の予定だから自給自足を視野に入れて、計画を立てているから戦闘員だけではなく、農民が必要だ。


「……楽しいなぁ。一歩一歩前に進んでいる感じが分かる」


「アルト様、馬と農機具をお借りしてもよろしいでしょうか?」


「あぁ、良いよ。作るから屋敷に戻るよ」


 馬型は全て出払ってるから新しく製造しないといけないな。今後も必要だから作ろう。


「そうやって、作るのですね」


「クレア様ですか。作りたいゴーレムの魔法陣を描き、体の材料と対応する魔石を魔法陣の上に乗せて、最後に術者の血を垂らすことで完成します。原理は確認されていませんが魔法陣、魔石、材料、血の四つのみで作れるようにゴーレムが製造され、血を垂らした術者の指示に従います。


 師匠が血を垂らす行為が自分の血を分けるという意味になっており、術者が親、ゴーレムが子との関係を作り出していると仰っておりました。それで子が親の言うこと聞くのは当然だと」


「ゴーレムが子で術者が親。確かにそれなら当然ですね」


 クレア様は納得したように頷いている。懐かしいな、師匠は元気しているか。まぁ、元気もへったくれもないか。あの人は。


「さて、畑までこいつを届けるのでここで」


「はい、かしこまりました。夜はお時間はございますか?」


「あっはい。三階の倉庫におります」


 うわ~嫌な予感が凄くする。先ずはこいつらをアグリさんの所まで持って行かないとな。てか、ここは軍事区域にしてるから誰にも話してないんだけどな。知られたくない物があるし、鍵を付けよう。



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