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三話 ゴーレム隊とダニエル商会


「木こり隊と石切り隊は東側の森で伐採と採掘をお願い。輸送隊は両隊が集めた資材をここまで運んで来て。建築隊は資材が集まるまで計画書通りに縄張りをよろしく」


 十体以上も中級ゴーレムを製造して、大量の魔力を消費したから体がダルい。師匠が言うには普通の人なら二体ほど製造すれば、良い方だが俺はギフトで補正され、一度に多くの中級ゴーレムが製造できるらしい。しかし、師匠は一度で百体ほど召喚していたような気がする。


 中級ゴーレムはリーダーに任命された中級ゴーレムを中心に集団で行動する。また、チームでの役割分担や他のチームとの連携などが可能である。利点は高度な作業が可能な所やチームによる効率化が出来る点。欠点は製造や維持にかかる魔力消費が高い。


 下級ゴーレムは集団行動が出来ず、単体でしか運用しか出来ない。また、耐久性が低く魔物などに襲われた場合には簡単に全滅する。利点は製造や維持にかかる魔力消費が少ないこととすぐに取替えることが出来る点。欠点は中級のように他のゴーレムへの指示や細かい作業が出来ない点と自衛能力が低いこと。


 空いた時間で昼飯用の山菜や魚を取っていたら輸送隊が資材を運んで来て、その資材を使い建築隊が建築を始めていた。ゴーレムは休憩するのは魔力を回復する時のみで、だいたい四時間程行動を停止すれば魔力は活動可能領域まで回復する。


「流石にデカすぎたかな。村の規模でいえば二千人も住むことが出来るし、王都で流行りだしてる水洗便所とか上下水道を導入してるけどこんな辺境に人が集まるかなぁ~」


 開拓村作りにはグラハム伯爵家の建築官や王都の建築士に相談して、計画書を完成させたが最大収容人数は約二千人。大森林周辺の開拓村は大きくて二百人前後であるの対して今から作ろうとしている村はその十倍も大きい。村と言うよりは町だな。


 資材は長年放置されている大森林の資材を使えばいいが人はやはり、安心安全を求めている。魔物の脅威度も高いこの地域に来たがる人間なんて少なすぎる。まぁいい、人が居なくてもゴーレムで代用すればいいだけだ。


「……問題の先送りになるが今は先にゴーレム達の魔石を集めに行くか」


 下級のゴーレムを召喚するにはゴブリンなどの低品質の魔石でも十分だが中級のゴーレムはオークなどの上質な魔石が必要となる。今後の開拓を支える為には中級を大量に製造したいが手持ちの魔石だと少なく、買うには高い。


 やはり、現地調達が一番早いから馬型のゴーレムを召喚し、大森林に向かう。後で気付いたのだが残りの魔石で戦闘用のゴーレムを製造して、狩りをさせたほうが効率的だった。反省。



 満足する魔石を手に入れて、村に戻ると植物の芽の紋章を書かれている馬車が数台、止まっていた。


「お久しぶりです、アルト様! ご注文にあったコレノミの種と各種野菜の種などを持って参りました!」


「ありがとうございます。ここまで会頭自ら配達して頂けるなんて、光栄です」


「いえいえいえいえ。アルト様の開拓村は我が商会にとって重要なお客様になると私の勘が言っているのですよ。フフフ」


 色々商会を巡って、資材を買い付けて来たが植物の種などを取り扱うダニエル商会が早い段階で来てくれたのは有り難い。


「待たせてしまったお詫びといいますか、これを持って行ってください」


「これは凄い。流石は大森林の魔物ですな。しかし、これを狩るアルト様の実力はB級いやA級に到達しています。さては、引き止めを避ける為にB級で限界と言い続けて、昇級試験を断り続けてのですか?」


 愛用している魔法袋からオークやオーガなどの変異種を会頭達に渡すと解体し始めて、あっという間に部位ごとに分けられて解体されていた。あえて、会頭の疑問には答えなかった。


「やはり、私の勘は正しい。今回の買取代金は季節の野菜の種にしてお送りいたします。また、二か月に一回、商会の者を派遣しますので何かありましたらその者にお伝え下さいませ。では、ズイウース神の加護がありますように」


 ダニエル商会の一団は去っていったが一つ思ったのはやはり一人は寂しい。そう思っていたら大森林から帰ってきていた輸送隊のゴーレムが俺の肩をポンと叩き、また森へと荷車を引きながら倉庫へと歩き始めた。少し、寂しさが和らいだように感じた。


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