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心配された。
15.雨音と君の告白。
「雨っていいよね」
ポツポツという音が心地いい。幼馴染からは不満げな声が返ってくる。
「俺は好きじゃない」
「なんで」
「……傘で顔見えないから」
予想外の理由に、どきりと心臓が音を立てる。
「何それ、私のこと大好きすぎじゃん」
照れ隠しで言った言葉に返ってきたのは
「好きだよ」
君の告白だった。
16.待ち合わせは壊れた時計の下で。
人間に恋をした。
彼とはいつも同じ、時計の下で待ち合わせをした。魔女である私に臆さず、彼とは色んな話をし、感情を共有した。
私は彼と話す時間がとても愛おしかった——しかし、いつしか彼は待ち合わせ場所に現れなくなった。
待てども待てども、現れなかった。
気がつくと、時計は古びて壊れていた。