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親孝行だと
63.彼の1番
「好きです」
「ごめん」
好きな人に告白した。見事玉砕。
「友達でいたい」
彼の言葉に、複雑な気持ちになった。仲良くなりたくて彼と距離を縮めて、それでも、友達止まりなのか。
――1年後、彼に彼女ができた。
「どんな人?」
「1番大切な人で、1番の友達」
彼は私を、友達の中でも1番にはしてくれなかった。
64.私の知らないあなた
「暑さでおかしくなったの?」
「え?」
夏休み明け、久々に想い人に会うと彼はやけに優しくなっていた。
「前からこんなに気遣いが出来る人だったっけ」
「失礼な」
「ごめんて」
確かに失礼である。彼は溜息を一つ吐いた後少々照れながら
「……彼女できたからかも」
はにかんで、私の知らない顔を見せた。