30/35
幸せになりたい。
59.さよならを言い聞かせた夜に
最近彼と喧嘩続きで、別れた方が良いのかなとよく考える。
でも、「美味しい」私のご飯を喜んで食べてくれたり「ははっ」私の言葉に笑ってくれる彼を思うと、いつも「さよなら」の声が出ない。
——そんな私の、優柔不断な心に気づいてたのかな。
「ばいばいしよっか」
別れを切り出したのは、彼の方だった。
60.好きだった人
ずっと好きだった彼に彼女ができた。
「奇跡だと思う」
彼女の話に胸が痛む。
「でも私と2人で会うのなんて彼女は悲しむでしょ」
彼女ができても2人の時間を作ってくれることに、少しの望みをかけようとする自分がいた。
しかし
「うん、だからもう、最後だよ」
笑った彼に、寂しさは微塵も感じられなかった。