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私の思うように
53.努力の仕方
「つらくてもいいの。最後に笑えるなら」
彼女はいつも、人一倍努力を重ねる人だった。しかしその言葉はやがて、彼女自身を蝕んでいくように見えた。
「頑張らなくてもいいよ」
痩せ細った彼女の身体を抱きしめる。
「今この瞬間から、僕が笑顔にするから」
告げると、彼女は初めて気が抜けたように泣いた。
54.卑怯な私と、ずるい先輩
片想いしている先輩とトレーニング室で2人きりになった。休憩中、会話ができることに喜びを噛みしめる。
「先輩の頑張ってる姿、カッコよくて好きです」
尊敬か好意か、どちらとでも取れそうな告白。逃げ道を作った私は卑怯かもしれない。
「暑さでおかしくなったの?」
はぐらかす先輩は、ずるく感じた。
 




