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どうしたら
33.バカにはなりたくない彼女
最近の私はたるみ過ぎていると思う。
「暫く別居しませんか」
同棲中の彼に告げたら、彼はきょとんとして首を傾げる。
「なんで?」
「このままだと、貴方に甘え過ぎてバカになる気がする」
「いいじゃんバカで」
「よくな——」
「そんな君も僕は好きだよ」
よくないのに。彼の優しさに、今日も私は溶かされる。
34.月と彼
彼は宇宙が好きだった。特に月が好きで、スマホのケースも月をモチーフにしたものだった。
「綺麗でしょ」
「そうだね」
答えた私は、月を見ることよりも、月を前にしてはしゃぐ君を見れることに幸せを感じていた。
——君が亡くなって、1年。
月が在っても君がいない現実を、未だ受け入れられずにいる。