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思えてしまった。
31.彼は彼女を傷つけたくなかった。
彼はとても不器用な人だった。言葉足らずな人で、何度も何度も喧嘩した。けれど
「……好きだよ」
たまに見せてくれる素直な所が大好きで、ずっと一緒に生きていきたいと思っていた。
——そんな私に反して彼が別れを選んだのは、1年前のこと。
「忘れてくれ」と言ったあなたを、今でも鮮明に思い出すの。
32.彼は彼女を見返したいがうまくいかない
彼はとても不器用な人だった。すぐ真っ赤になる。言葉に詰まる。意地を張る。おかげで付き合うまでも、付き合ってからもお互いの関係が進むのは亀スピード。
だからか、初めて彼からキスをしてくれた時の真っ赤な表情と震えた声が印象的。
「忘れてくれ」と言ったあなたを、今でも鮮明に思い出すの。