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私のことを
19.誰かの救いの形
その日私は、初めて家に帰らなかった。一緒に居てくれた先輩は、自身の親に叱られていた。
「ごめんなさい」
私の謝罪に、先輩は笑う。
「世間的にどうであっても、後悔はないよ」
逃げることを覚えた私は、その日から変わった。
虐待を続ける両親の元から離れられたのは、それから1ヶ月後のことだった。
20.Re:ハッピーバースデー
『誕生日おめでとう』
元カレから連絡が来た。半年ぶりだった。
もう縁を切った筈の彼。関わらない予定だった彼。
それなのに、喜びを覚える自分が嫌だった。
『ありがとう』
思い悩みながらも返信する。送った後ついた既読。
しかしそれ以上の返答はなくて、折角の誕生日は苦しいものに変わってしまった。




