08 レッドボア
あれ?よくよく見ていると三匹の内一匹が異常にでかいな。ボアのふた回りほど大きい。色も赤く全然普通のボアとは違っていた。
【種族】レッドボア
【ランク】Dランク
レッドボアは突進の攻撃がほとんどで、稀に魔法を使うことがある。
「おぉ、今回の説明はまともだったよ」
突進が主なら少し避ければ当たることもないだろうし、そのまま魔法で仕留めよう。
ボア達はまだ俺に気づいていないので奇襲で3匹とも仕留めてしまおうと思う。さっきのゴブリンみたいにコントロールできずに外れる可能性が無いわけでは無いので、一番強いレッドボアのコントロールを優先する。
雷矢を作り出し、射出する。一匹のボアは頭を撃ち抜かれて絶命し、もう一匹も少しずれたがしっかりと仕留めることができた。
だが、一番コントロールを意識したレッドボアに射出した雷矢は当たったものの、仕留めることはできなかった。
当たる直前で気づかれてしまい、動かれたので狙いが頭から首にずれてしまったのも仕留められなかった原因かもしれないが、一番は威力が足りなかったことだろう。首に当たっても威力があれば、貫通して仕留められたかもしれない。でも、雷矢は少し食い込んだだけで骨で止まって霧散した。
「威力が足りないのか……どうするかな」
レッドボアが俺に向かって突進してくるが、こんな単純な攻撃を受けるはずもなく数メートルまで迫ったところで回避する。
ついでに踏み荒らされても嫌なので、走って絶命しているボアをアイテムボックスに回収しておいた。
「そういえば、炎魔法も使えたんだったな。試してみるか」
ふと、炎魔法も使えたことを思い出す。炎魔法、炎散弾。炎弾よりも少しだけ威力が強く、数が多い魔法。仕留められはしないが体を焼くことはできるだろう。
しかし、結果は予想外。五つの放った炎の弾はレッドボアの放った炎散弾によって圧殺された。
どうやら稀にしか出会えない、魔法を使える個体に出会ってしまったようだ。
レッドボアが、もう一度炎散弾を作り出し俺へ向けて放ってくる。俺も炎散弾を放って圧殺する。
「それにしても、厄介だなぁ。服を汚すのは嫌だし剣は使えないからなぁ」
俺はもっと威力の強い魔法を打つことにする。まだどこまでの魔法が使えるか分かっていないが、仕方ないだろう。
「雷槍」
雷の槍を作る魔法。だが、何も起こることは無かった。
否、何も起こさなかった。多分このまま無理矢理発動させようと思えばできないことはない。魔法にならず暴走してしまうと思うが。まだ、魔力をしっかりとコントロール出来ず形を作れなかった。これは練習が必要だろう。
魔法を使いながらレッドボアがこちらに向かってくる。あーあ、剣を使ったら楽なんだろうなと思いつつ、回避する。そのまま勢いを落とさず突進したので前にあった木に激突する。
「そうか。木に登れば突進の攻撃は避ける手間が省けるな」
高く跳躍し、近くの木に飛び乗る。6メートルぐらいの高さだ。レッドボアが木に登ってくることはないだろうと思うので大丈夫。
木の上から雷矢を作り出しレッドボアの身体に向けて放つ。
先程は威力が足りないのかと思ったがよく考えてみれば、あんな勢いで突進して折れない首の骨が簡単に貫けるはずがない。
身体に放った雷矢は深く突き刺さる。臓器を傷つけているかどうかは分からないが、このままならすぐに倒せる。
レッドボアの炎散弾も圧殺できるし、もう何もできることはないと思っていたら、急に俺の乗っている木に突進を開始した。
ドンッ ドンッ ドンッ
そんなに突進ごときで、木を折ることが出来るわけないだろう。
ドンッ ドンッ ドンッ メキメキメキッ
あれ?木がメキメキと音を立て始め、次の瞬間完全に折れた。俺は折れる瞬間に近くの木に移ったが、まさか突進で木を折るなんて思わなかった。
油断は禁物ですね。
その後、木の上から何発か身体に当てて倒すことができた。
「後はギルドに帰るだけだし、ここで魔法を試して行こうかな」
今日のところは魔法を試してから帰って依頼の報酬を貰って、宿でゆっくりと休もう。昨日異世界に来たばかりであんまり休めてないんだよな。
確認したいのは今使える最大威力の魔法だ。もし何かあった時にとっさに使える様にしておきたい。
先程は雷槍が発動できなかったので一つ威力の下がる魔法を発動してみる。
「稲妻」
木に向かって発動する。
桁違いだった。雷矢と比べ速度も威力も。
大きな音とともに木には数十センチの穴が空き、二本貫通、もう一本に傷跡を残すほどだった。
これならレッドボアも一撃で倒せたかもしれないな。
「これが、俺の使える最大威力の魔法か。大抵の魔物なら簡単に倒せそうだな」
俺が街に帰ろうと、森を出る方向に歩き始めるとゴブリンを発見。今回は群れではなく一匹だった。はぐれたのか?まぁ、そんなことはどうでもいい。俺の前に現れたんだ実験台になってもらおうじゃないか。
ゴブリンに稲妻を放つ。ゴブリンは反応することすら出来ず頭を吹き飛ばした。
「おぉ、凄いけどちょっと気持ち悪い」
頭の無いゴブリンは少々、否大変気持ち悪かった。なので、そのまま死骸を放置して早歩きで街へと向かった。




