02異世界だ!
青い空が見える。どうやら大きな大樹にもたれかかっていたらしい。右のほうへ視線を向けると、広い畑の先に集落が見える。あそこまでいけば剣と魔法のファンタジーだからといっていきなり魔物にパクッ、ゴクンされる事はないだろう。
「っと、まずいろいろ確認するか」
最初に何故か右手に握られている袋を開けてみる。中からはお金だろうか金貨と銀貨が10枚ずつ出てきた。
あの天使のサービスか?
次にステータスの確認。ラノベで読んだ異世界なら大抵ステータスは見ることができる。
ということで。
「ステータス!」
予想は大当たり。目の前に薄い青色の画面が表示される。触れる事はできず目の前にあるだけ、不思議な画面だった。
少し後で気づいたのだが、声に出さなくても思うだけで画面は表示された。
【名前】
【種族】人間族
【年齢】15 【称号】転生者
【スキル】
アイテムボックスlv6.身体強化lv5.鑑定lv4.言語理解lv10
【技能】雷魔法.炎魔法
「おぉ〜」
すごい、こうゆうの見ると異世界って感じがするなぁ。でも何で名前の欄が空欄なんだ?
自分で考えろって事か?異世界で日本人の名前はダメなのか。
「んーん、いっそ英雄の名前にでもするかな。例えばジークフリートとか」
なんかかっこいいな。そんなことを考えていると心地よい風が吹く。揺れる長い髪の毛。……ん?
俺に揺れるほどの髪の毛があっただろうか?いや無い。耳にかからない程度に切っているのにこんなに長いわけがない。
もしかして、異世界にくると髪の毛が伸びるのかな。不思議なエネルギーとかで。そう思いながら髪を触ってみる、腰ほどまであるうえに銀髪になっていた。
「あ、この展開なんかもう予想がついた」
言いながら自分の股間に手を当てる。
「フッ、終わった」
無い。出っ張りが、あるはずの出っ張りが無いではないか。異世界に行ったら性別が変わるのか?そんな事は天使から聞いていない。全員性別が変わるのならしっかりと伝えるだろう。
「きっと、俺だけだなこんなことになってんの」
まぁ、そんな事はどうでもいい。俺が言いたい事は一つ。
「おい、天使!俺のハーレム(願望)を返せぇええええ!」
よく聞いてみると、声が高い。くそっ、なんか悲しくなって来たぞ。
天使に異世界転移できると言われて、もしかしてハーレムを作れるのではないかと思いちょっと楽しみにしてた俺に言ってやりたい。騙されるな、と。
「クソッ、この先どうすればいいんだ!このままじゃ、ハーレムどころか知り合いに顔向けできねぇーよ」
よし、今後の方針はできれば男に戻る事。もう一つは、地球に戻る事。この二つだ。
後者は、天使の気に触れたら大変なんだが……父さんや母さんを残して来たからなぁ……。
たとえ地球に帰る方法を見つけてもあの天使に邪魔されるかもしれない。あの天使に勝てるくらいには強くならないといけないな。どんなけ強くならなきゃ行けないのか。
「そういえば名前を決めなきゃいけないのか」
そうそう、名前を考えている途中だった。男の英雄の名前なら幾らでも思いつくが、女の英雄なんてわかんないけど、かっこいい名前がいいな。
「なんかないかなぁ……もうなんでもいいや」
考え始めて数秒で諦めて、適当に名前を考える。
うーん……ステラでいっか。星ってちょっとかっこいいような気がするし。
名前は決まった、あとはスキルの確認でもするかな。スキル欄をもう一度見直す。この言語理解は天使の仕業か、魂に刻まれたやつかどっちだ?こっちの世界で言語理解ができなかったら不便だから付けてくれた可能性もあるが。いや、どっちでもいいか。
レベル10って最大だったりして……
鑑定も便利そうだな。金貨とかを鑑定してみるか。
これは不思議で、スキルの使い方がなんとなくわかるのだ。まるで、息をするのとおなじように使える。これが、魂に刻まれたスキルだからだろうか。
【金貨】
金貨として使える。
いや、それだけかよ。
金貨って事は当分の金になるだろうし、あとはまちに着いてから考えればいいかな。
俺は400mから600mほど畑の間の小道を通って集落にいくと道を聞いてみた。街道に沿って行けば20分ほどでつくらしい。俺は街を目指そうと、小麦畑のに挟まれた街道を歩き始めた。




