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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

人生に夜明けはくるか~小説家になるまで~

作者: 黎明

本当のことと誇張を混ぜて書きました。

かなりリアルに書いてあるので心して読んでください。

『生きる』とはなんなのだろうか。

いつからか心に大きく居座るようになった疑問だ。

 

 

 

中学時代は文武両道を掲げ、部活動は野球部に所属していた。

日々が充実していた。

でもいつからだろうか。

 

『努力をすれば結果が出るのは当たり前。結果が出ないということは努力をしていないか、生きる価値のない人間か』

 

と考えるようになったのは。

 

野球部として都大会出場を果たし、勉強においてはテレビでCMが流れるような塾で1位をとったこともあった。

 

それでも私は満たされなかった。

 

『努力をすれば結果が出るのは当たり前』

 

この言葉が私を苦しめた。

中途半端に結果が出てしまったのも問題だったのかもしれない。

この時私は盲信してしまっていたのだ。


一種の恋のようなものだったのかもしれない。

 

ただその恋は実らなかった。

思い込みは次第に自分の首を締め始めた。


天才を見てしまったのだ。

普段表舞台に出てこない類の天才。

ほんの一部を垣間見ただけで、私は吐き気がした。

 

実際吐いた。

何度も何度も。

 

激しく嫉妬する自分に嫌気がさし、悶え苦しむ自分を客観的にみてその醜さに自己嫌悪する。

 

それはながい時間繰り返された。

 

時間が経つにつれどんどん悪い思考がなだれ込んでくる。

 

 

『努力すればなんでも出来るようになるんだろ?ならなんで今すぐ努力を始めない?天才を見た?笑わせるな。自分は他の人とは違う。みんなよりも優れていると周りを見下していただろう。いざ自分が見下される立場になったらこれか。随分とお前の頭の中はお花畑のようだな。呆れてものが言えないとはこの事だ』

 

『結果が出ない奴は生きる価値がない?まさにお前の事じゃないか。結果が出ていると誤認しているだけで実際はからっぽのお前がよくもあんなこと言えたもんだ。余裕こいてふんずり返っているお前はキリギリスだ。冬になると最低限の食料だけがあたえられ、アリ達に生きたまま体液を吸われ続けるのだ』


『都大会出場で努力した結果?今世界中で頑張っているスポーツ選手に謝れ。そんなの努力と呼べない。そもそもお前は何度辛い練習をサボった?チームワークを乱した?上手くなろうと意識して練習に取り組まなかった?その怠惰がどれだけチームに迷惑をかけた?お前が都大会に出場したんじゃない。みんなに出場させて貰ったんだ。そこまでして自分を棚に上げて恥ずかしくないのか? 』

 

 

私は狂いそうになった。

実際狂っていたのかもしれない。

 



ある日色のない日常を過ごしていると、友達の会話が耳に入った。

 

「昨日のアニメ見たか?十八話だよ!あの挿入歌が入ってから最高だったよな! 」

 

その頃の私はアニメだとか、ラノベだとか、オタクだとか、そういった文化をただの現実逃避している社会のゴミだと思っていた。


『あれ?今の自分ってなんなんだろう?社会のゴミか〜それ以下のクズだな。落ちるところまで落ちたし、そういうのにも手を出して見るか』

 

支離滅裂な思考だが当時は本気でこう思っていた。

 


そして初めて深夜アニメを見た。

本当に異世界だった。

現実世界とは異なった世界の中でキャラクター達が動いていることに感動した。

それぞれ個性があって、十人十色の思考があって、みんな生き生きとしていた。


それがとても眩しく見えた。

 




それからは早かった。

たくさんのものに手を出した。

私の知らない世界がここにあると確信した。

アニメでいえば名作と言われるものは大抵見たし、ラノベでいえば千冊以上はよんだ。

ミックスにも手を出したし、自分で小説を書くこともした。

たくさんのものに触れ、考え方の違う人ともであった。


私は満たされていた。

 

現実逃避はいいものだった。

みんなしたくなるはずだ。

楽しい一時はあっという間に過ぎていった。

 

 

 

高校受験

 

まんまと失敗した。

選ぶ高校を間違えたのだ。

 

『受験に成功してうつつを抜かしたくない!充実した高校生活を過ごしたい! 』

 

そう思って難関高校に落ちた人が行く高校。所謂滑り止めと言われる高校に受験した。

 

『受験に落ちた悔しさで頑張れる人が来るんだろうなぁ。勉強は出来なくても部活に真摯に打ち込める人が来るんだろうなぁ』

 

そんなのは幻想に過ぎなかった。

 


 

『自分は馬鹿だから勉強は出来ないと卑屈になり間違った努力しか出来ない人』

 

『同学年なのに軟式あがりだからと馬鹿にし、こちらが分からないと示してもニヤニヤするだけの人』

 

『変に意識だけ高くて実力が伴わないのに、周りにもそれを強要する人』

 

『大した知識もないくせにイキリちらして周りに迷惑をかける人』

 

『受験は集団戦だと圧力をかけ仲良くもない人と一緒に戦うことを強要する人』

 

他にもたくさんいた。

 

私は理解しようとした。

 

皆理由があるのだと。そうに違いないと。

 

自身が咀嚼し糧にするために皆を知ろうとした。

 


 

結果得られたのは、理解できない人種はこの世に二種類いるということだった。

それは本当の天才とキチガイと呼ばれる人種だった。


そしてこの時気がついた。

 

自分もキチガイだということに。

 

周りから見たら私も理解できない人種なのだ。

 

ただの同族嫌悪だったのだ。

 

 

 

 

そして高校を辞めた。

 

色々な経緯があったがここでは割愛する。

 

結論だけ言ってしまえば、高校に行く意味を感じられなくなったからだ。

 

勉強なら塾に言った方がいいし、友達も中学時代の仲のいい人がいて困っていなかった。

野球はチームプレイが大切だと言うのに、チームメイトを見下して笑っているような人達と一緒にプレーしたいとは思わなかった。

 

 


ただ高校に通わないと大学には行けない。

大学に行かないと将来的に収入が大きく下がる。

 

高校はなんとしても卒業しなければならなかった。


それならと通信制の高校を選んだ。

 

一年で学校に通うのはたったの五日。

提出物と五日しかない登校日に通えばそれ以外は自由。

 

すごく幸せな日々だった。

 

薬学部の大学を目指しながら、空いた時間でオタク活動。

いつ異世界転生してもいいように多様な知識も身につけた。

 

 

 

転校してから数週間たった。

 

ある二種類の漫画にであった。

 

一つは【生と死】をテーマとしたものだった。

 

もう一つは【小説家】をテーマにしたものだった。

 

そっと心に染みてきた。

 

私の求めていたものはこれだ!っと思った。

 

愚直に生と死をテーマにした小説が書きたいと思った。

 

思っていても口に出せないことや、今までの苦悩を形にできる。

 

そう思った、

 


それからは自分との戦いだった。

 

自分の妄想を言葉にするのは難しかった。

 

スラスラかけるようになってきたと思えば知識不足や下調べ不足に襲われる。

 

大変だったが今までで一番『生きてる』って感じがした。

 

努力していい文章をかけるようになってくると同じ志を持つ人から「思いがこもってて読んでるうちに泣いちゃったよ」だとか「これなら新人賞狙えるかもな! 」だとか、お世辞かもしれないけどすごく幸せな気持ちになれた。

 

心を圧迫していた疑問が取れ、大きく空いた隙間に多種多様なものが流れ込んだ。

 

全日制の高校に通っていた頃理解できなかったことも、中学時代許せなかった自分も咀嚼して飲み込むことが出来た。

 

心にできた余裕がいい方向に働いてくれた。

 

 

 

 

私は今日も『生』を感じながら小説を書き続ける。

どうでしたでしょうか共感出来たこと、共感できなかったこと、感じたことなどがあれば感想頂けると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] こんにちは。 エッセイ読んでみました。 あなたの苦労が伝わってきます。 あなたは間違いなく天才です。 これほどまでの文章を書けるわけですから。 私なんて足元にも及ばないでしょうね。 [気…
[良い点] 割と共感出来るが、あまり感情が文に篭ってない気がする…ということは、今はだいぶ吹っ切れた? [気になる点] ええ…普通に努力の天才だと思うんですが… というかこんな卑屈になる思考を持ってい…
[良い点] なんか色々伝わってくる [気になる点] 重い [一言] まぁ私は天才ですから。
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