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終わりの始まり

「お父さんとお母さんが今事故にあったので急いで病院に来てください」

電話越しの声に彼は絶句していた。

「今日も学校疲れた〜」そんな事を言っている彼の名前は 、久保 拓人。17歳、現高校2年生で恋愛経験なしのごく普通の男子高校生だ。彼の父親は小さな会社の社長で何不自由無い生活を送っていた。母親は外国人の白い髪持った女性だったため、彼は日本人の顔に黒が混ざったような銀色の髪を持って生まれて来た。

たくとはいつもならば学校の帰り道、行きつけの小さなカフェに立ち寄るのだが、今日は両親からメールで、「どこにも立ち寄らずに帰って来なさい」

と連絡をされていたため真っ直ぐ家に帰った。たくとは両親と仲が良くしっかりと言われた事は守っていた。

「ただいま〜」

しかし、返事が来ない。玄関には昼間にも関わらず父親の靴もあった。たくとは何だか嫌な予感がしていたが、その予感が的中してしまっていた。

「お父さんの会社が倒産しちゃったの…」

母親は、涙を必死にこらえているようだったが、その瞳からは無数の滴が溢れ出ていた。隣で黙りこんでいる父親は、ぎゅっと手を握りこんでいた。

「俺がだらしないばっかりに…」

父は学生時代の友人だった男と共に、ある企画を考えていたらしい。そしてその企画のため多額の費用をつぎ込んだのだが、その企画は見事に失敗してしまい、その結果父の会社は倒産。多額の借金を抱えてしまった。今にも泣き崩れそうな父を見ながらたくとは、これが現実だと言う事をまだ信じられなそうにしていた。

その日の夜、少しずつ冷静さを取り戻した母とたくとはリビングで話をしていた。しかし父は、病んでしまったのかのように「俺のせいだ、俺のせいだ」とガクガク震えながら呟いていた。それを横目にふたりは会話をしていた。

「母さん、これからどうするつもりなの?」

「私達にはもし親戚はいないもの、私達だけでなんとかしなくちゃ行けないでしょ。とりあえずなんとかお父さんをしないとね。」

母が言う通り、たくとには親戚がいない。両親は二人とも一人っ子で、母方の祖母達はたくとが幼い頃に亡くなっていた。父方は、昨年祖母が亡くなってしまっていた。祖母は女で1人で父を育てていたため祖父はいなかった。

次の日、たくとは学校の先生と面談をしていた。

「久保、お母さんから話は聞いた。大変だな。これからどうするんだ?ここは私立なんだから学費が払えないだろ」

「はい」

たくとはただ俯いて話を聞くことしか出来なかった。

たくとが通う高校は私立で学費をかなり高かった。しかし彼は、特待生をとるほど頭も良くなく、どちらかと言うと<中の下>程しかなかった。

「良く親御さんとこれからどうするかしっかり話して来なさい。先生は久保の味方だ!」

先生はとても優しかった。たくとの所属していたテニス部の顧問で担任の先生ということもあって仲が良かった。

そんな先生との面談も終わり、彼はまた一人帰り道を歩いていた。こんな状況では友達に会うことが辛かった。そんな時だった、

ピリリリリリリ、ピリリリリリ

携帯電話が鳴り響いた、

「はい」

その電話の主は病院の看護婦だった。

「お父さんとお母さんが今事故にあったてしまったので急い病院に来てください」

電話越しの声に彼は絶句していた。

「わ、わかりました」

擦れた小さな声でたくとは返事をした。

彼は全力で病院に駆け込んだが両親はすでに亡くなっていた。父が運転する車が思いっきり壁にぶつかって行ったそうだ。警察の人も自殺だったと話していた。彼はその日一晩中泣き崩れていた。

朝になると彼は高層ビルの屋上に立っていた。

その日はちょうど嵐が来ていて雷もゴロゴロ鳴り響いていた。

「こんな、こんな人生のはずじゃなかった…今までこんなに楽しかったのに…クソ!なんでだよ、なんでなんだよ!みんなごめん…もう無理だ」

彼が怒号をあげ、目をつぶり足を踏み出した瞬間だった。

ピカ!!!!ゴロゴロゴロゴロ!!!

彼に雷が直撃した。その衝撃と共に彼はビルが落ちていた。

(神様はどれだけ俺が嫌いなんだ)そう思った瞬間彼の意識は無くなって行った。


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