1 出逢いは星空
あたし、瞬あかり16歳は、星が大好きな女の子なのでして。
今夜もこうして山にのぼって、満天の星空に飛び込んでは、はぁ~っと、溜め息を漏らすばかりなのです。
ご紹介が遅れました。あたし、またたきあかりは……って、これさっきも言ったっけ? あはは、ごめんね❤
お察しの通り、あたしはあんまり頭がよくなくて。星を見るのも、家とか部活とか勉強とか、嫌なことぜ~んぶ忘れて、頭ぽか~んってなれるから、大好きなだけなんだ。……不純? そうかもねー。
星座だって、正直よくわかんない。冬の第三角形、オリオン座、北斗七星、夏の第三角形……くらいまでは覚えたけど、正直、なんかどうでもいいかなって。
あたしが星を見る! 星もあたしを照らす! それでいいのかなって。第一、あんなに綺麗な星をあたしが発見したのに、ずーっと前に誰かが名前を付けちゃってる、なんてのがおかしいと思う! そうだよねっ? ね!? ねっ!?
……ごめん、ちょっと勢い付きすぎた……。反省。
でもね、あたし、今のこの時間が大好きなんだ。こうして星空とあたし、ふたりだけの世界……。誰にも邪魔されない、静かな夜……。ま、虫はリーリーうるさいけどね。
うるさいで思い出した。学校から帰ったらお母さんが、あれやれこれやれ、うるさくってさ。それで、家を飛び出してここに来たんだった。……もうっ、お母さんのばか! あたしはちゃんと家の仕事手伝ってるのに! やれ「やり方が悪い」だの、「あんたは雑だからお母さんがやり直すはめになる」だの、じゃあお母さんが自分でやればいいじゃん! ~~! っもう!
「うるさいわねー、さっきから」
!?
えっ、えっ!? だ、誰!? いつからそこにっ!??
「ずっといるわよ。……アンタのつまんない愚痴、ずっとここで聞かされてた。もうウンザリなんだけど?」
え~~っ!? し、失礼いたしました~~!
……って、えっ……?
あたし、今、声に出してたっけ……?
「聞こえちゃうのよ、心の声が。私は天才だからね」
星空の大地であたしが出逢ったのは、なんだかヘンテコな女の子でした。