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東方人獣妖鬼  作者: 狼天狗
第弐章 異世界の者たち
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第86話 最強の博麗からの教え

何週間も更新せずに申し訳ありませんでした。

今回は19話目。次話でコラボ話最後です。

 時刻は明け方。幻真は昨日、霊斗からあることを教えると言われ、近くの森に来ていた。


 突如、彼の目の前に一匹の龍が現れる。白い鱗をした、足のないワイバーンのような龍。しかし、その龍は現れるなり奥へと飛んでいく。幻真は走って追いかけた。


 暫くして、また別の龍が現れる。黒い鱗と大きな羽に、巨大な前足を持つ龍。だが、彼は前触れなく吐き気に催される。だが、催されている間にその龍は消えており、目の前には霊斗がいた。


「大丈夫か?」


「今の龍たちは……なんだ……?」


「白い鱗の龍は"展望龍アルカリオス"。黒い鱗の龍は"滅神龍ラグメルリア"だ。そして、こいつらを召喚するのが感情爆発ってヤツさ。それで、こいつらにお前を認めさせる」


 幻真は頭に疑問符を浮かべていた。取り敢えずわかったのは、二匹の龍を召喚する為に彼らに認めてもらう事。それができれば、自分は強くなる。


制限時間(タイムリミット)は日の出までだ」


「……はあ⁉︎ 後一時間も無いんじゃないか⁉︎」


「それが修行だ。ほら、そんな事している間にも時間は無くなるぞ」


 幻真は渋々、二匹の龍との決闘を始めた。








 一方、桜は霊夢を鍛えていた。霊夢は始め、なぜ鍛えられるのかわからないでいたが、強くなるならいいと思って、すんなり受けた。だが、予想以上にキツかったのか、少し疲れていた。


「霊夢、修行サボっているでしょ」


「げっ……なかなか鋭いわね。あんたは一体どれぐらい強いの?」


「そうね……これでも霊斗には及ばないわ」


「彼ってそんなに強いのね。幻真では到底及ばなさそう」


 そんな事を話す霊夢と桜。そこに、終作がどこからともなく二人の目の前に現れる。


「修行中かい?」


「珍しいわね。次元の狭間は使わないの?」


「ちょっと取り込んでましてね。まあ、それはいいとして。今日は霊斗たちの修行を見に行くのさ」


 桜は意外といった表情を見せる。霊夢は首を傾げて二人の会話を聞く。終作は霊夢に顔を向け、ニッと笑って見せる。霊夢はギクッとするが、終作は手を後ろに回してクルッと周り、どこかへ歩いて行ってしまった。


「終作ってあんな感じの人なの?」


「まあ、そうね。取り敢えず、霊斗たちの所へ行きましょうか」


「わ、分かったわ……」


 霊夢は桜に付いて行くのだった。








 契約を始めてから一時間が経った。幻真は既に二匹の龍には認めてもらい、更に他の事を行って、今は休憩していた。そんな彼の元に、狼や想起たちがやって来る。


「やあ幻真。早いね」


「特別に何か教えてもらっていたんだろ?」


「はは……まあな」


 幻真は苦笑いしながら立ち上がり、霊斗に視線を向ける。彼は小さく頷くと、口を開いた。


「それじゃあ、始めようか。だが、今から教える"超技術"を習得するには、長い時間が必要だ。その為に、この空間でやってもらおう」


 霊斗はそう言って、隣に異空間への入り口を出現させる。異空間でやるのは、もしもこの世界で時を止めたりすると悪影響が起こり兼ねないからだ。すると、そこに終作と桜、霊夢がやって来る。


「霊——」


「霊斗、そんな事やってる時間は無いんだろ?」


「そ、そうだったな。よし、皆早く入れ」


 狼を先頭にして、次々と空間の中へと入って行く。最後の方は幻真、霊夢、桜、終作、霊斗と入って空間の入り口を閉じた。




 そこは、殺風景な空間。真っ白で、変わった特徴はそれだけ。幻真は何かモジモジとしていた。時龍がトイレか? と彼に問う。


「こんな所にトイレなんかあるのかよ」


 和正が苦笑しながら幻真に言うが、霊斗は真顔で無いことはないと言う。まあそうであろうと、想起は頷く。その直後、幻真は霊斗にトイレの場所を聞いてそこに駆け込んだ。


「全く……取り敢えず、幻真が戻って来たらまずは腕試しだ。相性というものがあるからな。お前らは戦闘体勢に入っておけ」


 狼たちは霊斗に言われ武器を構える。桜と終作は遠くに離れようとするが、霊夢が一緒に行こうとしない。桜が訳を聞いてみる。


「私も強くなりたいの」


 返事は短かった。その言葉を耳に入れた霊斗は少し悩む動作をしたが、結論はやめておいた方がいいとの事。更に母親の霊妙にも止められ、結局様子を見ることにしたのだった。


 ガッカリした霊夢の様子を見た桜は、また幻真が相手をしてくれると慰めた。終作もそれに共感した。


「お待たせ〜。あれっ、今から何をするんだ?」


「腕試しだ。ほら、武器を構えろ」


 幻真は言われた通り真神剣と雷刀ゼニシアを構えて二刀流の状態となる。彼自身、二刀流は久々だ。短刀を除いてだが。


「よし、皆構えたな。今からやる事は、さっき言った通り腕試しだ。なに、軽くだから大丈夫さ。俺に攻撃を如何にして当ててくるかを見るだけだ。それじゃあ、来い!」


 霊斗の最後の言葉と同時に動き出したのは、和正だ。神妙鉄の小手を使い、霊斗に殴りかかる。それはエンチャントされており、過度の重さな為、喰らうと痛い。だが、霊斗はそれを軽々と受け止めてしまう。


「まだ使い方が成ってないかしら」


 桜は一人、呟く。


 続いて動いたのはニックだ。光杖ラルクアンシエルの封印の為の袋を取り、長さを二メートル程に伸ばし、それを回して火炎玉を作り上げる。そして、霊斗に飛ばしたが、それは拳によって消されてしまう。更に炎、水、風の弾幕を出現させて飛ばすが、それもまた素手による薙ぎ払いで塞がれてしまう。


「霊斗はやっぱ強いな〜」


 終作は霊斗に感心しながら観戦する。それに加えて、興味深そうにもしていた。


 続いて攻撃をしたのは狼だ。毒剣ヴリトラを構えて霊斗に斬りかかるが、腕で受け止められてしまう。毒をなぜ腕で受け止めたのかと、狼は驚いていたが、その隙に霊斗によって吹き飛ばされてしまう。


 次は想起と時龍が共に畳み掛ける。想起は獄炎刀ニズヘグを薙ぎ払って獄炎の斬撃を飛ばす。時龍は黄金剣バベルで霊斗に斬りかかる。しかし、想起の放った斬撃は霊斗の素手による斬撃で相殺させ、時龍の攻撃も難なく受け止めてしまう。


「これが最強の博麗……強すぎる……」


 霊夢は霊斗の実力に驚きながら、じっくりと様子を見ていた。


 幻真、霊妙、喜響の三人は同時に攻撃を仕掛ける。幻真は雷刀ゼニシアから稲妻を放ち、霊妙はその場で蹴り撃を飛ばし、喜響は偽銃ソドムで自身の力を溜め込んで弾幕を放つ。霊斗はそれをモロに喰らった。


「やったか⁉︎」


「——俺をその程度の攻撃で倒せると思うか?」


 幻真は霊斗が無傷なのを見ると、俯いて悔しがった。だが、そこで皆の腕試しは終わる。


「そこまでだ。桜、来てくれ」


「え、ええ。わかったわ」


 ワケもわからずに呼ばれた桜は、疑問に思いながらも彼の場所へ行く。そして、彼は彼女に何かを耳打ちした。


「——俺が教えるのは幻真、狼、霊妙、喜響、和正、ニックの六人だ」


「俺たちは?」


「時龍と想起は桜に習え。大体は何を習うかわかるだろう。特に想起だな」


 名前を呼ばれた彼は直ぐに察した。だが、時龍にはまだわからなかった。


「それじゃあ、開始」






 霊斗はまず、剣を扱う幻真と狼にとある技を教えていた。その技の名は、『隼切』。圧倒的速度の二段攻撃で、一瞬で二本の剣が現れたとも錯覚するそれは、時空すらも切り裂いて相手にダメージを与える。だが、使うと疲労が襲いかかるデメリット付きだ。


 一人ずつ教えていると時間がない為、霊斗は分身して教えていた。流石に色々な力を使う為、中々その行動はキツかった。だが、その辛さを表には出さなかった。


「教えるのは教えるが、今は使うな。いいな?」


「わかった。取り敢えず、こんな感じでいいんだろう? 早く次を……」


「そう慌てるな。俺はしっかりと教えるから。もう一人分身を作って……よし、俺が本体だからな。教えるのは幻真だ」


 霊斗の分身は似過ぎていて、見分けが付かなかった。


 幻真が教わるのは縮地、空歩、衝撃玉砕、肉鎧、斬脚、神風の六つだ。なかなか多いかもしれない。


「縮地は知っているが、その他はよくわからないな……」


「まあ、その都度教える。狼は縮地と斬術、そして空歩だ。それじゃあ、始めるか」






 時龍と想起は、桜からエンチャントを習っていた。これは、何かしらの力を使って陣を武器に纏わせる技術でたる。時龍は想力を使って陣を纏わせられる。想起なら幻力を使って陣を纏わせる事が可能だ。


「霊力じゃないけど、大丈夫よね?」


「その辺は心配ない。取り敢えず、自身の武器にでもやってみろ」


 霊斗の分身に言われ、想起は幻夢剣にエンチャントを開始する。すると、剣が光出して、時龍の創造によって作られた木に向かって放った斬撃には、獄炎が纏っていた。


「おお、スゲェ! 俺もできるかな?」


「さあな。想起は幻力を実態にまで置き換えている。これは凄いと思うぞ。取り敢えず、時龍もやってみろ」


 時龍は力強く頷くと、刃折れの夢龍剣を背中の鞘から取り出す。そして想力を込めると、折れた刃の部分が黒と白のオーラを纏っていた。そして、それを振るうとと、そのオーラが炎となって飛んでいった。


「やったぞ!」


「だが、まだまだだ。もっと力を込めて放つんだ。それが出来れば、エンチャントによって力を纏わせられる」


「よくわからんが、武器に力を込めればいいだけだろう。絶対に習得してやる」


 燃える想起。何かしら火が付いたのだろうか。桜は微笑した。時龍も想起のやる気を見て、自分も頑張ろうという気になっていた。だが、エンチャントはそこまでで良かった。想起たちは止められ、霊斗の話を聞いた。


「想起に教えるのは、斬術、縮地、模演、肉鎧、瞬歩の五つ。時龍に教えるのは縮地に加えて三つ。玉砕鎧拳、スタップクラナー、超直感だ。因みに、エンチャントも超技術の一つだからな」


「色々と難しそうだな。取り敢えず、よろしく頼む」






 和正と喜響は、一緒に霊斗から教えてもらっていた。教えていたのは縮地と空歩の二つ。比較的に他の者たちより教えてもらうのは少ない。だが、これを極めると戦闘の効率が良くなる。


 ニックは縮地、月斬、瞬歩の三つ。


 霊妙は縮地、壁走の二つ。


 そして、火御利は縮地、絶圏・獣尾の二つだ。






 あれから一日が過ぎた。だが、やはり習得には時間がかかる。この空間の外では、まだ一分しか経っていない。しかし、空間内だからと言って疲れは感じるもの。だが、皆はそんなもの感じていないかのように見えた。


 一週間が経つ。皆はもう縮地に慣れてきていた。幻真は既に空歩の修行に差し掛かっていた。時龍と想起はエンチャントを使い熟していた。だが、流石に桜ほどには及ばなかった。


 一ヶ月が経つ。皆は縮地を九割程度は習得していた。その中でも、幻真とニックは覚えるのが早い。幻真は空歩を七割程習得し、衝撃玉砕は六割程覚え、次の技へと移ろうとしていた。ニックは既に瞬歩まで覚えていた。


 そして、あっという間に一年が経った。外では十二時間、半日が過ぎていた。皆は既に全てを習得していたが、完璧とまでは言えなかった。そして、残るは幻真だけ。最後の技術は神風で、もう終わりに差し掛かっていた。


 その他の皆は自分達が習得した超技術をマスターする為に、更に鍛錬に励んでいた。そして、終わりが訪れる。


「……よし、これにて終了だ」


 霊斗の言葉に、幻真は飛び上がるようにして喜ぶ。桜も拍手をしながら、祝う。


「だが、まだまだ未完成だ。無闇やたらに使って危ない事をするなよ」


「ああ。色々とありがとうな」


 こうして、霊斗との修行は幕を閉じたのだった。

超技術…大丈夫だったかと心配です。

次回でコラボは終わりです。最後までよろしくお願いします。

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