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東方人獣妖鬼  作者: 狼天狗
第弐章 異世界の者たち
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第84話 ホロウ姉妹との遊戯

コラボ17話目。

昨日は更新出来ませんでした、すいません。

 さて、あれから一晩が経った。酒を飲んでいた者たちは酔い潰れており、煩く眠っていた。だが、一人の男がムクリと体を起こした。


 それは、幻真であった。彼は狼や火御利たちを揺すり起こし、修行の事を口にする。起こされた者たちは、なお眠そうにしていたが、外に出てラジオ体操をすることにした。


 だが、たった一人だけこの場にいなかった。その者は、ニック・ヘルスリート。彼はこういった場を好まないのか、終作がいるであろう次元の狭間に立ち寄っていた。


「君は俺が逃げてきた後からここに来たよね」


「ええ。まず酒を飲んでいないので、酔ってはいないです。でも——武器を貰えるという事なので、ホロウ姉妹さんたちの遊びには参加するつもりです」


 終作はどこから持って来たのか、朝食である和食定食を頬張りながらニックの話を聞いていた。すると、一旦箸を置いてパンっと一拍手すると、ニックの足元に穴が開いて次元の狭間から追い出されてしまった。


 彼は幻真たちの所に落下し、驚いた彼らはラジオ体操を一時止めた。その場にいた者たちは慌ててニックに駆け寄り、怪我はないかと問う。


「大丈夫です。全く、終作さんも手荒な真似をされるモノですね……」


 そんな話をしていると、ニックが落ちて来た衝撃が大きかったのか、サテラと緋闇が様子を見に来る。更にその後ろから、桜が眠たそうに起きてくる。


「あら、ニックだったかしら。全員参加って伝えたはずよ」


「すみません、終作さんに捕まってしまってて」


 桜は終作のせいにするニックの言動に、溜息を吐いていた。一方の終作は、なんで自分の所為にしているんだと、若干怒っていた。


「おーい、終作〜」


 次元の狭間の外から活躍が終作を呼ぶ。終作は怒りの表情を隠して、活躍に顔を覗かせる。活躍は終作が怒りを隠しているのをお見通しだったが、敢えて触れずに用件を言う。


「俺も中に入れてくれよ。暇だからさ」


 終作は何も言わずに次元の狭間の入り口を開ける。活躍は自分が何か仕出かしたかと思い当たる節を考えようとしたが、終作の事だから大丈夫だろうと思い込み、話を置いておいた。


 一方の終作は、活躍もこの空間に入れておけば帰りが楽だろうと思っていた。実際、活躍がどこにいても直ぐに呼べるのだが。


「取り敢えず、早起きしたのは褒めてあげるわ。今朝は火御利と幻真に料理をしてもらうわね。それと、台所でランタンたちとの遊びの内容を話すから」


 桜を先頭に、今起きている者たちは台所に向かう。途中、幻真は霊斗がいないことを不審に思ったが、彼の事だから大丈夫だろうと、特には気にしなかった。








 同時刻。霊斗は早朝から空間の裂け目のある場所に訪れていた。どうも胸騒ぎが止まらず、つい一人で来てしまったのだ。だが、その胸騒ぎも決して外れていなかった。


「終作が隠しているはずだが、近距離だとプンプンと邪悪な気を感じてしまう……」


 だが、今の時点でこの先のモノと戦うのは早すぎる。霊斗や終作といった強者たちなら敵うのかもしれないが、あまり手出しをすると予期せぬ事態が起こる可能性があると判断しており、手を出していなかったのだ。


「今は幻真たちの強化だ。一度神社に戻ろう」


 霊斗は誰かに聞こえるように話して、その場を去って行った。


 だが、その言葉をある者が聞いていたのだ。


「今の私は彼には敵わない……博麗最強の男……例え神の力を得たとしても、勝るとは言い難い。そうね……彼らがいなくなり、この世界の者だけとなったその時を狙うわよ……」








「——それで、遊びの内容って言うのは?」


「今から説明するわ。サテラの能力、"場を作る程度の能力"で迷宮の場を作って貰って、ランタンたちが陰に隠れて攻撃をする。隙を狙って二人を捕まえるっていう簡単な遊び」


 攻撃をしてくる時点で簡単ではない。一方の自分たちは攻撃禁止、能力禁止、スペルカード禁止。ただし、飛ぶのは可能。実力で捕まえるしかないのだ。


 だが、時龍はニヤついていた。その様子にホロウ姉妹と桜は彼を睨めつける。時龍がニヤついていたのは、ホロウ姉妹を抱き締めて捕まえようと言う事だったのだ。流石は変人。


「私は幻真に捕まえて欲しいな〜」


「頑張れ〜幻真〜」


 当の幻真は、捕まえるなら妖夢を捕まえたいと心の奥底では思っていた。


「それじゃあ、みんなを起こしに行くわよ。ほら、料理をしない人たちはさっさと動く」


 桜はせっせと時龍たちを働かせる。これも強化の内の一つなのだろうか……


 そこに、霊斗がやって来る。台所からはいい匂いが漂っており、吊られてそちらに向かう。寝ている者を上手く踏まないようにして。


 メニューは至ってシンプル。白飯に味噌汁、魚に漬物。後は単品料理。霊斗は釜の蓋を開けて白飯の具合を確認する。彼は満足だったのか、ウンウンと頷いた。続いて、味噌汁の汁を一杯味見する。これまた満足して頷く。後の心配な単品も味見をし、満足な笑みを漏らしていた。霊斗は味が教えた通りになっていたため、大変喜んだ。


 皆は広間でそれぞれが仲の良いものと雑談し、朝食を待っていた。だが、その席に終作と活躍だけがいなかった。既に彼らは帰ったのか、一部の者たちはそう思っていた。


 そして、料理が運ばれて来る。それぞれの好みに合わせた定食が。


 皆は味わって食べた。






 あまりゆっくりしていられない幻真たち。片付けは良太や耶麻人たちに任せる事にした。そして、遊びは始まる。


 迷宮の場に幻真、狼、火御利、時龍、想起、和正、喜響、ニックが送られる。霊妙は強化プログラムには参加しないため、磔、春姫、サテラ、霊斗、ハイドと共に観戦席に転送される。それ以外の者たちは、この幻想郷におり、各自観光などを楽しんでいた。ある者たちを除いて。


「今から八時間以内に私たちを捕まえてね〜」


「満足させてね〜」


 一応遊んだら武器を上げると言う事になっているため、捕まえるのは絶対という訳ではない。ランタンとウィスプは消え、ゲームが始まった。


 サテラの能力で場ごと変えているため、そこは博麗神社の敷地では無かった。人数が偶数だったため、それぞれ二組ずつ分かれる。


 幻真とニックは警戒しながらホロウ姉妹を探した。相手は攻撃をしてくる。瞬発力を上げるのにはちょうど良い。すると突然、炎の玉が幻真たちに襲いかかる。幻真はギリギリのところで避け、ニックはすんなりと躱した。その火の玉の正体は、ウィスプ。こっちだよ〜と二人を煽り、逃げていく。


 ルートをイマイチ確保出来ていなかったが、一か八か挟み撃ち作戦に出た。だが、奇跡的に挟み撃ち成功。しかし、二人が飛びついた時にはウィスプは空へと逃げており、二人はぶつかってしまう。その様子に、春姫は笑っていた。


 狼は想起と行動していた。その迷路のエリアは熱く、まるで溶岩地帯にでもいる感覚だった。迷路と言っても、カクカクに入り組んだ迷路なんかでは無い。様々な場所が密集した、訳のわからない迷路だった。


 すると突然、弾幕が飛んでくる。それは、ただの弾幕なんかではなく、怨念弾幕と呼ばれるものである。狼と想起は咄嗟に躱し、体勢を整え直す。だが、そこには既に誰もいなかった。


 火御利は時龍と暗闇の中、炎の弾を浮かせて行動していた。なぜか時龍は火御利に変な行為を見せず、真面目にホロウ姉妹を探していた。だが、暗いため確認ができないが、何者かが剣で時龍に斬りかかってくる。


 武器の使用は禁止。時龍は知能力で攻撃を躱し、剣を振るう主の背後に周り抱き締める。だが、その抱き締めていたものはその剣だった。惜しくも逃した時龍は、舌打ちする。


 和正と喜響の兄弟は、少々間を空けながら行動していた。しかし、突然銀色のひしゃくが彼らを襲う。二人は軽々と躱し、飛んで来る方向に飛びかかる。だが、怨念で塗り固められた閃光で薙ぎ払われ、動きを止められてしまう。更に怨念による移動妨害をされるため、その主に辿り着けない。


 そして、その者は正体を明かす。正体はランタン。笑いながら二人の様子を見ており、手を振ってその場から離れていった。








 アルマとパルスィは、壊れた火御利の家にやって来た。アルマはその状態を改めて確認すると、一緒に来ていた絢斗にこれを直せるか問う。絢斗はニヤッと笑って彼らに言う。


「パルスィちゃんのお願いだし、火御利ちゃんの家でもあるから御安い御用さ!」


 彼は壊れた家に手をかざす。すると、眩く光りだした。


 暫くして光が止んだ後、そこには火御利の家があった。パルスィは泣いて喜んだ。


「喜んでもらえて何より! それじゃあ、俺はちょっと遠くの所に行って来るよ〜」


 絢斗はそう言い残し、その場を去った。アルマとパルスィは家の中に入り、本当に元通りか確認する。家具類がバラバラになっていたが、何とかそれなりのコーディネートで部屋を元通りに直した。








 国下は人里へ美味い酒探しと挨拶をしていた。彼はなぜか里の人たちとは仲が良かった。これは縁か何かなのだろう。それに、美味い酒探しは国下だけではなかった。カスミとジラも来ていたのだ。実際の所、美味い酒探しに行こうと行ったのはカスミで、ジラは付き添い、国下は参加者のような感じであった。


 と言っても、この世界の幻想郷には特別な酒などないため、単純に美味い酒しか買っていなかったのだ。桜が持って来た酒の中にも特別な酒があった。それを一本ずつ、国下は持って帰ることにしていたのだ。


「ん、アレって……」


 国下は一人の少女を指す。その少女は、緋闇だった。彼女もまた、観光者の一人。人里に寄って、ゆっくりしていたのだった。緋闇も国下たちに気が付き、手を振って、その店の中へと入って行った。








 あれから数時間経った。幻真とニック、火御利と想起以外は疲れて休んでいた。霊斗は残っている者たちを中々の生命力だと見なした。


「後三十分よ。頑張りなさい」


 桜の掛け声に、四人は後もう少しで終わるという希望と、後三十分以内に捕まてやるという気合が込み上げた。


「ここは……」


 幻真は嘗てニックと共に、ウィスプを挟み撃ちした時の場所に戻って来ていた。それに、今は火御利と想起も一緒。目の前に現れたホロウ姉妹を追い込んでいく。


「ニック! さっきと同じだ! 火御利はあっち、想起はそっちから周れ!」


「了解!」

「任せろ」


 幻真は指示を促し、それぞれを誘導していく。遂にホロウ姉妹は追い詰められる。三人が飛び付くと、先程と同じで空中に逃げられてしまう。だが、これは作戦。上で待機していたニックが勢い良く飛んで、ホロウ姉妹の二人を纏めて捕まえた。


「あ〜あ、捕まっちゃった〜」


「残念〜」


 二人を捕まえたと同時に場所が元に戻り、桜が拍手をしながら幻真たちに近付いてくる。そして、感想を述べた。


「最後の作戦は良かったと思うわ。経験をしっかり活かせてる。それじゃあ……」


 特別な台に並べられた多数の武器をホロウ姉妹が押してくる。幻真はその数々の武器を見て目を輝かせる。それは幻真だけではない。その場にいた者たちみんなだが、特に興奮していたのが想起だ。鍛治職人として当然だろう。


「さあ、選びなさい」




 狼は毒剣ヴリトラを取る。


 死者の魂の生者への恨みを結晶化させて出来る水銀を地獄の業火で焼き、他の毒素を取り除いた銀色の剣である。


 更に剣の持ち手の部分には、桜が祝福した木を使用しており、持ち主は毒を受けない。水銀毒が相手の動きを鈍らせ、切りやすくしていく作用を持っている。


 持ち手を持って念じると水銀は回収でき、水銀毒を治癒させることができる。地獄の業火による特殊な加工により、元々液体な筈の水銀がとてつもない硬さの刀身になっていた。




 想起は獄炎刀ニズヘグを取る。


 桜が剥いできたニーズヘッグの皮を使って、地獄の業火で燃えて消えなくなった鉄の刀をなんとか使えるようにした物である。相手が悪行を積んでいるほど相手を焼く火力が強くなる刀で、とある天使などにはとてつもなく効いたりする。




 時龍は如何にも高価そうな黄金剣バベルを取る。


 死者の魂の物欲を結晶化させて出来る強欲の黄金を整形し、一緒に結晶化した黄金以外の物をランタンたちの技術により取り除いた大剣。持っている者の金運がとても上がり、この剣で切り倒した相手の力を断片として学習して自らの力とする剣。とても悪趣味なギラギラな金色である。


 地獄の業火による加工により普通の金とは比べ物にならない硬さになっており、杭打ちに使っても欠けない様になっていた。




 幻真が選んだのは雷刀ゼニシアである。


 桜の見立て術により、ギリシャ神話の三神の神具の贋作を作ろうとした時の一本。ゼウスの雷の贋作であり、制御機構が仕込まれてカミナリ型の刀身の刀になった。


 リミットがかけられていても、ケータイの充電から大都市の電気供給まで調節した電気を放出することが出来る。リミットを外すと世界中の雷を束ねたような攻撃ができるが、敵も味方も自分も全てを巻き込むようになる。




 和正が選んだのは神妙鉄の小手——もちろん格闘武器である。


 大きさを変えれる金属、神妙鉄を桜がエンチャントし、ウィスプが加工したものとなっていた。エンチャントにより重さがある程度調整出来るようになっていて、鍛錬のために重くしたり攻撃のために適度な重さに、なども可能のようだ。




 喜響が選んだのは偽銃ソドム。彼は銃系統の武器の扱いに長けているからだ。


 ゴモラを作ったのでせっかくだし、と軽い感じでウィスプが作成した。死者の魂の残滓の結晶からつくった愚者の黄金こと黄鉄鉱を地獄の業火で加工してつくった銃である。


 黄鉄鉱自体が火打石の性質を持っているため、強く降ることで発砲する、という使い方ができるようになっていて、相手の虚を突くことに目を向けて作られている。獄炎の加工により素材の弱さは緩和され、そう簡単に壊れるものではなくなっている。




 火御利が選んだのは光銀の髪飾りである。


 辺りを清めることに特化したエンチャントがされており、調整によりお風呂くらいのさっぱりから、神域みたいな清浄さまで自由自在。生物には効かないものの、持ち主を清めることは可能のようだ。




 最後に残った武器、光杖ラルクアンシエルをニックは手に取る。彼自身、元々武器を持たない魔導師。今回初めて武器を手に入れて、大変喜んでいた。


 ラルクアンシエルは桜が一本へし折ってしまったユグドラシルの枝の欠片を使い、虚無の世界を満たす虚無を鍛造した虚無鋼と、光を鍛造したライトインゴットを合金にしたもので装飾してランタンたちが作り上げた長杖である。


 錫杖みたくとても長い杖だけれども、使用者の思うがままに伸び縮みさせることが可能。術の負担を軽減し、威力を向上させる能力はとてつもなく高い。


 そこら辺に放置してると簡易的な精霊が湧き出したりするため、封印のための袋がセットになっている。




「これで以上ね。霊妙は良かったのかしら?」


「私は大丈夫よ。それより、早くご飯を食べましょ。作っておいたから、冷めない内にね」


 遊びで疲れ切った者たちは、次々に中へと上がって行く。その場に残ったのは、幻真、想起、桜、ホロウ姉妹の五人だった。


 幻真はホロウ姉妹と桜に礼を言おうとすると、想起が割り込んで土下座までしてホロウ姉妹に弟子入りを望んだ。だが、ホロウ姉妹は弟子入りを断り想起は残念な気持ちになったものの、表情を変えずに社へと入って行った。


「明日からその武器を使っての鍛錬よ。幻真、楽しかったかしら?」


「まあな。明日は磔に習うのか〜。やっぱ厳しいだろうなぁ……」


「ええ。磔は鬼になって技を習得させてくれるらしいから、楽しみにしときなさい。私はその間に、他の者たちを鍛えておくから」

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