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東方人獣妖鬼  作者: 狼天狗
第弐章 異世界の者たち
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第82話 決勝戦

Merry Christmas!

今日はクリスマスですね。いかがお過ごしでしょうか?私のプレゼントは今回のお話でしょうか。

コラボ15話目です〜。

「タッグバトルもいよいよ終盤。決勝戦は、幻真&白谷磔ペア対、山上国下&博麗霊斗ペア!」


 手を振りながら入場する幻真と、緊張感を見せる磔。一方の相手、国下は礼儀正しく礼をしてから入場を始め、霊斗はワクワクした様子を見せながら入場する。


「国下! 霊斗! 俺の分まで頑張れよ!」


 先程までの話を終えた和正は、応援席で別人のように二人を応援した。和正の隣に座っていた喜響もまた、二人を応援する。


「お父さん頑張って〜!」


 良太の膝の上で磔の娘である春姫が、無邪気に父親である磔を応援する。良太も春姫に負けじと大声で応援する。


 絢斗も控え室から戻っており、楽しみな表情ながらも心の中で磔を応援していた。


「幻真さん、ファイトですよ〜!」


 その声の主は、パルスィにアルマ、狼や火御利たちと一緒に応援する妖夢だった。幻真は彼女の声に気付き、彼女に向けてグーサインをした。彼女は顔を赤めたが、グーサインを送り返した。


 幻真の世界の一部の住人たちは、幻真と磔を応援しているが、その他の住人たちは霊斗たちの実力を受け、その二人を応援している者もいた。


 勿論、異世界の者たちで敗退した者もお互いのチームを応援していた。


 幻真、磔、国下、霊斗の四人は、緊張感のある戦いを繰り広げる。






 幻真と霊斗はお馴染みの得物——幻真は真神剣を、霊斗は霊神剣を構える。一方の磔は、自身が作ったというイクスブレードを構えていた。


「俺からいくぜ! 斬符『空風斬(ウィンドスラッシュ)』!」


 幻真は剣に風を纏わせ、その場で剣を振って疾風を起こして霊斗たちに飛ばす。対する彼はその疾風を斬ったと同時に、周囲に弾幕を出現させて巨大な尾のようにして幻真たちに飛ばす。


 その攻撃に応じたのは磔だ。想符『イリュージョンソード』によって鎌鼬を飛ばし、多量の弾幕を貫通した。その爆風の中から、一人の男が拳を握って突っ込んでくる。


 一撃『鬼殺し』。国下は妖力を乗せた正拳突きで、威力のおかしいマスパを二人に放つ。二人は反射的に攻撃を避け、直ぐに体勢を整える。相手は霊斗という大物に、国下という鬼神が相手だ。油断はできない。


 戦いは止まらない。幻真が再び動いた。炎砲『溶岩熱砲(マグマガン)』を発動させる。その攻撃の標的は、国下だ。


 だがしかし、流線『雨流し』によって攻撃を難なく躱してしまう。その時、幻真は霊斗がいないことに気付いた。だが、気付いた時には既に遅し。霊斗が幻真の背後に回っていた。霊斗は薙ぎ払おうとしたが、磔が咄嗟に攻撃を受けに行き、奇襲は失敗に終わる。


「霊斗らしくないが?」


「幻真の弱点を見せようとしてな」


 剣を交えながら話す二人。だが、霊斗の持っていた霊神剣が幻真の攻撃によって弾き飛ばされる。


 霊斗はその場で両手を上げて敢えて(・・・)降参の様なポーズを取ってその場に立ち止まる——が、ニヤッと口を動かすと霊符『夢想霊砲』を放った。威力は夢想封印やマスタースパークとは比較にならず、それは磔を襲う。


 磔は海符『オーシャンウォール』によって、なんとか攻撃を受け止めたが休んでいる暇は無く、弾いたはずの霊神剣を持った霊斗が磔に斬りかかっていた。


 磔は焦りを感じたのか、形態変化『モードヴェント』によって、イクスブレードを大剣に変形させる。霊神剣との大きさとは比になるが、決して霊斗との力量は比にならなかった。


 一方、国下が二礼『天討二拍手』による音の衝撃波で全方位に攻撃をする。もちろん、全方位のため磔と霊斗にも影響が及ぶ。だが、その二人は瞬時に避けて互いの得物を交じり合わせていた。幻真は自分に向かってくる衝撃波だけを斬った。


 彼は心符『勾玉全弾(フルジュエル)』でそれぞれ二色の勾玉の弾幕を出現させる。炎は赤と白で炎を、闇は紫っぽい黒と白で黒いオーラを、雷は黄と白で雷を、水は青と白で水を、風は緑と白で風を纏っていた。光は常に光っているため色は確認できず、氷は水色と白で氷漬けにされていた。幻真はそれら一種類を一秒で三つ出現させていた。それと同時に、国下に飛ばしていた。


「厄介だな、これは……」


 炎は破裂する際に火花を散らす。雷は破裂する際に雷を、水は破裂する際に水を、風は破裂する際に暴風を発する。光は破裂する際にフラッシュし、氷は割れる様に破裂した。


 幻真は勾玉弾幕を出現させるのを止めると、間を空けて地面が盛り上がり、火の柱が出てくる。スペル、熱符『熱火柱』。磔と霊斗は互いの剣を交じ合わせていたが、地面が盛り上がるのを感じてお互いに距離を取り、火柱を躱した。


「幻真、味方のことぐらい考えてくれ」


「悪い悪い。でも、磔はこんな状況でも苦戦しないだろ?」


「……まあな」


 磔は炎の纏った大剣から、先程使用した形態変化『モードヴェント』によって刀が二つになり、風の炎を纏わせる。更にスピードを上げたため、一瞬にして国下の元へと移動した。


 国下は驚きの表情を見せずに、妖力を纏わせた拳でストレートパンチをする。磔はその拳を受け止めようとする。だが、本当は国下はパンチをしようとした訳ではない。磔の持っていた片方のイクスブレードを奪い取ったのだ。そして、国下は契約『覚』によって紫色の目が浮かび、覚りの能力を一時的に得た。


「紫色の目……」


「まあ気にするな、パルスィ」


 アルマとパルスィは国下の浮かべる紫色の目に少し動揺した様子を見せる。


「お父さんのイクスブレードが!」


「あのイクスブレードは、磔自身が持っていないと変形できないからな〜。まっ、磔なら大丈夫だろう……と言いたいが、厳しいか。なんせ、相手は鬼神と最強の男だからな」


「磔さん……頑張ってくださいよ」


 国下に片方のイクスブレードを取られて、磔と同じ世界の者たちは少し自信を無くしたが、彼を信じて応援を続けることにした。


 磔は刀を振りかぶって国下に斬りかかるが、心を読まれて斬る前に刀を弾かれ、両方の刀が彼の手から離れてしまう。


 彼は流石にマズイと感じたのか、いきなり想符『アクセルモード3』の状態となって白金色のオーラと雷を纏った。そして、瞬時に国下に取られたイクスブレードを取り返し、弾かれたイクスブレードを取りに行く。


 国下は磔の現在の力を覚って、何で対応できるか瞬時に考えていた。そして、行動に移る。


 空閃『土地薙』で妖力を乗せた高速の横薙ぎを行い、幻真と磔に攻撃する。磔は超技術の一つ、肉鎧で横薙ぎを防ぎ、幻真は横薙ぎを瞬時に避けた。


 だが、国下は幻真に目もくれず貫通『岩叩き』によって磔の肉鎧の内部へと直接ダメージを与える。その威力が強かったのか、磔は痰を吐き、腹を抱えてその場に膝をつく。幻真は慌てて磔に駆け寄るが、磔は来るなと合図する。


「こんなもの……まだまだ軽い」


 磔は落としたイクスブレードを手に取り直し、再び構える。しかし、彼は心を無にしていた。国下に心を読まれるなら、無意識に行動するのが吉。彼は目を閉じ、気を感じ取る。


「あれは俺が得意だな」


 観客席で呟いたのは、時龍。恐らく、直感術の事を言っているのだろう。直感術は心を無にして気を感じ取ったりする。今の状況に匹敵している。


「幻のものは感じ取れるかな?」


「それなら俺が得意だ」


 狼の問いに自信気に主張するのは想起だった。彼は幻を操ることが可能で、もちろん作ることも可能だからだ。だが、狼の言ったことの可能性は、恐らく低いだろう。自身の心を読まなければ別だが。


 霊斗は霊神剣から龍神王武に武器を変える。龍神王武は、霊斗自身が普段から使っている刀で使い勝手が良いらしい。こうなると、磔と幻真も本気を出し始めるしかない。幻真はこの戦闘で負った傷を癒すため、希眼『橙眼』を使用する。これの使用中は、傷を負ってもゆっくりと自然治癒の活性化によって回復していく。


「お楽しみの時間もここら辺までだな」


「え〜。霊斗と初めて戦ったのに……」


「楽しかったぞ幻真。さて……いくぞ」


 四人はそれぞれの最後を決めるために、構える。磔は友符『マスターソード』、国下は鬼神『天之極撃』、霊斗は切断『マスターソード』、幻真は終域『終焉地獄(ラストインフェルノ)』を放った。






 タッグバトルは幕を閉じた。長いようで、短かった戦いが。だが、この世界の住人たちにはこの先試練がある。今は祝おう。お疲れ様パーティー、いや、宴だ!


「みんな集まれー!」

次回は宴会です。

そして強化プログラム開始。

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