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東方人獣妖鬼  作者: 狼天狗
第弐章 異世界の者たち
81/155

第77話 予選リーグ 第四回戦

コラボ10話目。

今回は第四回戦目です。

 幻真の控え室にて。目を覚ました幻真が飛び起きると、そこには磔の姿があった。


「磔、俺たち勝ったのか?」


「まあ……な。相討ちだったし。俺がいなかったら引き分けだったな」


 苦笑しながら幻真に言う磔。幻真はベッドから出て、軽く伸びをする。


「次は喜響だっけか。あいつの実力も見ときたいな。磔、行こう」


「そうだな。良太の番でもあるし」


 二人はそう話しながら、控え室を後にした。






 観客席には、ボロボロになった絢斗と時龍が戻って来ていた。流石に二人も自業自得だと反省している。だが、決して諦めない二人だった。


「全く……学習しなさいよ」


 火御利は呆れた様子で二人に言う。だが、絢斗が急に立ち上がって片手の人差し指を空に向けて言った。


「そんなもので俺はへこたれないよ〜!」


 彼らの近くにいた妖夢も流石に呆れてしまっていた。すると、国下に霊斗、パルスィが彼らの近くに寄ってくる。


「あ、パルスィ。もう大丈夫なの?」


 パルスィはコクリと頷き、闘技場中央部を指す。そして口を開いた。


「次はアルマの番」


「そうでした。次はアルマさんや活躍さんたちでしたね!」


「となると良太もか〜。いい結果になるといいけどな〜。まっ、見とこ」


 パルスィは火御利の隣に。絢斗は火御利の隣に座る。その一列後ろに、国下と霊斗が腰をかけた。


「しかし、霊斗と組むことになるとはな」


「相手は和正。リベンジする時じゃないか?」


「俺は十分に殺りあったが、完全なる決着が付いていなかったな。次で決める」


 まだ一試合前だと言うのに、燃えている霊斗と国下であった。






「予選リーグ第四回戦目。春夏秋冬活躍&泊谷良太ペア対、桐月アルマ&星弥喜響ペア。試合開始」


 アデルの掛け声と共に試合は始まる。活躍は銃を、良太は二丁のハンドガンを、喜響は二丁の銃をそれぞれ構える。喜響の二丁の銃には、それぞれ魔力と妖力が込められている。アルマは武器を構えるべきかと思ったが、やめておいた。そして、初めに動いたのは彼だった。


「感情『アルマーニイレイザー』」


 青い巨大なレーザーを自分たちの相手に向けて撃つ。それに対抗したのは良太だった。銃の引き金を引き、銃弾を発射させる。その銃弾は巨大なレーザーを貫いてしまった。


 彼の能力は"全てを貫く程度の能力"。これにはアルマも驚きを隠せない。だが、そのまま飛んで来た銃弾を交わして体勢を整える。


 次に動いたのは喜響だ。二丁の銃に、それぞれ魔力と妖力を込めた弾幕を相手二人に撃つ。活躍はそれを避けずに喰らった。しかし彼はニヤリと笑う。そう、彼の能力の一つ"全てを喰らう程度の能力"。その銃弾を喰らい、力を蓄えたのだ。


 良太はまたもや能力を使用し、銃弾を撃って喜響の撃った銃弾を貫き、二つに割ってしまった。両者、睨み合う。


「中々の戦いね……」


 火御利はポツリと呟く。隣に座っていたパルスィは、少し笑みを溢す。


 それから再び動いたのは、アルマであった。


「感情『想いの波動』」


 アルマは地面に弾幕を撃ち、波紋が広がるように攻撃をする。活躍、良太は思わず空中に逃げる。その逃げた正面には、喜響の姿があった。


「掛かったね。魔符『炎獄』」


 喜響は火を纏った極太レーザーを二人に放つ。それに対抗するため、活躍も技を出す。


「散弾符『乱れ咲く乱弾』」


 ショットガンが大量に現れ、様々な速度の弾幕を一斉に放った。だが、弾幕は熱によって溶かされていき、活躍たちの目の前へと迫る。今度は良太がそれを喰い止めようと前に出る。


「銃符『カットウォール』」


 良太はハンドガンで空から離れた前方の地面に向けて弾幕を放ち、地面に弾幕が当たった所から結界を出していく。発動後すぐには結界を出せないため、かなり焦っていた。そして、彼らに直撃したのだろうか。爆発が起こる。


「今のは間に合ったか?」


「さあ。どうだろうね〜」


 身を乗り上げて様子を伺う時龍と、少々気になっている絢斗。すると、爆煙が突風によって吹き飛ばされた。


「あれは一体……」


 時龍は試合場の中央を指差す。そこからは、銀色の光が出ていた。


 その正体は良太であった。既にアクセルモード2の状態であったため、銃を使わずとも空を飛んでいた。アクセルモード2ではない場合、彼は銃口を下に向け、弾幕をブーストにして飛んでいたのである。


 そして、彼は活躍の隣へと立つ。心配しながら大丈夫か聞いた良太だったが、活躍はまだピンピンしていたため安心した。


 喜響も空から降りてきて、アルマの横へと立った。観客一同は、思わず息を飲み込む。


「君と来た活躍さんも、七つの大罪を背負っているのかな? それに二つ」


「お、さっすが〜。因みに俺もだけど?」


「知ってますよ。それにしても、中々のハイバトルになりそうですね」


 次元の狭間から顔を出しながら観戦している終作と、その隣で飛びながら観戦しているニック。彼は魔導書などを読んだり、他の神話の綴られた本などを読んでいたりするため、そう言った類には詳しかった。


「今回活躍はガチでやるって言ってたからな〜」


 終作はニヤけながら呟いた。ニックは終作の様子を見て、ふっと笑いを溢した。




 再び試合が動く。今度は良太が技を出す。


「銃符『ソーラーレーザー』」


 表面温度が高いレーザーを三秒置きに連射する。喜響はそれに応じるために、二丁の銃の引き金を引いて技を出す。


「合符『光線弾』」


 彼は二丁の銃からレーザーを連続で撃つ。しかし、流石に表面温度が高いレーザーには敵わず、喜響の撃ったレーザーは溶かされ、攻撃は彼へと直撃して爆発が起こった。


「喜響!」


 アルマは彼の名前を叫ぶ。爆煙の中には、人影が見えた。そう、喜響だった。彼は一息吐き、空へと飛んでいく。


「全く。危なかった」


 彼は咄嗟の判断で小さなブラックホールを出現させ、レーザーを吸い取ったのだった。良太は少々驚いたが、いつまでも驚いている場合ではなかった。喜響は行動する。


「『常闇への誘いブラックフォールダウン』」


 喜響は携帯型ブラックホールを三つ、試合場の地面に投げる。すると、試合場一面にブラックホールが現れる。三人は慌てて空中へと逃げ込んだ。だが、引力によって引き寄せられてしまう。それに、味方のアルマも巻き込んでいた。しかし、これは作戦でもあった。


「試合の前に言っていたやつだな」


 アルマはそう呟いて、ブラックホールに向かって構える。その様子を見た活躍と良太は疑問に思う。


「感情『感情解放・憤怒』」


 アルマは赤い炎をツノから噴き出し、雷を纏った炎を口から出す。そう、アルマは自分の攻撃力を底上げしたのだ。そして、ブラックホールに向かって叫んだ。


「感情『アルマーニイレイザー』」


 アルマが最初に放ったレーザーより、断然威力の上がったレーザーを撃つ。すると、そのレーザーはブラックホールの中へと消えていく。


「ここだ」


 喜響はそう言うと、アルマを吸い込んでいたブラックホールを消し、良太の背後にホワイトホールを出現させた。


 すると、そのホワイトホールからアルマの放ったレーザーと、先程喜響が吸い取った良太のレーザーが出てきて、それは良太を直撃した。流石にこの引き寄せられる中では避けられなかった。


 良太はそのままブラックホールの中へと吸い込まれていった。


「なっ……」


 良太は脱落した。喜響とアルマの信じられないコンビネーションによって。活躍は焦りを感じた。



 ——あれを使うか……



 活躍は頭の中で自分に言い聞かせる。


「憤食解放ッ!」


 活躍がそう言うと、先程までの様子とは一変した。それに逸早く気付いたのは、アルマであった。様々な感情を弄ぶ彼だからであろう。


「おーっと、本気を出したか」


 今は一人で観戦していた終作が活躍の変化を見て声を出す。ニックは脱落者の相手をするために、一度終作と別れたのだ。しかし、そんなことは彼にとって関係なかった。


「アルマ。活躍のあれは何ですか?」


「……あれは七つの大罪の内の憤怒と暴食の罪。それを合わせた憤食だ」


 喜響はアルマの説明を受け、興味深そうに頷く。だが、そんな余裕はない。活躍はいきなり攻撃をしてくる。


「罪炎『罪ノ重ミ』」


 彼はそう言って炎を出現させ、アルマと喜響に向かって飛ばす。呆気に取られている喜響に向かって飛んでくる炎を見たアルマは、喜響を押して避けさせる。アルマも同時にしゃがんで回避する。


「あの炎は人の肉にも引火するからな」


 終作は解説するかのように、一人呟く。


 喜響は炎に銃弾を撃って消そうと試みたが、炎がすんなりと交わしてしまい、無駄に終わる。


 活躍は炎を消し、次の攻撃へと移る。


「動炎『畜生ノ群』」


 活躍は炎で出来た牛を作り出し、喜響に向かって突撃させる。彼は炎で出来た牛をブラックホールの中へと閉じ込めてしまった。


 活躍は再び炎で出来た動物を作り出す。今度はバッファローをアルマに突撃させる。牛よりも一回り大きく、とても速かった。アルマは突撃してくるバッファローをすんなりと避け、弾幕を撃って炎で出来たバッファローを消した。


 そして、その時はやってくる。活躍は鋭い目付きとなり、構えて見せる。


「『憤魔之鐵槌ふんまのてっつい』」


 そう、彼は賭けに出たのである。彼はたった十分という時間で、決着をつけると言うのだ。


「活躍、勝負に出たか」


「うわっ⁉︎ ビックリした〜」


 終作は、いつの間にか時龍たちの座っていた席の近くに座っていたのだ。


「終作……!」


「まあまあ、パルスィちゃん落ち着いて。今は争う時じゃないでしょ〜? ね〜絢斗くん?」


「はい!」


 敬礼する絢斗。パルスィは数秒間終作を睨みつけていたが、呆れたのか再び席へと座った。


「妬ましい……」


 パルスィはそう呟くと、黙り込んでしまった。




「ぐっ……隙がない……!」


 活躍は先程の技によって、身体能力や反射速度、再生力を上げていた。しかし、全て物理攻撃のみで行っていた。だが、速すぎるため攻撃ができなかった。


「うぐっ……」


 活躍の拳がアルマの腹にめり込む。その衝撃で宙へと飛んでいき、無防備な状態へとなってしまう。活躍は空かさず追撃を行い、アルマを地面に叩き尽きた。



 ——あと七分……



 活躍は心の中で残りの時間を呟く。この技は十分経ってしまうと気絶してしまうのだ。そのため、彼は焦っていた。これで決まらなければ自爆となるからだ。


 喜響がアルマの心配をしていると、目の前に活躍が現れる。すると、顔面に右フックが異常な速さで飛んできて、そのまま吹き飛ばされてしまう。


 喜響は砂埃が止む前に、活躍に銃弾を何発も撃つ。だが、反射速度が上がっている彼には無用。あっさりと全て避けられてしまう。そして、一気に喜響との間合いを詰めてアッパーを喰らわせた。


「うがぁっ!」


 苦しむ声とともに喜響は宙へ飛んでいく。またもや活躍が追撃を行おうとしたが、アルマが光速で活躍との間合いを詰めて爆発を起こす。


「道先『滅亡への最短距離』」


 爆煙が起こり、試合場を包み込む。しかし、直ぐに音は聞こえてきた。殴り合って起こる衝撃波が。



 ——マズイ……あと三分だ……



 活躍は更に焦るが、表情には出さなかった。この時間の内に決着を付けなければ、活躍と良太の勝利は叶わない。


 殴り合っていた相手はアルマだった。彼は狂ったように笑いながら、活躍を殴っていたのだ。


 喜響は辛うじて生きていたが、多量出血していた。とても立てる状況ではなく、試合場の端の方で座り込んでいた。アルマの援護をしようと試みていたが、返って邪魔になるだろうと思い、観戦することにした。



 ——残り一分。



 活躍はニヤリと笑い、先程より勢いを増してアルマへ物理攻撃を入れる。アルマも発狂し、活躍の攻撃に応じた。その様子に、終作もニヤけていた。



「……気持ち悪い」


「そんなこと言わないでよ〜。君の恋人が楽しそうに戦ってるんだよ? そりゃあ面白いことだ!」


 終作も狂ったかのように笑うが、直ぐに元に戻り腕を組んで言った。


「……もう決まるな」


 パルスィは試合場を見る。両者共、息切れでいた。活躍の"残り時間(タイムリミット)"は、僅か十五秒だった。


『うおおおお!』


 活躍とアルマの殴り合いが激しさを増して衝撃波が起こると同時に、とてつもない音の爆発が起こった。その爆煙は闘技場全体へと広がり、観客たちは咳込んでいた。


「ゴホッゴホッ……結果はどうなったの?」


 火御利は片目を開けながら試合場に目をやる。そこに立っていた人影。それは——






 ——アルマであった。


 彼は右腕を上げて人差し指を空に指す。すると、観客たちから歓声が起こった。終作も面白かったという表情で拍手をし、その場を去った。


「勝者、桐月アルマ&星弥喜響ペア」






「——はぁ……」


 控え室のベッドの上で良太は一人、溜息を吐く。それぞれの控え室にはモニターがあったため、脱落した後ずっとモニターを眺めていたのであった。だが、結果は負け。自分にも反省点があると、溜息を吐いていたのだ。


「ニックさんは、あのように言ってくれたんですが……」


 先程まで良太の相手をしていたニック。その時に発した言葉を思い出す。その言葉は、落ち込む事ないよ。前向きにならなきゃ、と彼を励ます言葉である。


「次はこうはいきませんよ!」


 彼は拳を強く握り、そして決意したのであった。

結構良い感じに書けたと思う自分です。

次回は第五戦目。2対1という脅威。和正は勝てるのでしょうか。

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