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東方人獣妖鬼  作者: 狼天狗
第弐章 異世界の者たち
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第76話 予選リーグ 第三回戦

お待たせいたしました、コラボ9話目です。

 幻真は自分の控え室で、とある龍を出していた。その龍は、炎龍・神だ。どうやら神状態になると、話せるようになるようだ。


「しかし、お主が後継者とはなぁ」


「不満でもあるか?」


「いやいや、そんなことはないぞよ。初めて会った時のことを思い出すのぉ」


「結構懐いていたよな」


 過去を思い出す幻真と炎龍。それは今となっては随分と昔の話。炎龍には幻真も助けられていた。


「幻真、邪魔するぞ」


「磔か。もう出番か?」


「ああ。気を引き締めて行くぞ。俺たちが組む事になるなんて思ってもいなかったし」


「そうだな。まあ、頑張るか」


 幻真は炎龍を消し、磔と共に試合場へと向かっていった。






「——さて、予選リーグ第三回戦目、始めるわよ。幻真&白谷磔ペア対、霧明緋闇&啓瀬耶麻人ペア。勝者は如何に。試合開始」


 アデルの掛け声と共に試合は始まる。戦いに燃えていたのは選手だけじゃない。幻真の恋人である妖夢や、磔の娘の春姫、緋闇と共に来たサテラもだ。


 また、その人たちだけでなく里の者や、紅魔館の住人たち、永遠亭の者たちも見に来ていたため、是非とも幻真に勝って欲しいと思っていた。


「いやぁ、負けたら大恥だな〜」


「それは俺にも掛かっているよな」


 少々緊張感を出している幻真と磔。一方で、耶麻人は少しオドオドしていた。しかし皆はまだ、一部の人を除いて彼の本当の力を知らなかった。


「よっしゃ、じゃあ俺から行くぜ。滅眼『紫眼』」


 幻真の瞳は紫色へと変わって攻撃力上昇。磔もその様子を見て、自分を強化する。


「想符『アクセルモード』」


 磔は体に黄緑色のオーラを纏わせる。そして二人はそれぞれの得物を抜く。幻真は真神剣、磔は真楼剣を握る。お互い似たような名前である。


「幻真、合わせろよ」


「おう!」


 二人は緋闇に斬りかかる。しかし、二人は見えない壁にぶつかる。そう、耶麻人の能力、虹彩異色超能力(オッドアイサイキック)の右目の持つ防御の力を行使した。耶麻人の髪は綺麗に目の部分を避けており、朱と紫の目が明らかとなった。


「耶麻人?」


「スイッチオン状態ってわけか……こりゃ、ヤバいぞ」


 磔は耶麻人に対して警戒体勢を取る。幻真はなんだかよくわからずにいたが、磔と同じように警戒した。


 緋闇は耶麻人の能力を事前に聞いていた。その為、こうなる事はよんでいた。


(ファイア)


 緋闇は二人に対して火を放つ。幻真はそれを斬ろうとした。しかし、耶麻人による左目の持つ火炎の力を行使したため、温度が一万度以上に膨れ上がった。


「チッ……能力でなんとかしたけど、こいつはヤバイ」


 幻真は一人呟く。ぜえぜえと荒い息をしながら、磔の方に視線を向ける。彼は既に次の攻撃を始めていた。


「想符『イリュージョンソード』」


 耶麻人と緋闇に向かって鎌鼬を放つ。だが、その技は叶わない。またもや耶麻人によって、その攻撃は防がれる。



 ——これは計算の内。



 勿論、磔は予想していた。


「開空『空が開く日』」


 磔は耶麻人の動きを制限するために、周りに弾幕を配置する。これに対して耶麻人は、左目の持つ火炎の力を行使し、焼き消す。その直後、空から弾幕が降ってくる。しかし、早い対応により防御の力を行使され、防がれてしまう。


「やはりそう簡単には無理か……」


 少々諦めを見せる磔。だが、幻真はとある秘策を用意していた。


「雷砲『紅電砲(ブラッドスパーク)』」


 耶麻人は防御の力を行使し、防ごうと試みた。だが、幻真の思うツボとなり、透明壁は強制的に消され、攻撃が直撃する。この技は例え超能力での防御だとしても、ある特殊能力により強制的に消されてしまう。


「ゲホッ、ゲホッ……オレを……怒らせるな……!」


 能力を使う前の耶麻人とは全く別人格となっており、口調にも変化が見られた。幻真は少しヤバイと思ったが、気を抜かずに再び攻撃を開始する。


 耶麻人は再生の力を行使し、喰らった傷を一瞬にして治してしまった。これには幻真や磔だけでなく、観客たちも驚いた。しかし、幻真は止まらず攻撃を続ける。


 幻真は全属性の勾玉弾を出し、次々に耶麻人に飛ばす。その数、一秒に二十一個。だが、耶麻人は防御の力を行使し、全て防いでしまう。


「これは同じことの繰り返しになりそうね……」


 呟くアデル。隣では霊妙も頷いていた。その実況席に、ある二人が忍び込んでいた。変態二人組こと、時龍と絢斗。忍び込んでいる事なんて、アデルは知っていた。


「『苦の飴-即死-』」


 霊妙は使用することを知っていたため、直ぐにその場から離れていた。それは、毒性を気化させ空気中に漂わせる。その空気を吸ってしまい、二人は死んだ。


「後悔することよ」


 しかし、二人は消えた。アデルは一瞬慌てたが、直ぐに誰の仕業か分かった。


「……ニックね」


「御名答。いくら変態だからって、殺さないであげてくださいよ。彼らは準々決勝に出るんですから」


「そうね、ごめんなさい」


 ニックは謝るアデルを見てフードの下でニコッと笑い、直ぐに姿を消した。アデルは霊妙を連れ戻し、再び実況へと移った。だが、試合はもう大詰めに差し掛かっていた。緋闇は磔によって脱落し、残るは虹彩異色超能力(オッドアイサイキック)の耶麻人のみ。それに、最後を決めようとしていた。


「霊妙、これはどう言う状況かしら?」


「見ての通り、終盤よ」


 アデルはうんうんと頷いて、マイクを握りしめて言った。


「さあ耶麻人選手、どうするのか!」


 霊斗はその様子に少し笑った。彼女自身、試合に対して燃えているように見えたからだ。


「さて耶麻人、最後にしようじゃないか。二対一だけど、どちらかと一騎打ちってのもありだぜ?」


「おい幻真、挑発はするな」


「面白い。少し甘えるが——幻真、テメェと一騎打ちだ。負けたら笑ってやる」


「望むところだぜ」


 磔は溜息を吐き、観戦者となる。幻真と耶麻人はそれぞれ端に行く。観客皆は息を飲み込んだ。


「『終極の閃光』!」

「終符『終末之光線(ファイナルレイ)』!」


 それらはぶつかり合い、大爆発が起きた。






「——みんな、大丈夫? 一体どっちが残ったのかしら……って、二人とも脱落みたいね」


 結果は相打ち。幻真と耶麻人は倒れていた。


「あれ? もしかして俺が残ってたから勝ち?」


「勝者、幻真&白谷磔ペア!」


 一気に歓声が起こった。だが、残った磔は嬉しそうではなかった。自分はほとんど何もしていないからだ。


「次の試合で活躍するか……」






 パルスィの控え室に、変態二人は復活した状態で転移された。パルスィとアルマは時龍と絢斗を睨みつけていた。二人は怖い笑みで変態二人を見下ろす。


『プライベートを邪魔するな』


『ぎゃぁぁぁぁぁぁあ!』


 変態二人の悲鳴は、そこら中に響いたとさ。






 緋闇は自分の控え室にて目を覚ます。彼女の瞳に映るのはサテラの姿。サテラは満面の笑みで、起きた緋闇に声を掛ける。


「お疲れ様!」


「結果はどうなったの?」


「残念だけど……」


 そう……と残念そうに緋闇は俯く。すると、そこに起きたばかりの耶麻人が飛んできた。そして、現れるなり頭を下げた。


「ごめんなさい!」


「い、いやぁ……耶麻人はよくやったと思う。だから……頭を上げて?」


 彼はゆっくりと頭を上げる。上げた瞬間、目の前にいたのは満面の笑みのサテラ。とても可愛い。耶麻人はそう思ってしまった。誰もが見てもそう思うだろう。それを、次元の狭間で彼は見ていた。


「全く、貴方の趣味は……」


「いいだろ? 俺の勝手だ」


「まあ、そうですよね」


 終作と話すのは、謎の人物ニック・ヘルスリート。どことなく、彼らは仲が良く見える。しかし、終作にとってはいい迷惑。あまり自分の行動を見られたくないからだ。


「あのさ、ニック」


「はい?」


「勝手に入ってくるの、やめてくんない? 驚くからさ」


「おっと、それは失礼。今度からお伝えしてからお邪魔しますね」


「そういう意味じゃないんだけどね〜」


 笑うニック。まあ別にいいだろう。終作は結局、彼を許すのであった。

次回は四回戦目ですね。

今年中にコラボは終わらせる予定です。

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