第72話 祝いという名の宴
コラボ5話目。
火御利の家にて。お茶の容器を洗い終わった火御利は、今後どうするか二人に相談していた。
「ちょっと待て……あいつが来る」
「私も感じるわ」
「ええ……感じるわね」
三人はあいつの気配を感じていた。そう、トリックスター……
「終始終作、いざここ——がはっ⁉︎」
「出たわね終作!」
「パルスィ、いくらそこまでしなくても……」
「いつもいつも私たちの邪魔をしてくるのよ⁉︎ ああもう! 腹立つ!」
火御利は一度終作を目にしていたが、そのような人物だとは思っていなかった。
「取り敢えず落ち着くんだ。ここは火御利の家だぞ?」
「もう無理! 妬符『グリーンアイドモンスター』!」
「ちょ、パル——」
火御利の家は、パルスィの弾幕によって吹き飛んでしまった。アルマとパルスィと火御利は、壊れた家の下敷きになる。終作はその光景に冷汗をかいていた。
「おー、怖い怖い。ただでさえさっき変な奴に会ったというのに……」
「私の……私の家が……」
「わ、悪い! 修復手伝うから!」
「ご、ごめんなさい……」
パルスィは深く頭を下げた。火御利は手を振って止めるようにさせた。
「と、取り敢えず……俺が来たのは博麗神社に行ってもらうためだ」
「嘘ばっかり……」
パルスィは半泣きで終作に言った。アルマはどうすることもできなかった。
「取り敢えず、博麗神社で待ってるよ〜」
彼はそれだけ言い残し、亜空間の中へと姿を消した。
「ど、どうしようか火御利?」
「うぅ……博麗神社に行こう……」
「パ、パルスィは?」
「さっさと行ってアイツを懲らしめてやるわ……」
火御利の次に気不味くなった、アルマであった。
幻真たち一行は、理由を知る者に言われるがまま博麗神社へと辿り着く。そこには複数の売店があり、神社の敷地の真ん中にはブルーシートと机が置いてあった。時龍を担いでいた良太がその様子が気になり、呟いた。
「これは宴でしょうか?」
「違うよ、祝だよ」
「そんなに変わらないじゃないか」
突っ込む活躍。苦笑する幻真と磔。
「あらら、あんな所に美女がいるじゃないか〜! いざ、突撃〜!」
「ちょ、絢斗⁉︎ って、あれは霊妙さん——」
「ふんっ」
「ごへぇ!」
突っ込んできた絢斗は、霊妙の鉄拳を顔面で喰らってしまった。その様子に、苦笑しながら出てきたアデル。
「可哀想ね。まあ、私が促したんだけれども」
「貴方やるわね」
「あいたたた……お! こっちには美少女が! とおーって——ぐはっ」
「アイツは何も学ばないんだな」
呆れる磔。春姫はうんうんと頷いていた。と、誰かが唸る声が聞こえた。
「ここは……それに、俺はいったい……」
「目を覚ましたか時龍。お前には聞きたいことがたくさんあるんだが」
「幻真か。ここは……博麗神社? 俺は確か、春姫に散々弾幕を撃たれて……その後の記憶がないな……」
「とにかく時龍、中に行くぞ。磔とジラ、付いて来て欲しいんだが」
「俺は構わないよ」
「わかった。良太、春姫を頼む」
「了解です」
「お父さん、後でね〜」
幻真は霊妙に近付き、話を付ける。
「霊妙さん、中借りますね」
「いいわよ。霊夢が料理をしているから、邪魔しないようにね」
幻真は頷き、磔、ジラ、時龍と共に中へと上がっていった。
「——さて、まず説明するが。お前の意識が途絶えた後、白色の翼と尾を生やしていた」
「んなっ⁉︎ なんだよそれ⁉︎」
「俺の推測なんだけど、恐らく龍の力が君の体内に取り込まれたんだよ」
幻真は頷く。磔もイマイチであったが理解し、一方の時龍は全くわからないでいた。
「俺はこっちに来て龍の力が使えなくなったはずだ。まさか、力が残っていたとか?」
「そんな感じになるね。心当たりは?」
ジラは時龍になんとか思い出させてみる。と、ポンと手を叩き口を開いた。
「白色って事は、白龍だな!」
「白龍……って、なんだ時龍?」
「俺は二体の龍とだけは他の龍より相性が良かった。それが白龍と黒龍だ!」
ジラは大きく頷いていた。だが、次は幻真が首を傾げる。幻真は時龍の後継ぎ、後継者でもある。それなら、なぜ幻真は出せないのか。
「あの本を調べればいいじゃない」
「霊夢?」
先程まで料理をしていた霊夢が、幻真たちのことが気になって様子を見に来た。
「あの本って、鈴奈庵の?」
「そうよ。貴方が借りていた本は、ちょっとだけ目にしたことがあったのよ」
「なら幻真、それを借りに行こう」
「そうだな磔。でも、祝が終わった後でもいいか? そっちの方が都合がいいだろうしな」
「助かるよ、幻真くん」
幻真はジラに向けてグーサインをする。
「それじゃあ、外に——って、ちょっ⁉︎」
「幻真みつけた!」
「みつけたー!」
幻真に飛びついた二人の少女、ウィスプとランタン。その様子に磔とジラは苦笑する。
「ウィスプちゃ〜ん! ランタンちゃ〜ん!」
「あれは絢斗か?」
「幻真待っててね〜! ウィスプ行くよ?」
「うん!」
ウィスプとランタンは手を繋ぎ、何やら唱える。
『H.S同盟は滅ぶべし!』
すると地獄の炎が舞いあげ、絢斗を焼き尽くした。
「お、おい! 絢斗!」
「時龍、俺はこんなのじゃくたばらないよ〜? それっ、空きあり」
「キャッ⁉︎」
「ウィスプ!」
「こっちも空きあり〜」
「キャァ⁉︎」
「それっ、シャッターチャンス」
絢斗と時龍のコンビネーションで秘蔵写真を作り上げた。磔とジラはその様子に呆れていた。幻真は何も言う事ができなかった。
「お父さん!」
「お、春姫。いい子にしてたか?」
「うん!」
春姫は勢い良く磔に飛びつく。
「いい親子だ」
「幻真くんも、その内こうなるんじゃないかな?」
「だといいな〜」
笑いながら話す幻真とジラ。すると、突如二人の近くの空間が避け、一人の男が現れた。
「あ、終作! お前今までどこに!」
「ごめ〜ん活躍。置いて行っちゃった」
「ごめ〜んじゃねえよ!」
揉め合う二人を止める良太。妖夢も二人を必死に止めていた。
「お、絢斗。調子はどうだい?」
「主、今はこの時龍の加入試験を行っております!」
「時龍か。この世界の唯一の変態だな」
終作は時龍をジロジロと見回す。時龍は首を傾げながらそれを見ていた。
「見所ありだな。完全なる加入はもう少し先になるが、是非とも変態を楽しんでくれよな!」
「はい、主様!」
時龍は終作に頭を下げる。終作はうんうんと頷き、幻真の方を見る。
「終作がここに集めさせたのか?」
「俺じゃなくて龍人たち。俺は見てただけさ」
怪しいと思う幻真と妖夢。すると、鳥居の先から騒ぎ声が聞こえてくる。急いでそちらに向かう幻真と磔。そこでは、二人の鬼神が揉め合っているのと、それを必死に止める龍人と少女の姿、そして様子を伺う緋闇と狼を担いだ想起の姿があった。
「さっきのケリを付けるぞ国下!」
「和正さん、ここでは危ないですって」
「さっきからしつこいぞ和正!」
「国下さんも落ち着いて〜」
鬼神たちを止めるハイドとサテラ。
「想起さん、私たちはどうするんです?」
「取り敢えず見とけばいいだろう」
「……はい」
傍観者の想起と緋闇。その様子に幻真と磔は唖然した。すると、幻真たちに気が付いた想起が声をかける。
「幻真、ちょっと来い」
「え、ああ」
揉め合う二人の間を通って想起の元に行く幻真。
「狼をちょっと頼む。俺がこの二人を止めるから」
「わ、わかった」
幻真は狼を担いで、来た道を戻る。想起は手首を回して和正に近づく。
「あ? なんだ?」
「面白いことをしないか? ヒソヒソ……」
「ほぉ? いいだろう」
「想起、なんの話をしたんだ?」
「国下、お前にも教えてやろう。ヒソヒソ……」
「おお、面白いな!」
声を荒げて興味を示す和正と国下。ハイドとサテラ、緋闇は何を話したのかと、頭に疑問符を浮かべていた。
「タッグバトルさ」
「タッグバトルって、僕の世界で行ったあの様なタッグバトルですか?」
「そうだ。だけど、龍人は非戦闘員なんだろ? だから実況者や審判を務めてほしい」
「それならお安い御用です」
想起はうんうんと頷いた。
「それじゃあ、想力を持つ者を集めないとな。時龍、頼むぞ」
「え〜、俺は秘蔵写真を——」
「文句を言うな。さっさと行くぞ」
「へ〜い」
時龍は乗り気では無かったが、仕方なく想起の近くに行く。
「お前たち、何してるんだ?」
想起の背後から声が聞こえる。振り向くと、そこには四人の姿があった。
「霊斗にカスミさん! それに……お前は!」
「やあ幻真くん。君だけには敵対心だよ」
睨み合う幻真と喜響。それをカスミが止める。
「なるほど、集めていたのは龍人か」
「間違ってはいないよ、想起。龍人と後の一部。サテラに活躍かな」
「なぜサテラに?」
終作に問い返す緋闇。終作は即答で返した。
「なんとなく」
「へ?」
「彼女を偶然見つけてね。ムフフな秘蔵写真を撮ったら顔を赤くしていたね。可愛かったな〜……もちろん取ってあるから安心したまえ。それで、協力してもらうよう頼んだわけ」
「それじゃあジラさんが祝と言っていたのは……」
「俺の企画さ〜」
そう言われ、一行は驚いた。だが、信じられないでいたのは今来たパルスィであった。
「そんなの嘘よ!」
「あれ、早かったね」
「パルスィ落ち着いて! ここで暴れたら神社が吹き飛ぶわ!」
「……また誤るところだったわ」
パルスィは一息吐き、一旦落ち着く。
「で、それは本当なのか? 終作」
「ああ! アルマ、俺を信じてくれ!」
「半信半疑でな」
活躍は爆笑した。自分より終作の相手が上手いかもしれないと思ったからだ。
「とにかく、人気に付かないところに作ってくる。完成したら呼ぶから、皆はゆっくりしていてくれ。行くぞ、時龍」
「へ〜い……主様、後で秘蔵写真を!」
「さっさと終わらせてこい」
「あいさー!」
時龍は威勢良く返事をすると、想起と共に姿を消した。妖夢は一息吐く。
「恐らく明日ぐらいに完成するでしょうね」
「ん? お前は?」
「あ……ぼ、僕の名前は啓瀬耶麻人です」
「俺は幻真だ。ん? なんで目を隠しているんだ? ——もしかして、何か持ってる?」
「まあ……はい」
幻真は興味深そうに頷く。
「みんな〜、宴会始めるわよ〜」
「おお! この世界の霊夢か! 隣にいるのって、この世界の霊夢の母親⁉︎」
「一旦落ち着け霊斗」
幻真が霊斗の頭を軽く殴る。霊斗は我に返り、照れ臭そうにしていた。
「さっ、始めるぞ!」
回すのが難しいですね。
次回からタッグバトルの開始…の前に祝ですね。




