第71話 集わせる者たち
コラボ4話目。
「というか活躍、なんで博麗神社に行くのか教えてくれないのか?」
「言っただろ? 行けばわかると」
幻真、活躍、妖夢の一行は博麗神社へと向かっていた。理由を知る活躍だが、幻真に教えようとはしなかった。一方の彼は不貞腐れていた。
「活躍さん、質問……いいですか?」
「ああ、なんだ?」
「貴方は、なぜこの世界に?」
「なに、簡単な理由だ。終作の遊びの付き添いみたいなんものさ。まあ、後で幻真と手合わせ願いたいのだが、いいか?」
「いいぞ」
後で決闘を依頼する活躍。幻真は楽しみにしていた。と、目の前に二名の人物が現れる。
一人、男性の名は白谷磔。そして、その娘の綿月春姫である。
彼女、春姫に関しては容姿が豊姫に似ており、服も彼女と全く一緒の物を着ている。ただ、靴はブーツになっていた。見た目は十五、十六くらいの姿をしており、スタイルは良い。
そして、彼らもまた絢斗や良太と同じ世界から来た者たちである。
「お、磔じゃないか。それに、その隣の子は娘か?」
「ああ、久し振りだな幻真。ほら、春姫も自己紹介」
「はい。初めまして~、綿月春姫です。今回はお父さんと一緒に異世界に出かけれて嬉しいです! お母さんも連れていきたかったなぁ……あっ、時龍さんは受け付けません。もし私に変な行為をしたら、原子レベルで分解しますよ。よろしくお願いします!」
笑顔で自己紹介をし終えた春姫。だが、時龍に会わせるとまずい。そう悟った幻真と妖夢であった。すると、またもや他の人物たちが別の方向からやってきた。
「あんれ〜? 磔に幻真、活躍に妖夢ちゃん、それに春姫ちゃんじゃないか〜」
「あ、やばい、絢斗だ。妖夢逃げ——」
「空きあり〜」
「キャアッ⁉︎」
絢斗はいつの間にか妖夢の近くに移動しており、妖夢のスカートをめくった。幻真はその光景を目の当たりにして、絢斗を突いた。
「いったた……酷いな〜」
「お前が手出しするのが悪い!」
幻真は反面キレていた。磔に活躍、後からやって来た良太とジラは、絢斗に飽きれていた。だが、時龍は先程のチャンスを逃さなかった。
「シャッターバッチリだぞ、絢斗!」
「おお! さすがは時龍! 良くやった!」
時龍は"H.S同盟"とやらの加入試験として、秘蔵写真を撮影していた。しかし、一方で武器を構えているものがいた。そう——春姫だ。
「時龍さん、覚悟してください!」
春姫は磔から貰ったと言う短剣から弾幕を出し、一気に時龍との間合いを詰めて攻撃を繰り出す。ヤバイと察した時龍は咄嗟に弾幕を躱し、短剣を破損した夢龍剣で受け止める。
「時龍、それって……」
「お前の察し通りだ」
時龍はなぜ破損した夢龍剣で受け止めたのか、幻真は察していた。ただ受け止めるのが速いだけ。破損した夢龍剣だけは、いつも大事に鞘とともに背中に背負っていた時龍である。
「ぐぬぬ、月符『朧月夜』!」
「マズイ! みんな離れろ!」
磔の注意に、皆は急いで春姫から離れる。だが、時龍だけが取り残されてしまう。
「あ、あれれ? 閉じ込められちゃった? って動けないし弾幕が飛んできてるし! がはっ……」
「磔、止めないのか?」
「——取り敢えず見ておけ」
幻真は渋々、時龍と春姫の様子を見守る。時龍は弾幕を受け続けている。一方の春姫は、彼が弾幕を受ける様を眺めている。
「ぐふっ……かはっ……ぶっ……」
やっと春姫は結界を解除する。時龍は意識を失って下に落ちていった——ように見えた。時龍の様子が奇怪しかった。時龍は一気に春姫の元へと飛んでくる。
「あれは……マズイんじゃないかい? 幻真くん?」
「ジラ、どういうことだ?」
「まあ簡単に言えば、龍の力が彼に取り込まれているのを感じる」
「龍の力? でもあいつ、龍の力がなくなったんじゃなかったっけな」
幻真は頭に疑問符を浮かべる。磔も同じように悩んでいたが、咄嗟に我に返る。
「春姫が危ない!」
超高速で春姫に飛んでいく磔。時龍は白色の翼を生やし、白色の尾を生やす。その光景に、皆が驚く。
「お父さん⁉︎」
「大丈夫だ、春姫。想符『アクセルモード2』——来い、時龍!」
無意識の時龍に対して磔は叫ぶ。時龍は磔の手を握り、力を入れる。
「これじゃ手が使えないな……春姫、お前が決めるんだ」
「で、でも!」
「お前ならできる!」
「……はい! 月符『三日月斬り』!」
春姫は時龍の背後に回って攻撃する。時龍は激しい痛みに叫びながら、最後には白色の翼と尾がなくなって地面に落ちていった。
「よっと。ナイスキャッチですね」
時龍が落ちて行った先には良太がいて、時龍を受け止めた。
「磔、なぜ春姫に決めさせたんだ? 別に手じゃなくても攻撃できるだろ?」
「まあな。さっきの時龍は、恐らくまだ完全体ではない。それに、春姫には戦闘の経験を積ませてやりたかったからな」
なるほど、と幻真は納得する。
「それじゃあ、博麗神社に向かおうか」
「ジラたちも行くのか? 活躍が教えてくれなさそうだし、ジラにでも……教えてくれなさそうか」
「幻真、諦めろ。行けばわかるから」
「はいよ……」
一行は、博麗神社へと向かうのであった。
こちらは霊斗たちがいる屋敷。霊斗、耶麻人は鹿おどしの音を聞きながら、お茶を味わっていた。
「ん、この気配は……」
「霊斗、どうかした?」
「いや、妙な気配がしてな……」
喜響の問いに、霊斗は首を傾げながら答える。耶麻人は前髪をできるだけ垂らして、喜響たちに話す。
「様子を見に行きますか? 霊斗さんなら、何かわかると思いますし」
「そうだな。よし、向かうとしようか——」
「あ、あの待ってください」
いつの間にかいた女性が彼らを止める。それに、どうやら彼女は龍人である。
彼女は茶髪ロングで、紫色のポンチョを愛用しているかのように見える。
スカートはギリギリ膝上で、帽子は魔理沙の帽子と似ているが、紫色で、正面に目玉の文様があり、先がくるりと丸まっている。瞳はまるで渦巻きを巻いているかのよう。
翼は翼竜のようで、尾は三又に分かれており、先がゼンマイのように巻かれている。いずれも紫色。そんな彼女の名は、カスミ・ハデス。
「なんだ、カスミか。どうしたんだ?」
「その……行かなくても大丈夫です。それより、博麗神社に来てくれませんか?」
「それはなぜだい?」
「えっと……貴方は?」
喜響は名前を聞かれ、胸を張って自己紹介をした。
「僕の名は星弥喜響。よろしく」
「私はカスミ・ハデスです。こちらこそ、よろしくお願いします。それでは、本題に戻しましょう。と言っても、理由は行ってからのお楽しみです」
「そうですか……それじゃあ、早く行きましょうよ」
急かす耶麻人。喜響は頷く。霊斗も二人の様子を見て、行くことにした。
「よし、行こうか」
所変わって人里。想起は狼を担いで緋闇とサテラと共に博麗神社へと向かっていた。向かっている理由は、サテラに言われたからだ。
「それで、サテラ……どうして博麗神社に?」
「うーんとね、それはね——」
「駄目ですよ、教えたら」
サテラが言おうとした時、一人の男に止められる。そう、ハイドだ。
「あ、龍人さん! ごめんなさ〜い」
「龍人……? 一体何者だ?」
「おっと、貴方とは初対面でしたか。僕はハイド・天之御中主・ミラ。ハイドで構いませんよ」
「俺は想起だ。こっちは狼。まあ、色々あってな」
「私は霧明緋闇だよ」
「なあ、ハイド。その担いでいる二人って……」
「ん? ああ、鬼神の二人だよ」
眠っている鬼神の二人、和正と国下。だが、想起は警戒していた。何せ、和正は以前の宿敵。油断してはならなかった。
「大丈夫だよ、こっちの鬼神は。とにかく博麗神社へ行きましょう」
「わ、わかった……」
ハイドは博麗神社の方を向いて飛んでいく。そして、それを追うかのように三人も飛んで行った。
「——よしよし、後はあっちだけだな」
「貴方が人々を集めているんですか?」
「ん? あれぇ〜? 俺のところに来れるやつなんて珍しい。幻真の世界はまだまだ謎だな〜」
「さっきから何をブツブツと?」
終作がいた亜空間に、一人の人物が侵入してきていた。それに、また変わった雰囲気を出していた。フードで素顔を隠しているため、彼は人物の顔を確認できなかった。
「顔を見せなよ」
「それには及びません。直ぐに去りますから」
「そうかい? なら俺の攻撃を受けてみな」
終作は素早く移動し、謎の人物に拳を喰らわせる。だが、その人物は身動きせずに攻撃を受け止めた。
「ほぉ〜。これは面倒ごとに突っ込まない方が良さそうだね〜」
「そうしてくれたら助かります。それでは……」
謎の人物は一瞬にして姿を消してしまった。
「姿が消えた……それに気も感じない。一体何者だ……?」
一体何故博麗神社に集めるのか、次回わかります。と言っても大事ではありません。