第69話 続々と現れる者たち
コラボ2話目。結末はいかに。
一人の男が、とある屋敷に訪れていた。そこは、以前彼等がやって来た時に連れ込まれた屋敷だった。そこに、博麗霊斗が訪れていたのだ。
「あれ、君は霊斗じゃないか」
「お前は……喜響だっけか、前の時に会ったよな」
「そうだね。あ、お茶でも出そうか? 何がいい?」
「そうだな、日本茶を頼む」
日本茶は霊斗が好きな飲み物。喜響は笑顔で承知した。
鹿おどしの音が鳴る中、喜響がお茶を点ぐ。実はお茶を点ぐのが早い者もいる。霊斗はその人物を知っているが、喜響のお茶も味わってみたいと思っていた。
「お待ちどうさま」
「お、饅頭付きか。ありがたく頂こう」
霊斗はまず饅頭に手を付ける。これは喜響が里で買った物。霊斗は美味しそうに味わった。
続いて喜響の点いだ日本茶。霊斗は丁寧に頂く。喜響はその飲み方に、満足した。
「少し味が濃いかもな。もうちょい薄めてもよかったんじゃないか?」
「ありゃ、そうか。茶道でも極めるかな」
喜響はそう言って、皿をさげる。霊斗は鹿おどしの音を聞きながら味わっている。と、そこに一人の男がやって来た。その男の名は、啓瀬耶麻人。超能力——いや、究極能力者だ。彼は霊斗に気付き、頭を下げる。
「お前も食うか?」
「いいんですか?」
「ああ。おーい、ききょーう」
「はーい。おや、こちらの方は?」
「あ、えっと……啓瀬耶麻人です。よろしくお願い致します。こう見えて僕、超能力使えるんですよ、へへ……」
それを聞き、喜響は目を輝かせた。彼は好奇心旺盛なのだろうか?
「なるほど、この瞳の色が……」
「へぇ、勘がいいですね」
「そんなことないさ」
二人は楽しそうに会話する。霊斗も機嫌良さげにお茶を飲んでいる。鹿おどしが一回鳴り、喜響はハッとして立ち上がった。
「お茶を淹れてくるよ」
「あ、ありがとうございます」
喜響はお茶を淹れに、台所へ向かった。
所変わって人里の西側。一人の青年、時龍がぶらぶらと歩いていた。しかし、誰かの気を感じたのか、立ち止まって様子を伺う。すると、そこには二人の男が現れた。良太と絢斗だ。時龍は下を向いて不吉な様子で急に笑い出した。良太は首を傾げるが、絢斗も同じように下を向いて笑っていた。
「絢斗ぉ!」
「時龍ぅ!」
と、感動の再会を称えるかと思いきや二人は剣を交わしていた。良太は驚いて後退り。突然の戦闘が始まり、一度お互い間を空けた。
「軽い手合わせだ、絢斗」
「わかってるよ〜。ここじゃ迷惑になるから、移動しようか」
絢斗はそう言い、時龍と共に近くの森へと向かっていった。残された良太は、慌てて二人を追いかけた。その様子を見ていた者が一名、いたとも知らずに。
「和正、そろそろ決着をつけようか!」
「いいだろう、来い!」
こちらは鬼神たちの様子。いよいよ決着をつけるようだ。二人はそれぞれの技を出すため、構える。
「一撃『鬼殺し』!」
「『龍魔拳』!」
両者の拳がぶつかり合う。空間も歪む程の威力の拳。波動と共に辺りに突風が起こる。
途中から、和正と国下の戦闘を見ていた者がいた。 その名は、ハイド・天之御中主・ミラ、龍人だ。彼は倒れた二人を回収するため、その場へと向かっていた。
「まあ、今回は戦わないからね」
そう呟いて、二人を担いで博麗神社へと向かうのであった。
ところ戻って和菓子屋。狼と緋闇は和菓子を食べ終え、お茶を飲んでいた。一方の想起は店主と雑談をしていた。
「狼はこの世界の住人だよね?」
「そうだよ。緋闇はここに来るのは初めて?」
「うん。ねえねえ、今から戦いたいのだけれど」
「いいよ、本気でね」
戦いの約束をした二人は外へと出て、お互いそれぞれの位置へと着く。店主と雑談が終わった想起は狼たちがいなくなっていることに、焦って店内を見渡す。
いないという事は……外。慌てて外に向かうと、やはり二人はいた。しかし、何をするか察した想起は直ぐに二人を止めに入る。前の幻真との勝負を思い出したからだ。
「待て——」
「風符『風刃殺』」
想起が止めようとした時には、既に遅し。戦いは始まってしまった。もう少し場所を考えて欲しかったと、そう思う想起だった。
「そんなモノが通用するとでも?」
緋闇はそう言い、回避する。しかし、それは狼によって操作されているため、回避しても再び戻ってきて緋闇に飛んでくる。緋闇は回避を続ける。
「避けてたらキリが無いよ?」
「うん、だからこれでも喰らって」
緋闇は回避しながらも無数の弾幕を出現させ、狼に飛ばす。狼は技の操縦を止め、無数の弾幕を刀で切り裂いた。緋闇はその瞬間を逃さない。大きな弾幕を数十個作り出し、狼に飛ばす。彼は避けきれず、被弾する。同時に、爆発も起こった。
爆発によって起こった爆煙が止み、そこには赤いオーラを纏った狼が二本の刀で攻撃を防いでいた。その光景を見た想起は少々驚く。緋闇は少し残念そうな顔を浮かべた。
「なるほど、そのオーラは力を上げたようなもの……」
「その通りだよ。そして、幻真のように攻撃力や素早さも上がる!」
狼はそう言って、緋闇に斬り掛かる。緋闇はその攻撃を、一本の刀で防いだ。両者は距離を取り、睨み合う。
「明らかに力が上がっているな」
想起は腕を組んで呟く。段々人々が集まってくる。そこはもう観戦場。
「おや、想起じゃないか」
「ん、慧音か。見ての通り、騒ぎのようなもんだな、全く」
「まあそうカッカするな。危なくなったら止めればいいだろう?」
「そうだな……そうする」
彼は溜息を吐きながらも、慧音の言った通りにすることにした。
二人の方に視線を戻した想起は、狼が一本の刀を出現させるのを目にする。刃の色は桃色。刀や黒刀の蒼悪より性質が良い。それは、ある力を使って創造したものである。
「獣道『攻撃体勢・獣』」
「うぐっ……」
狼は刀を地面に突き刺し、下から振り上げる。地面が割れて出来た岩が緋闇を襲う。
「決まったか?」
「いや、恐らく次が最後だ」
土煙の中から、何かを唱える声が聞こえてくる。その正体は、緋闇。
「黒き炎の龍よ! 我らに加護を与えよ そして、全てを焼き付くすがいい! 闇龍『黒き炎の龍~全てを焼き尽くす者となり』!」
「あ、マズイ——」
その攻撃は狼に直撃し、爆発が起こった。
場所は変わって冥界の白玉楼。龍使いこと幻真は妖夢に会いに来ていた。イチャイチャしているわけでもなさそうだった。
「よぉ〜、幻真〜」
「お前は……終作か?」
空間から顔を出す一人の男、終始終作。その後ろにもう一人、男がいた。彼の名は春夏秋冬活躍。
「まずは君達お二人さんを弄りに来たよ〜」
「帰れ」
「帰ってください」
「やだね〜、ほいっ」
終作はそう言い、空間から出てくる。続いて、活躍も出てくる。
活躍は空間を閉じた終作に聞く。
「俺は見とけばいいんだな?」
「うん。それじゃあ、二人でかかってらっしゃいな」
今回は大分出しました。平等に登場させますからね。次回も新たに数人出ます。