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東方人獣妖鬼  作者: 狼天狗
第弐章 異世界の者たち
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第67話 モヤモヤ晴らし

またもや日が空きました。今回で文化帖編終了です。

「ほぉ、まだ受け止められるほどの力が残っていたか。だが、お前の体力も底をつく。さっさと諦めろ」


「何度言わせるんだ。俺には大切な……守る人が出来たと言ってるいるだろう! 希眼『橙眼』!」


「回復すると同時に、パワーも上がると……ふんっ、最後の悪足掻きか。闇討『シャドウクロー』」


「槍符『光槍』!」






「——はぁ、はぁ……なんだったんだ今のは……」


「貴方の意思、強く受け取りましたよ」


 この声は一体……それに、どこかで聞いたことのある声だ。誰だっけな……


「——思い出した! 霊夢と戦ってた時に空から落ちてきた奴だ!」


「奴とはなんですか。そんな言い方をしないでください。さてと、本題に戻しますが、貴方の意思はキッチリと受け取りましたよ」


 もしかして、さっきの悪夢はこの人が見せていたということか? 可能性はあるよな。


「なあ、お前強いだろ?」


「強いですが?」


「一回手合わせしてくれないか?」


 その人物はクスクスと声を出して笑い、フードの内側は笑顔のような気がした。


「構いませんよ。というか、貴方は自分の目的を見失っていませんか?」


「目的? えっと、あ、そうだ! 永遠亭に行くんだったな。悪い、また今度な!」


「ええ、いつでもお相手しますよ——」


 俺はその人物に手を振りながら、迷いの竹林へと向かうのだった。


「——龍使い」








 〈射命丸文〉



 さてと、最後は妹紅さんです。確か寺小屋の先生をされていた筈なので、このまま人里に向かいましょう。


「ん? あれは……幻真か?」


「え? 幻真さんですか?」


 下の森を指す想起さん。私は目をやる。


「ほんとですね、あれは幻真さんに違いありません。でも、どこに向かっているのでしょうか?」


「たぶん永遠亭だろうな。時龍の様子でも見に行くんじゃないか?」


 なるほど、時龍さんですか。確かに自分で軽い傷だって言ってましたけど、実際重症ですからね。


「俺たちは取り敢えず最後の取材を片付けるぞ。文、気合い入れて行けよ」


「はい!」






「——まさかこう都合良く会えるとは……」


「いや〜、私も昼飯にしようと思ってたところでな! 慧音を誘ったら、私は先にすることをするって言って、一人で来てたんだ。いや〜、ほんとここの飯は美味いな!」


 今は先に昼食を取るために、先日やって来たお店に来たところ、偶然妹紅さんと会いました。


「で、幻真の話だっけ。そういや彼とは戦ったことが無かったな。一度相手してみるのも良さそうだ」


 なるほど、妹紅さんは幻真さんの相手をしたことが無いと……ふぅ、やっと皆さんの取材が終わりましたね。いや〜、長かったようで短かったです。想起さんには感謝永遠ですね。


「ったく、時龍の野郎、見舞いに来たってのにあんな態度だなんて……」


 ブツブツと喋る人物が隣の席に座る。


「すいません、いつもので」


「あいよ!」


 私はゆっくりと隣を見る。そう、その人物は——


「幻真さん⁉︎」


「ん、文か。それに妹紅と想起も。何してたんだ?」


「取材です。幻真さんについての」


 それを聞いて幻真さんはビックリする。それはそうでしょう。コソコソとやっていたんですから。


「取材って事は、纏めるのか?」


「はい! 早くて半日です!」


『早!』


 店内にいた皆が、声を合わせ言った。私は舌を出しながら照れる素振りをする。


「でも、配るのは明日です。幻真さんには特別に、今夜その記事内容をお見せしますね」


「お、おう頼んだ」


 私は敬礼し、店主にお礼をしてから出口へと向かう。


「あ、想起さん! ありがとうございました! 私……想起さんの事が——好きになっちゃいました」


 私は顔を赤らめ、そのまま外へと出て飛んで行った。








 〈幻真〉



 文、この取材で恋人を作ったとはな。想起も溜息を吐きながらも、顔を赤らめてやがる。すると、妹紅が突然肩を組んできた。


「恋の芽生えって感じだな。あっはっは!」


「幻真……ちょっと一戦、してくれないか……?」


「お、おう。構わんぞ」


 かなり照れてらっしゃる。想起の意外な一面って所だな。






 俺と想起は店内から出る。里人が道を通る中、位置に着く。


「はーい皆さーん、今からちょっと危ない事をするんで気をつけてくださいね〜」


「時龍? もう大丈夫なのか?」


「平気さ。俺は誘導しとくから、思う存分やっちゃいな〜。ほら〜危ないですよ〜」


 時龍にもあんな一面が……意外だ……








 銀髪の少女がその人混みを掻き分ける。そこにいるのは、三人の人物。一人は誘導、二人は如何にも今から何かをする様子。と、店内から出てくる一人の少女、妹紅。彼女もまた、その試合を観戦するようだ。


「いくぜ、光明『雷光撃(シャイニングボルト)』」


 一人の男、幻真は攻撃を仕掛ける。対して、もう一人の人物も攻撃態勢に移り、攻撃に対応する。


「波動『オールインパクト』」


 もう一人の男、想起は幻真の出した弾幕を一掃する。周りの里人からは、声援が上がる。そして、銀髪の少女、妖夢も目を疑った。


「まだまだぁ! 氷弾『氷雹弾(サークルブリザード)』!」


「幻夢剣——幻斬『幻界節』」


 想起は幻夢剣で幻真の出した弾幕を斬る。すると、その弾幕は想起をすり抜けた。これには皆、またもやビックリ。だが、幻真はニヤリと口を動かす。


「開眼『青眼』からの龍符『炎龍』!」


 全長五メートル程の龍が幻真によって召喚される。これにもまた皆ビックリ。だが、妖夢は龍については知っていた。


「雷符『青雷(ブルーサンダー)』」


「雷防『雷電結界・肆』からの龍符『三方炎龍』!」


 想起の攻撃を防いだ幻真は、その後攻撃を繰り出す。想起は慌てて、空間を作り逃げ込む。その光景に、里人は周りの人と騒ぎ立てる。幻真はそれを見てニヤリと口を動かし、移動する。


「ここだ!」


「ぐふっ……」


 幻真が斬りかかった所に、空間を作り出した想起が出てきて斬られてしまう。人々は歓声を上げる。


 一方の時龍は、その光景をニヤニヤと見ていた。そしてまた一方で、上空からその様子を見ていた人物がいた。その人物は、狼。今日もまた、みたらし団子を買いに来ていたのだった。


「幻真と想起か……時龍はニヤニヤしながら観てるし、僕も観戦しに行こうかな。もちろんみたらし団子を買ってから」


 狼はそのまま、和菓子店へと直行するのであった。


「はぁ、はぁ……喰らえ、弾幕『大魔道弾』」


「あの弾幕は……まずい!」


 咄嗟に弾幕にしがみ付く幻真。その様子に妖夢、妹紅は唖然としている。人々はざわざわとしている。時龍は相変わらず、ニヤニヤしている。


「『魔力吸収(マジックドレイン)』」


「吸収……なにっ、魔力が減っていく……」


 幻真が使用した技は、あらゆる魔力を含む物を魔力のみ吸収するといった、無敵と言わんばかりの技である。その光景を見た妖夢は一安心。


「幻真の魔力が増えたね」


「あ、狼さん」


「やあ妖夢。僕も偶々この光景に遭遇したもので。あ、みたらし団子食べる?」


「あ、頂きます」


 さて、幻真は魔力を吸収した。そして幻真は構える。想起も冷汗をかきながら、幻真の攻撃を待つ。


「これで終わりにするか。斬符『冥抄斬(ソードブレイブ)』」


「ならば……斬符『幻金夢充斬』」


 幻真の剣にはあらゆる属性が纏い、想起の剣には金色のオーラが纏う。そして、剣と剣が交じり合い爆発が起こった。






 数分足らずして、爆煙が止んで空を見上げる。しかし、人の姿は無い。下を見ると、二人を担ぐ一人の男、時龍の姿があった。


「はーい皆さん、二人が気絶しちゃったので今回は終わりでーす。はいはい、かいさーん」


 人々はブツブツと話し合いながらも、その場を離れた。人々が減っていくと同時に、妹紅、妖夢、狼は時龍に寄る。


「時龍さん、幻真さんは私が……」


「ん〜? ほいよ、君の彼氏さ——ぐへっ」


 時龍が言い終える前に刀で刺される。その光景に狼は溜息、妹紅は苦笑。


「よくその傷で立ってられるもんだ」


「俺はこんなもの慣れてるんでね〜。ほい、幻真。文がいないから想起は俺が運ぶ。じゃ〜な〜」


 時龍は想起の鍛冶屋の方向へと歩いて行った。妖夢は幻真を抱えて、白玉楼へと戻るのであった。


「さて、私たちも戻るとするかね」


「そうですね。それでは妹紅さん、また今度」


 こうして、文の取材と共に激しい一戦が終わったのであった。

さて、次章から外伝の始まりです。基本的に三人称視点で書きたいと思いますので、よろしくお願いします。

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