第65話 新技のお試し
今回は肆。
とある先生のとある人物から頂いた秘伝書で、幻真はアクセルモードを極めます。
〈幻真〉
「げほっげほっ……いってて、酷い目にあった。ちょっと油断しすぎたな」
「そうね、でもまだ終わってないわよ。夢符『封魔陣』」
霊夢の野郎、まだやる気かよ。どれどれ、アレをやってみるか。さっきはできなかったが、今度はどうだ?
「はあぁぁぁぁ……だぁっ!」
「うぐっ……な、何このオーラは⁉︎」
俺は手元を見る。すると、体が水色のオーラに包まれていた。これがアクセルモードか。
「どこでそんなの覚えたのよ?」
「ん? とある友人にこの技の秘伝書を頂いてな。それで試行錯誤の結果、できたってわけだ」
霊夢は口をポカーンと開けて突っ立っている。俺はやれやれと首を振った。
「つまり、貴方の眼のような効果?」
「簡単に言えばそうなるのかな。取り敢えず、この力見せてやるぜ。うおおお!」
短剣を片手に、霊夢に突っ込む。素早くお祓い棒を取り出した霊夢に対し、短剣で切り掛かる。
「明らかに速い。それに力も強化されているわね」
「俺もまだ使いこなせるわけじゃないが……斬符『水伝斬」
短剣に水を纏わせ、霊夢に切り掛かる。彼女は対抗するためであろう、お札を出すのが見えた。
「えいっ!」
「ん? お札……って、やべっ」
気付いた時には爆発。そう、これはお札弾。相手に引っ付いたりすると爆発する。そういったものだ。
「ば、爆発多いな……だが、嘆いていられないし手加減もしてられないぜ〜。龍符『風龍』」
「いつの間にか増えてるわね」
霊夢はジト目でこちらを見る。俺はニヤリと笑って、唱えた。
「龍符『風之王』」
風龍は霊夢に突っ込んでいく。さあどうする? 霊夢!
〈射命丸文〉
さてと、次は藍さんと幽々子さんですね。藍さんは後程伺うとして、先に幽々子さんから行きましょう。
「想起さーん、次は幽々子さんの所へ向かいましょう——ってあれ? 想起さん?」
おかしいですね、想起さんの反応がありません。それに、どこかを見つめているような……
「想起さん!」
「え、ああ、すまない。幻真の気を感じてな。それにいつもとは違う気を……まあいい。白玉楼へ向かおう」
「は、はい」
幻真さんの気? それにいつもとは違う気って……一体どういうことなんでしょう。記事を纏めた後にでも伺うとしましょうか。
さて、再び冥界へやって参りました。想起さんの"空間を操る程度の能力"で一気に行けないのでしょうか。いやいや! 自力で取材してこそ、新聞記者ですからね。
「すいませーん、誰かいらっしゃいますかー?」
「はーい。あら〜、文に想起じゃないの〜。どうかしたの〜?」
「幽々子さんに取材をさせていただきたいと思いまして。あの……妖夢さんは?」
「夕飯の食材を買いに行ったわ〜。ささっ、上がってちょうだ〜い」
「——え〜、幻真〜? そうねぇ〜、久し振りに料理を作って欲しいわね〜。彼の料理は特別美味しいのよ〜」
幻真さん、料理されるんですね。腕前も素晴らしいと……私も食べたくなりました!
「幽々子様、ただいま帰りました〜……あ、文さんに想起さん。幽々子様に取材されてたんですか?」
「はい。あ、あの、急にでご迷惑をおかけすると思うんですが、今晩泊めてもらえないでしょうか。できればでいいので……」
妖夢さんは困っていたが、幽々子さんは快く笑顔で承知してくれた。
「構いませんよ。食材は大丈夫でしょうし」
「よし、なら俺も手伝おう。俺も伊達に料理をしてきたわけではないからな。ほら、持ってやるよ」
「すみません、ありがとうございます」
想起さんは妖夢さんの持っていた籠に入った食材を台所へと持って行った。料理、楽しみです!
〈幻真〉
「風が……境符『四重結界』」
これは、以前に霊妙さんが使っていた四重結界か。なかなかに厄介だな。
「段階を上げてみるか。想符『アクセルモード2』」
俺は声を出して拳に力を入れる。霊夢は何をするのかと思い結界を解き、こちらの様子を伺っている。
「雷を……纏った……?」
「ふぅ……何事もチャレンジは大事だな。あいつもそうだったのかな。まあ、そんな話は置いといて……そろそろ決めないとな。長引きすぎた。いくぞ、霊夢!」
俺は霊夢に言い、構える。彼女も頷いて構える。そうだな、あれで決めよう。
「いくぞ……龍符『龍鳳神怒魅真!」
「霊符『夢想封印』!」
お互いのスペルカードで、最後を決めるッ!
「——ふぅ……どうなった?」
俺は溜息を吐き、爆煙が止むのを待つ。そして爆煙が止んだ後、霊夢の姿はなく、彼女は倒れていた。俺は伸びを一度してから霊夢に近付く。
すると、空から全身を隠すようなコートを着た人物が落ちてきた。俺は一瞬警戒したが、その者から殺気などは感じない。
「脅かしちゃいましたか? すいませんね」
その人は敬語で、悪そうな人には見えなかった。そして、手を霊夢に掲げる。変な気を感じたかと思うと、霊夢は唸り声を出した。俺は一安心。
「貴方ももう少し鍛錬をしてはいかがでしょう。それでは、失礼しますね」
そう言って、男は空に向かって飛んでいき、どこかへと姿を消した。
「はっ……霊夢、肩を貸そう」
〈射命丸文〉
「さあ、できたぞ。それにしても……お嬢さんはこんなに食べるのか」
「はい。亡霊になられてからですね……」
そ、それは困りますよね。妖夢さんの食材などの買い出しが大変そうです。
「妖夢さんは幻真さんとの出会い、いつだったんですか? その辺も是非とも聞かせて欲しいです!」
「ええ⁉︎ こ、恋話って奴ですか? うぅ……そうですね……あれは私たちが異変を起こした時の話で——」
「——それで、今こんな感じと……まあ、幻真さんに直接は言ってないのですが」
な〜るほど、奥が深いですね! これからの恋愛事情が楽しみです!
「ごちそうさま。妖夢、先に風呂を借りていいか?」
「いいですよ。私は食器洗いをしておきますね」
「あ、私も手伝います! 何もしないというわけにはいきませんので!」
「ありがとうございます。それでは、台所に向かいましょうか」
食べ物が綺麗に浚えられた食器を妖夢さんと台所まで運び、食器洗いを手伝った。
〈幻真〉
霊夢を安静にさせ、お茶を淹れて縁側へと向かう。そこに腰掛け、夜の星空を見上げる。無数に輝く星空。とても綺麗だ。夜空とはこんなにも美しいものなんだな。
「そうだな……アクセルモード3でも試してみるとするか」
お茶を茶托に置き、外へと出る。霊夢を起こしてしまいそうだが、その時は謝ればいいだろう。
「いくぞ……想符『アクセルモード』」
拳に力を込め、ひたすら叫ぶ。すると、水色のオーラが俺を包む。
「よし、これはいいな。なら、次は2に行くとしよう」
こんな本格的にやるのは久し振りだ。そんなことを思いつつ、再び拳に力を込める。
「想符『アクセルモード2』」
次は水色のオーラと共に、水色の雷が俺を包む。2もいい感じだな。
「さて、3だが……額から炎を出すのか、それか別の色のオーラを出すのかといった感じなのだが……取り敢えず、するとしようか」
またもや拳に力を込め、叫ぶ。
「想符『アクセルモード3』!」
すると、オーラが赤と金の二色が混ざった色になった。これがアクセルモード3か。
「秘伝書によるとアクセルモード3は、やろうと思えば幻想郷を吹き飛ばせるとかなんとか——ってダメだろ! ま、まあやろうと思えばだから、たぶん大丈夫だな」
独り言を言いながらも、秘伝書を読み進める。
「何々? アクセルモード4は神の力になれてゼウスにも余裕で勝てる……こりゃたまげたな。そんな力を使えるなんて。やっぱりあいつらは凄いな」
俺は一人で感心する。と言っても、俺も神になれないわけでは無さそうだからな……これで強化するとしよう。
アクセルモードを解除し、首の骨を鳴らす。そのまま縁側へと向かい、冷めたお茶を能力で温めて再び飲む。
「飯はいいか。もう寝るとしよう」
俺は欠伸をしながら、中へと入っていった。
次回は伍。
あまり取材が進んでいないような気がしますが…




