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東方人獣妖鬼  作者: 狼天狗
第弐章 異世界の者たち
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第59話 突然の乱入者

コラボ8話目。謎の人物が明らかに…

今回は面無し先生の国下君と、山餅先生の恵生君と謎の人物との戦闘です。

 〈時龍〉



「時限の狭間に送ってやる」


 人物がそう言うと、大きな空間が開き体が吸い込まれていく。感じ的には背後……まさか!


「ぐぬぬ、なんだこれは!」


「吸い込まれて……」


 刀哉、終作、リクの気配が消えた気がした。まさか吸い込まれてしまったのか?


「これは吸い込まれているというより、引き寄せられているな」


「霊斗……俺もそう感じた。なかなか余裕じゃないか」


「黑狂、踏ん張れよ」


 今近くにいて攻撃できるのは俺だけ。この状況を切り抜けなければ……


「なんだぁ? この磁力に耐え切れるものがいるとはな。だが、邪魔者は纏めて吸い込んでやる!」


 人物がそう叫んだ後、吸引力が増した気がする。ヤバイぞ……ルカと玉木、絢斗の気が消えている……


「霊斗、何とかしろ」


「そんなこと言われてもよ想起、少しでも動いたらあの空間に吸い込まれてしまいそうなんだ。俺だって異空間内から脱出できるか分からんからな」


「そんなぁ……」


 残念そうにする狼。だが、余裕を見せていられない。霊斗が無理ってことは、俺に託すって事だよな……


「龍派『波動剣』ッ……!」


「むっ……」


 俺の攻撃に気付き、その男は引力のようなものを消し、俺の攻撃を防いだ。霊斗たちは耐えるのに疲れ、それぞれ呼吸を整えた。


「大丈夫か?」


「時龍……助かった。それにしても、何だあいつは。急に降ってきたらしいが」


 霊斗は男を睨みつけながら俺に問う。霊斗たちも感じていると思う、こいつはとんでもない奴だと。


「おい、お前は一体何者だ」


「俺かぁ? 俺は星弥ほしや和正かずまさだ。今猛烈に虫の居所が悪くてなぁ。空を飛んでいたら戦っているこの二人がいたもんだから、蹴散らしてやろうと思った次第だ」


「なぜキレていてた?」


 霊斗が問うと、和正は大きく息を吐いて話し始めた。


「俺には憎い弟がいてだな、そいつがとても気に入らないんだ……因みに俺は旧都に住んでいる」


「旧都って、あの旧都か? なら、星熊勇儀のことは知っているな?」


「ああ無論。伊吹萃香も知っている。俺がガキの頃に世話になったもんだ」


 すると、国下が一歩前に出て和正に話しかけた。


「となると、お前は鬼か?」


「いや、ただの鬼ではない。お前と同種だ」


 同種……となると、鬼神か。


「この世界の幻想郷にも鬼神がいるとは……面白い。お前、なかなかの実力者だろ?」


「実力者……か。はははっ! そんなもの知らねぇよ!」


 和正がそう言うと、目にも見えぬ速さで国下を殴り飛ばした。あいつが今の攻撃を防ぎきれなかっただと⁉︎


「ふむ……これは本気で戦えそうだな」


 汚れた国下が笑いながらそう呟いた。すると、一気に距離を詰めていき、和正に殴りかかった。


「そんなもの通用するか!」


 素手で止められた国下の拳と体は、地面に叩きつけられてしまった。こいつ、ヤバイ……


「チィッ! 二礼『天討二拍手』!」


 国下は二拍手をし、音の衝撃波によって全方位を攻撃する。だが、和正は素手で衝撃波を切ってしまった。


「国下の衝撃波が切られただと⁉︎」


「ふはは! そんなものが通用するとでも思っていたのか! 喰らえ——『龍魔拳』!」


 和正が俊足で国下の目の前に来ると、紫のオーラを拳に纏わせ腹部を狙って殴った。だが、国下は間一髪避けた。


「流線『雨流し』……危なかった。その攻撃を喰らっていたら即死だったな」


 皆は息を飲み込む。和正は驚いた表情を見せているようにも見えた。国下は再び構える。


「鬼討『破顔』!」


 すると、マスタースパークより強そうなモノがガトリングのように降り注いだ。あれは強そうだぞ。


「殴り防ぐ」


 和正は降り注ぐガトリングのようなレーザーを全て殴って消した。なんて威力だ……


「失せろ、『戒魔拳』ッ」


 奴は唖然としていた国下を殴り飛ばした。国下は血を吐いて、空中を一回転した。


「お、おい国下!」


「駄目だ、意識を失っている。まさかあの国下が近接戦闘でやられるなんて……」


 霊斗と黑狂が驚きを隠せなさそうだ。ん、待てよ、誰か復活させるような能力持ってなかったか?


「絢斗——って、あいつ吸いこまれたんだったぁぁ!」


「俺はここにいるよ〜」


 あれ、確かに気が消えてたはずなんだが……まあいてくれたなら都合がいい。


「早く国下を——」


「わかってるけど、これは一日に十回しか使えないんだよ〜? だからあんまり使用するのは——」


「そんなケチ臭いこと言うなよ。もうすぐ日も変わる時間になるんだし」


 絢斗は頷いて、国下に寄る。


「させんぞ、『魔道(イビルロード)』ッ!」


 和正が地面に手を置き、思いっきり押した後に地割れが発生した。皆は慌てて地割れを交わす。よく見ると、この地割れの間に闇のオーラが出ているのが見える。ここに落ちたら、ひとたまりもなさそうだな。


 俺は国下を担いで飛行している。結構重い……


「絢斗、今の内に——って、これは!」


 この引き寄せられる感覚、吸引力! またあのホールか!


「『暗闇の異空間(ダークネススペース)』。引力でこの空間に送り込んでいる。さっきの五人の連中共の状況はこうだ」


 すると、目の前にモニターのようなものが現れ、映ったのは刀哉、終作、リク、ルカ、玉木の五人だった。そこはスキマのような亜空間で、周りには何もなかった。


「おい! 終作!」


 必死にモニターを叩いて呼びかける黑狂。だが、聞こえるはずがない。黑狂は舌打ちをしてモニターを殴る。


「別にこの中に居て害はない。ただ邪魔が入って欲しくないものでな。面倒くさいのは嫌いだ」


 すると、吸引力が更に上がった気がした。異空間は、直ぐそこだ。


「くっ、マズイ……霊斗、後は頼んだ……ぞ……!」


 異空間に吸い込まれていく黑狂。霊斗は手を取ろうとしたが、生憎届かなかった。


「俺も無理そうだね〜。悪いけど、後は頼んだよ……」


 絢斗もそう言って、異空間へと吸い込まれていく。ヤバイぞ……


「全く、面倒な事になったな」


「恵生……?」


「時龍、ちょいと本気出してくるわ」


 恵生はそう言って、引き寄せられる中とてつもない速さで一気に和正の目の前に来た。


「なんだぁ? 強者がまだいたのか。だが俺には勝て——ぐふっ……」


 和正は腹を殴られ痰を吐いた。恵生が殴ったのか?


「普段は戦いを嫌うが……そんな事言ってられそうにないからな、さっさと終わらす。光線『サンライトレイ』」


 和正の腹部にマスタースパークのような太い光線を撃つ。この近距離じゃ避けられまい。


 太い光線は和正の腹部に命中し、貫通した——はずだった。和正は恵生を見て笑ってやがる。気味が悪い……


「無駄ダァァ! 『次元魔』ァ!」


 和正は素手で次元を裂き、そこから邪悪なレーザーが飛び出し恵生を直撃した。だが、恵生は倒れず和正の襟を掴んで顔を近づけた。


「吸拳『力無奪撃』」


 拳から和正の力を吸収しているのを感じる。だが、和正の力は減っていない気がする。


「そんなものが通用するとでも? 鬼神解放ッ!」


 和正がそう叫ぶと、角、犬歯がみるみる伸びていく。恵生は舌打ちをして後ろへと下がった。


「剣世『ソードワールド』!」


 恵生は次々に剣を出現させ、和正に飛ばす。和正は何やら構え、唱えた。


「『吸収(ドレイン)』!」


 すると、ブラックホールのようなものが現れて剣を取り込んだ。恵生は剣を飛ばし続ける。


「『非道魔』!」


 和正がそう言うと、ブラックホールが一気に恵生の目の前に現れた。


「常磐『未来永永結界ー零ー』」


 吸い込まれる直前で結界を展開した恵生。吸い込まれないどころか、どんどん結界が強化されているのを感じる。あの結界は凄いぞ。


「破壊不可、か……貴様もなかなか手こずっているな。俺に合わせなくてもいいんだぞ? まあ、俺もその力を更に上回っていくがな!」


 そう叫ぶと、更に磁力が上がった気がする。上がれば上がるほど、恵生の結界は強化されていく。


「恵生が耐えれるのも時間の問題だな……」


「霊斗、どうする?」


「どうしようもない。このブラックホールから逃げないと俺たちも観戦役になっちまうからな」


 観戦役が嫌なだけかよ。まあ、霊斗や国下たちは幻真と戦っていなかったからな。場を見計らって和正と戦うのだろう。


「さっさと吸い込ま——なんだぁ? まだ意識があったか、幻真!」


「ははっ、そんなもんでくたばんねぇよ。狼、桜を頼む」


「え……あ、わかった!」


 幻真……良かった、生きてたか。というかまさか、奴と戦う気か?


「まあこいつを倒したいのは山々だが、ここは霊斗に頼もうかな」


「なんだよそれ」


 ただ面倒くさがってるだけなのか? まあ霊斗も戦いたそうだしな。


「まあ、頼まれちゃあ仕方ない。さっさとケリをつけて——って、早いな」


「相手をするって言うなら、さっさと来てもらわないと困るな」


 和正の奇襲を瞬間的に受け止める霊斗。こうなったら頼んだぞ……霊斗!

次回は和正と霊斗君の戦闘です。果たしてどうなることやら。

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