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東方人獣妖鬼  作者: 狼天狗
第弐章 異世界の者たち
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第54話 剣客との手合わせ

コラボ3話目。今回は題名通りです。

 〈幻真〉



 ここは……どこだ? 夢の中なのだろうか? 俺は確か、桜にしばかれて気絶したんだっけ。絶対に絢斗と時龍を許さないからな。特に時龍……俺の先輩的存在だが、許さねぇ。


『まあ、君はそういう奴だからね〜』


 は? 誰か夢の中に居るのか? ってか、夢だしな。害は無いと思うが……


『そんなに見渡しても僕は見つけられないよ。実際、声だけだからね〜』


 どういう事だ? 見えない存在、声だけって……実際は夢だからか? まあ、それはいいとして……


「俺に何か用か?」


『別に。直々に君と戦う事になると思ってね。えーっと、確か他の世界からやって来てる者がいるんたよね。霊斗って男と、霊奈って女いるでしょ? 霊斗って男の実力はご存知の通りだと思うけど、霊奈って女の人、彼女はまた強そうな人だね。君には強くなっていてほしい。僕に殺されないようにね……』


 奴が一方的に話したかと思うと、再び声が聞こえてくることはなかった。直々に戦うって、どういう事だ? 現実世界でだろうか? それに、殺されないようにって言ってたし、俺に恨みでもあるのか? それとも俺が何かやらかしたのか?






 俺は夢から目覚め、体を起こす。周りを見ると真っ暗で、月明かりが照らしていた。皆は寝ている。俺はそっと縁側に向かった。そして、そこに腰を掛ける。


 俺は夜空を見上げた。今宵は半月だった。夜だからか、それとも現在地点の高度が高いからなどの影響があったせいか、暑くもなく寒くもなかった。どちらかというと、涼しい。


「起きたんだな」


 背後から俺に声を掛ける声。振り返って確認してみると、それは刀哉だった。


「隣、いいか?」


 俺は頷いた。彼は俺の隣に座る。すると、先程の俺のように空を見上げた。


「綺麗だな。雲ひとつ無いし、ここは高所だし」


 俺は共感した。俺もそう感じたからだ。ここは博麗神社より高い所にあるのかな? 縁側からは遠くの山が見える。綺麗だなぁ。


「なあ幻真、一本やらないか?」


「酒か? 戦闘か?」


「戦闘だ。刀剣の類は使うだろ? 是非とも実力を見てみたい」


 俺は頷いて剣を取りに行った。皆を起こさないよう、忍び足で歩く。結構寝たし、体力は万端だ。


 俺は真神剣を手に取り、刀哉がいる外へと向かう。刀哉と会ったのは初めてだし、剣術が上手そうだからな。しっかり対応しなければ。


 剣を鞘から抜き、刃を月明かりに反射させる。刀哉はニコッと笑って、刀を抜いた。だが、彼は眉をひそめて悩む素振りを見せて聞いてきた。


「それは刀剣として作られたんだよな?」


 俺は真神剣を立てて確認する。まあ、これは剣だな。刀剣類だと何か起こるのか?


「まあいい」


 刀哉はそう言って、俺に向かって斬りかかる。俺は直様対応した。そして、そのまま剣技を発動する。


「斬符『炎魔斬(エビルフレイム)』」


 炎と闇のオーラを纏わせ、瞬時に刀哉に斬りかかる。だが、彼はまたもや驚きながらも、技を防いだ。


「これは刀剣じゃないのか……?」


 少し動揺していたが、直様気を取り戻して俺に斬りかかる。俺は攻撃を受け止める。刀哉はすぐさま下がり、スペルカードを取り出した。


「神技『迅雷風烈』」


 刀哉は刃から雷撃と突風を巻き起こす。俺は腕をクロスさせて防ぎながらも、突風で体が下がっていく。俺は弾幕を飛ばすことにした。


「真符『五種之勾玉弾』」


 勾玉型の五属性の弾幕を刀哉に向かって飛ばす。刀哉は斬るか避けるかして耐えているが、この量は難しいだろう。すると、刀哉は隙を狙って遠距離攻撃をしてきた。


「剣舞『疾風之太刀』」


 抜刀による真空波で、俺は軽い切り傷を負ってしまう。しかし、俺は気にすることなくニヤリと笑って唱えた。


「龍符『炎龍』」


 すると、全長約五メートル程の龍が現れ俺に纏わりつく。刀哉は構え、様子を伺う。


「龍符『炎嵐龍』」


「ッ⁉︎」


 炎龍がドリル並みの威力で回りながら刀哉へと突っ込んでいく。刀哉はその攻撃を刀で受け止めた。


「刀で受け止めれると思うか?」


「チッ……」


 刀哉は舌打ちをし、攻撃を躱す。すると、すぐさま俺に向かって斬りかかってきた。


「龍符『虚無炎龍(ヴォイドフレイム)』」


 俺がそう唱えると、特殊な事が起こったわけではないが炎龍自ら攻撃をするようになり、俺に斬りかかってくる刀哉を殴り飛ばした。刀哉は咳き込みながらも立ち上がる。


「まさかこれほどに強いとは……」


 刀哉は俺がこれほどまで強いとは思っていなかったのだろう。自分では強いとは思っていないんだがな。まだまだ強くなれそうだしな。


「なら、こいつはどうだ? 龍符『暗黒龍』」


 俺は炎龍を消し、暗黒龍を呼び出す。全長約七メートルの大きな黒い龍が、刀哉を警戒しながら俺の周りを飛ぶ。暗黒龍はとても用心だからな。


「龍符『漆黒之龍』」


 俺がそう言うと、辺りは漆黒に染まって視界が悪くなる。刀哉は動揺せず、目を瞑っているように見える。気を感じ取っているのか?


「ここだ!」


 刀哉がそう言うと、何かを斬った音がした。そこからは唸り声——暗黒龍に当たったのだろう。漆黒が止んだ後、暗黒龍はいなかった。刀哉は気を掴む事ができるのか……? 時龍と似たような感じか。


「ならば、龍符『雷龍』」


「次は雷か……」


 刀哉が呟いたのが聞こえた。俺は構わず攻撃を開始する。


「龍符『放電雷神龍(スパークドラゴン)』」


 雷龍が放電を発し、刀哉に突っ込む。


「これも追加しておこう。雷弾『莱雷弾(サークルスパーク)』」


「アリかよ……」


 刀哉は呆れた表情になっていたが、刀を構えて様子を伺っている。さあ、どうする。


「こんなもの……」


 刀哉は避けようとせず、モロに喰らった。だが、俺はそこで気付いた。


「掛かったな!」


 その刀哉は幻影だったと。刀哉は死角から襲いかかってくる。俺は対応できず、腹を切られる。地面に転がり、吐血する。俺を見下ろす刀哉の姿が見えた。


「勝負あったな」


「へっ、それはどうかな」


「ッ⁉︎」


 刀哉は驚いた表情になりながら、血を吐く。俺はニヤリと笑った。刀哉もまた掛かったのだ。


「槍符『闇槍』……咄嗟に作った」


「うぐっ……」


 刀哉はそのまま俺の隣に転がった。これで五分五分と言ったところか。お互いに立ち上がり、再び構える。


「さてと……起眼『黄眼』」


 俺の瞳は黄色となり、傷口を回復し攻撃力素早さを三段階目に上げる。だが、やはり制御が上手くできない。どうにかこれを克服したいんだが……


「どうやら制御し辛いそうだな。精々五分ぐらいしか保たないんじゃないか?」


「ごもっともだな。これさえ克服できればいいんだけどな」


「ハハッ。それじゃあ、頑張れよ」


 刀哉がそう言うと、何人もの刀哉の幻影が現れた。なるほど、時間を潰してくるのか。面倒くさいが、一体ずつ消していこうか。


「おりゃ!」


 これも幻影、あれも幻影、それも幻影。よくこんなに生み出せるものだ……


「あと数体!」


 やっと数えられる程になった。さあ、本物はどこにいるんだ?


「こいつか」


 最後の一人を斬る。だが、それも違った。ということは……まさか!


「そうだ。ここだ! 天下に名高き五つの名刀……招来『天下五剣』ッ!」


「しまっ——」


 俺は幻影を使役した五つの名刀を避けきれず、体に次々と刺さっていった。俺は意識が朦朧とし、まもなく気を失った。






「——やられるなんて、君もまだまだだよ幻真くん」


 またあの夢か。そしてさっきの人物。


「くん付けはごめんだ。呼び捨てでいい。それと、お前はいったいなんだ?」


「僕? 僕は僕だよ。いずれ会うって言ったろ?」


「まあそうだが……」


「それまでに強くなっといてよ。死んでも僕は知らないけど。それじゃあ、お目覚め〜」


 奴がそう言うと、視界が光で覆われた。

謎の人物はいずれ出ます。

次回は誰と戦闘でしょうか。

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