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東方人獣妖鬼  作者: 狼天狗
第壱章 龍使い
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第49話 月人との戦い

 場所は変わって月。玉兎たちが一人の少女に戦闘訓練をされていた。


依姫よりひめ様〜、疲れました〜」


「休みは与えませんよ」


 玉兎は溜息を吐いたあと、再び訓練を始める。その様子を見ていた依姫という人物は、とあるモノに気付く。そう、幻真たちが乗ってきたロケットだ。


「戦闘体勢」


 その人物の言葉に、玉兎たちは慌ててそちらを向いて武器を構える。


「ふぅ、やっと着いた……ってぎゃああ!」


 一番最初に降り立った幻真が、一匹の玉兎に捕まってしまう。


「依姫様! 捕まえましたよ!」


 一匹の玉兎が必死にアピールするが、依姫という名の少女は見向きもせず、手で退がれと合図しただけだった。








 〈幻真〉



 降り立った瞬間捕まんのかよ。今回出番無しとかだったら泣くからな⁉︎


「よっと、これはどうゆう状況だ?」


 俺が捕まった後に想起が降り立つ。その後、霊夢、魔理沙、レミリア、咲夜と順に出てきた。


「なんで幻真が捕まってるのよ」


 霊夢は呆れた顔で俺の方を見る。そんなこと言われましてもねぇ……


「どうやら、私たちの敵は彼女のようですね」


 咲夜は依姫と呼ばれる、周りの玉兎たちとは明らかに違う少女を指差す。俺もそう思う。


「まずは私から行きます。速符『ルミネスリコシェ』」


 咲夜が一歩前に出て、ナイフを指の間に挟んで構える。


「喰らえっ!」


 咲夜はナイフを依姫に投げた。だが……


「なっ⁉︎ ナイフが分解されて——更に再構成されてこっちへ飛んできている⁉︎」


 霊夢が驚きながら言う。咲夜は軽く舌打ちをし、再びナイフを投げて飛んできたナイフを撃ち落とす。


「今のはなんですかね?」


 咲夜が依姫に問う。


金山彦命かなやまひこのかみ。金属を分解、再構成して操ります」


 この技は咲夜にとって不利だなと、俺は思った。依姫は不意に、手に持っていた刀を地面に突き刺した。俺は何が起こるのかと好奇心が湧く。すると、無数の刃が突き出て咲夜を取り囲んだ。


「不意に動くと、祇園様の怒りに触れますよ?」


 咲夜は捕縛されてしまった。


「今のは……」


「祇園様の力です。正確には、女神を閉じ込める祇園様の力ですが」


 俺は確信した。今回の相手は相当強いと。油断出来ない相手だ。


「咲夜がこんな状態だなんて……呆れるわ。次は私よ」


 続いてレミリアが霊夢達の前に立つ。


「吸血鬼ですか」


 依姫は地面に突き刺した刀を抜く。そして、片方の腕に炎を纏わせてレミリアに向けて殴る。


「ぐっ……」


 レミリアは腕をクロスして、ダメージを緩和させて反動で下がる。


愛宕あたご様の火。小さく見えても全てを焼き尽くす火。地上にこれほど熱い火はないでしょうね」


 レミリアは深呼吸し、再び依姫に向かって飛んでいく。


「夜符『クイーン・オブ・ミッドナイト』!」


 レミリアはスペルカードを発動する。依姫はそれに対応する様にして、言葉を発する。


天宇受売命アメノウズメ


 依姫は光を帯び、踊るような動作でレミリアの弾幕を全て避けきった。


「なっ⁉︎ 避け切った⁉︎」


 まさかあの弾幕を避けきるとは。依姫、すごい奴だな。


「手短に済ませます。天照大神あまてらすおおかみ


 圧倒的な光が辺りを強く照らす。吸血鬼であり、太陽の光に弱いレミリアは一発でノックアウトされた。


「やれやれ。簡単に負けてくれちゃあ困るんだぜ」


 次は魔理沙が呆れた様子で前に出る。


「さてと、連戦で悪いが相手してもらうぜ。魔符『スターダストレヴァリエ』」


 魔理沙はスペルカードを使用するが、依姫は簡単に弾幕を躱す。魔理沙は焦りから冷静さを失いかける。


「むぅ……黒魔『イベントホライズン』」


 魔理沙は距離を縮めてから、別のスペルカードを使用する。しかし、またもや依姫は全て躱してしまう。


「密度が薄い」


 依姫はそう言った後に、大気に遮られない本来の星の輝きを魔理沙たちに見せつける。


「ぐっ、こりゃ参ったぜ……なんて言う技なんだ?」


「技ではありません。天津甕星アマツミカボシの力です」


 魔理沙は興味深そうな表情を浮かべつつ、再び体勢を整える。


「恋心『ダブルスパーク』!」


 彼女が叫ぶと、二つのマスタースパークが現れ、依姫に向けて撃たれる。


石凝姥命いしこりどめのみこ


 依姫がまたもや神を下ろしたかと思うと、魔理沙の攻撃が反射された。


「なっ、しまった……」


 反射されたダブルスパークは、魔理沙に直撃した。


「魔理沙も負けるだなんて。こうなったら私が——」


 霊夢が行こうとした矢先、想起が阻む。


「博麗の巫女……次は俺が行く」


 霊夢は迷ったが、想起に任せることにした。


「俺は剣を使う……お前もだろう?」


 想起の得物である幻夢剣を見せつけて問う。


「はい、さっき突き刺したこの刀です」


 依姫も自分の得物を想起に向け、返事をする。


「なら、話は早いな」


 想起がそう呟いたかと思うと、地を蹴り、依姫の元へと飛んでいく。だが、依姫も手強い。容赦なく想起の斬りを止められる。想起は舌打ちをし、刃を思いっきり押して後ろへと下がった。


「やっぱり一筋縄じゃ無理か……」


 あ〜、俺も戦いてぇ!


「油断されては困ります。火雷神ほのいかずちのかみ


 依姫は雨を降らせた後に雷を落とし、その雷が七頭の炎の龍となって想起を焼く。


「ぐあっ、しまった……」


 想起は残念そうに何かを呟いて倒れた。呆気ねぇな! つまんねぇよ!


「想起でも駄目じゃない」


 霊夢は溜息を吐いて呆れる様子を見せた。


「幻真、あんたならそんなところからさっさと出れるでしょ? まあ、今から私が戦うから、そこで見ててもいいけど」


 むっ、なんだよそれ。まあ、ここの方が安全そうだしな。お言葉に甘えて見ておこっと。


「さて、行くわよ。大禍津日神おおまがつひのかみ


「むっ、神様ですか」


 おお、これが神様を使役する能力か。


伊豆能売いづのめ


 依姫はそう言い、霊夢が降ろした大禍津日神が撃ち出した穢れの塊を弾幕としたものを、伊豆能売という神で一斉に浄化した。因みに、伊豆能売は巫女の姿をしていた。


「なっ……!」


 霊夢は唖然とした。そりゃ、一斉に浄化されたからな、俺もそうなる。


「ぐっ、陰陽玉ッ」


 霊夢は陰陽玉を依姫に向けて飛ばす。たが、陰陽玉は簡単に斬られてしまう。


「まだよ! 境界『二重弾幕結界』!」


 霊夢は結界を貼り、その周りに弾幕を出現させ依姫に向けて飛ばす。が、弾幕を斬られ、更に結界までも斬られる。


「しまっ——」


 霊夢の発した言葉は、爆発によって遮られてしまった。

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