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東方人獣妖鬼  作者: 狼天狗
第壱章 龍使い
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第48話 ロケット内で修行

 幻想郷を飛び出したロケットは、目的地である月を目指して飛んでいく。現在、大気圏を抜けて宇宙空間に出ようとしていた。


 ロケットの中は、外から見た時の印象とは違って広い。風呂、台所、トイレといったような生活に必要な設備は完備されており、生活しようと思えば可能である空間になっている。そのような設備に加え、用意されていたのは鋼鉄で作られた暴れまわることのできる部屋——修行部屋である。


 月に着くまでの間、幻真と霊夢は修行という名の手合わせをすることにした。






 ふたりは互いに位置に着く。先に位置に着いた幻真は、背を見せて位置に向かう彼女に話した。


「手合わせするにあたってお願いがあるんだが、神様を降ろすのはナシにしてくれないか? さすがに勝ち目がなくなりそうだからよ」


「あら、ずいぶんと弱気ね。でも安心して。紫からはむやみに使わないように言われてるから」


 それを聞いて安心した幻真は、修行を始めるために構えた。


「よし、それじゃあ俺からいくぜ。強くなったのはおまえだけじゃない。光明『雷光撃(シャイニングボルト)』」


 彼はスペルを唱え、光属性と雷属性を組み合わせた弾幕を飛ばす。それらの弾幕は彼女の瞳に映り込むが、彼女はどこか余裕そうな笑みを浮かべていた。そして、息を軽く吸って唱えた。


「『夢想天生』」


 唱えた直後、彼女の体は宙に浮き始める。さらには、彼女に猛威を振るわんとしていた弾幕は、彼女に触れた途端彼女に吸い込まれるようにして消えていった。だが、それは防御手段のためだけにあるのではなく、彼にも弾幕の驚異が襲いかかる。


「チッ、光砲『光砲弾(ライトネスガン)』」


 彼は悪態を吐きながらも、向かってくる驚異を払うために光をまとったレーザーを弾幕もろとも飲み込んで彼女に放った。しかし、結果は向かってくる弾幕を一時的に防いだだけで、レーザーは彼女に触れた瞬間飲まれて無意味と化した。


 今の彼女に攻撃を与えることは不可能。それを彼はわかっていたが、諦める様子は見せず攻撃を続けた。


「槍符『光槍』」


 彼は生成した光の槍を彼女に投げるが、先ほど同様攻撃は通じずに飲み込まれる。どうあがいても攻撃は通じないと認めざるを得なくなってしまった彼だが、彼女は夢想天生を解いて一息吐いた。


「ふう、やっぱり霊力の消費が激しいから疲れるわね。これ以上使ったら霊力が底をつきそうだから、この辺にしとくわ。もちろん、まだ終わらない。霊符『博麗幻影』」


 続いて彼女が行ったのは、お札による幻影の召喚。それは彼女の下半身から生成していき、やがて彼女そっくりの体を作り出した。数はひとつにしてならず、数十体。


 彼女らは幻真に向かって猛威を振るうが、彼も反撃して幻影を蹴散らす。そうして最後の幻影を倒したころには本物の姿はなく、彼は慌てて部屋中を見回す。しかし姿はなく、それと同時に気づいた彼は見上げる。だが、気づいたときには遅かった。


「神霊『夢想封印・瞬』」


 彼女が出した色鮮やかな弾幕は、彼の目の前に迫っていた。なんとか攻撃を躱すため、彼は手の中に弾幕を出し、体を傾けてそれを地面にぶつける。その衝撃による爆発で、彼は難を逃れた。


 爆発で吹き飛ばされた彼は、受身を取って立ち上がる。そして衣服の汚れを払い、彼女に視線を向けて言った。


「まだまだこっから。起眼『黄眼』」


 彼がそう言うと、瞳が黄色に変化する。ただ瞳の色が変わったたげでなく、身体能力の向上と治癒を施す。赤眼の上位版であり、パワーアップ系列の三段階目である。


 感心する霊夢をよそに、彼はある龍を召喚する。


「龍符『光龍』」


 彼が叫ぶと、光をまとった龍——光龍が現れた。彼の統べる五体目の龍である。


「さあ、反撃開始だ。龍符『秦・光龍』」


 彼がスペルを唱えると、光を全身に纏った光龍が標的に向かって飛んでいく。その速度、実に高速。霊夢は攻撃を読みきれず、腹部に頭突きを食らう。彼女は腹部を抑えて座り込み、続行は不可能だと判断した幻真は修行を中断した。


 中断を告げたあと、彼は心配して霊夢に駆け寄る。手を差し出す彼だが、彼女は大丈夫と言って立ち上がる。だが、直後によろけて倒れかけたため、彼は慌てて肩を貸した。


「ムリするな。ほら、到着までまだ時間があるし、少し休もう」


 彼の言葉を聞いた彼女は頷き、肩を借りながら広間へと向かうのであった。

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