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東方人獣妖鬼  作者: 狼天狗
第壱章 龍使い
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第41話 先代と後継者

「そんじゃあ、始めるか」


 すでに得物を持っていた時龍は、そのまま刃先を幻真へと向ける。彼もまた、左腰に備えられた武炎剣と右腰に備えられた火炎刀を鞘から抜いて、スペルを発動した。


「いくぜ、斬符『回炎斬(ターンフレイム)』」


「ふむ、二刀流か……創派『蒼苑斬』」


 時龍がそう言うと、数本の短剣を出現させ、幻真に向かって飛ばした。


「ぐっ……」


 彼は防ぎきれなかった短剣の攻撃を受けるが、かすり傷程度で済んだ。


「なかなかやるな。剣符『暗黒之龍剣』」


 幻真がそう言うと、剣の刃先は白くなり、黒い粒子が周りに飛んでいる姿へと変わった。そして、彼はその件を振るう。


「斬符『暗黒斬(ダークスラッシュ)』」


 時龍は幻真の攻撃を躱すが、衣服の一部を斬られてしまう。


「むっ、視界が……」


 衣服が斬られたことを機に、時龍の視界は暗闇に奪われていく。


「この技は例え斬られたものが衣服であったとしても、必ず視界を奪うことができる。さあ、どうする?」


 幻真に問われた時龍は、返事をすることなく目を閉じる。それを見た火御利はどうしたのかと疑問に思う。一方の幻真は、諦めたのかと勘違いする。やがて、彼は唱えた。


「直感術」


 すると、彼から尋常じゃない集中力が感じ取れるようになる。そう、彼は気力を高めて集中力を上げ、直感——すなわち、感じ取った気で反撃するという手段に出たのである。


「なるほど。なら、開眼『青眼』」


 幻真が唱えると、彼の瞳は青く染まっていく。これもまた集中力を上げ、攻撃力や速さを上げる。


「いつでも来い」


「言われなくても遠慮なく行かせてもらう! 斬符『漆黒斬(ジェットブラック)』!」


 幻真は剣に邪悪なオーラを纏わせ、時龍に目掛けて斬りかかる。しかし、時龍はそれを両手で止めてしまった。


「なっ、受け止めた⁉︎」


 焦った幻真は後方へと飛び下がる。


「ふっ、白刃取り……あいつと何回も練習したな……」


 時龍は懐かしそうにつぶやく。


「剣符『雷鳴之龍剣』……ここからは正々堂々と勝負だ」


 能力が闇から雷へと変わったことにより、時龍の視界が元に戻る。


「そうだな、正々堂々と戦わせてほしいものだ。いくぞ、龍派『脈流剣』」


 時龍は素早く横に剣を振る。幻真は攻撃を避けたのだが、その攻撃は彼に命中。たしかに彼は攻撃を避けた。しかし、腹を切られていた。幻真は腹を抑えて倒れ込む。


「なにが起きたの?」


 狼はそう言って、自分の目を疑った。


「たしかに、幻真は避けたな。だが、あくまでも避けたのは偽物(・・)だ」


「なるほどね」


 火御利は頷く。狼は意味がわからず首を傾げる。倒れ込んだまま理解した幻真は、腹を抑えながらも剣を地面に突き刺し、なんとか立ち上がる。


「まあ、わかったはわかったが……この体じゃどうしようもないしな」


 幻真は腹を抑えていた手を離し、構えて言った。


「いくぜ……怒眼『赤眼』」


 幻真の瞳の色は青から赤へと変わり、同時に腹の傷が回復していく。


「ふむ、攻撃力上昇、素早さ上昇とともに回復……なかなかだな」


 時龍はそう言い剣を構え直す。幻真も剣を構える。彼らがもう一度ぶつかり合おうとしたそのとき——


「ふたりとも危ない!」


 危険を察知した火御利が叫ぶ。彼らがそれに気づいて見上げると、そこには黒魂がいた。直後、黒魂が彼らに目掛けて落下してくる。


「チッ、避けろ!」


 時龍が叫んだのを聞いた幻真は、なんとか襲撃を回避した。


「次は僕が力を見せるよ」


 そう言って、一歩前に出た狼の周りに突風が吹く。そして、火御利が見覚えのある姿へと変わった。


「……風魔神ね」


「は? 風魔神?」


 困惑する幻真をよそに、狼は攻撃をする。


「奴らを斬り裂け、風符『辻斬(ウィングエアー)』」


 彼がそう唱えると、風のカッターが黒魂たちを切り裂いた。切り裂かれた黒魂は、バラバラになって落下した。


「ふぅ、よかった」


 なんとか撃退に成功した狼は、額の汗を拭う。彼が大丈夫だということがわかっていたか火御利はそっぽを向き、一方の幻真と時龍は唖然としていた。その中でも、幻真が一番唖然としていた。


「おまえ、やっぱ風魔神を?」


「ん? そうだよ。わけはまた近いうちに言うよ。それより、この大量の黒魂を倒さないと」


 仲間を呼んだのか、彼らの周りには大量の黒魂が待ち構えていた。幻真と時龍は剣を、火御利はナイフを構え、狼は身を構えた。

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