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東方人獣妖鬼  作者: 狼天狗
第壱章 龍使い
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第30話 狼に宿りし魔神のチカラ

「さてと……狼、準備はいいか?」


「いいよ。魔理沙からどうぞ」


 おっす。おら幻……調子乗り過ぎましたすいません。あ、このネタは外の世界のモノらしい。うん、というわけで幻真だ。


 今から狼と魔理沙の弾幕ごっこが始まる。まあ、弾幕ごっこでは済まないだろうから……弾幕戦闘? とりあえず、ヤバそうだということだ。


「なら、遠慮なくいかせてもらうんだぜ! 恋符『マスタースパーク』!」


 魔理沙はスペルカードを宣言するとともに、右手に持つミニ八卦炉からレーザーを出す。


「これまた派手な技だ」


 狼はそう言い、軽く避ける。さすがにマスパは隙があるからなぁ……


「次は僕だ! 葉符『葉斬(リーフカッター)』!」


 ああ、これも外の世界のなんとか……


「幻真、さっきからなにをブツブツ言ってんのよ」


「外の世界の話」


 霊夢は興味なさげに鼻を鳴らし、お茶を飲んだ。興味ないのに聞くんじゃねーよ。


 戦闘の方に視線を戻すと、狼が出した切れ味抜群の葉っぱが魔理沙の服を掠り、服を切る。マジでヤバそうな技だ。


「狼くんもなかなかやるわね」


 後ろで立って見ていた霊妙さんが呟く。すると、すでに飽きていそうな霊夢が魔理沙に向かって言った。


「魔理沙〜、すぐ終わったらつまんないわよ〜」


「くそぉ、霊夢の野郎……好き勝手言いやがって! 食らえ! 光撃『シュート・ザ・ムーン』!」


 魔理沙は直線的な光を発する弾幕を投げつける。その投げつけた弾幕が着弾すると、天に向かってレーザーを出した。


「魔理沙もなかなかだな」


「そうね。狼はどうなったのかしら?」


 今のはなかなか効いたっぽいけど。


「……『風魔壁(ウィングシールド)』」


「き、効いていないだと⁉︎」


「風魔だからね。風の結界は強いよ。妖符『煌妖弾(ダストショット)』」


 狼はダイヤモンド型の弾幕を魔理沙に向けて飛ばす。でも、なんだか変だな……


「なるほど、風を纏ってるのね」


 霊妙さんの言葉に、俺は目を凝らして見る。


「ほんとだ……」


 一応能力は使ってるんだな。本当に自然の能力か?


「こんなもの避けてやるんだぜ!」


 魔理沙は弾幕を避けた。しかし……


「追ってきている?」


「正確に言えば、風の強い方に行ってるんだ。風の抵抗を感知してね」


 うおっ、考えたな。


「ぐっ……」


 魔理沙は避けきれずに攻撃を受けてしまう。


「魔理沙、まだいけるかい?」


「甘く見られたもんだ……もちろん、まだまだこれからだぜ! 恋風『スターライトタイフーン』!」


 魔理沙も本気を出すようだ。もちろん、狼も黙ってはいない。


「『風魔弾壁(ウィングバラージ)』」


 風魔弾? そうか、弾幕付きなのか。結界で防いだ後に反撃するためなのかな。


「またそれかよ!」


 結界を展開するとともに出現させた弾幕が魔理沙に向かって飛んでいく。


「これで十分だな」


 魔理沙は弾幕に弾幕をぶつけて処理する。


「どうやら次で終わらせるみたいだね」


「ああ……ラストスペルだ! 魔砲『ファイナルスパーク』!」


「受けてたとう。『風魔終縁直(ラストウィング)』」


 それらはぶつかり合い、爆発を起こした。






「——ゴホッ、ゴホッ、ゲホッ……ふぅ、なんとか……勝てたか」


 ボロボロになって立っている魔理沙。しかし、目を疑うできごとが起こっていた。


「なっ、狼⁉︎」


 ボロボロのまま、敗れたと思っていた狼がたっていたのだ。だが、彼の瞳には光がなかった。


「お、おい! 狼! どうした!」


 俺は呼びかける。しかし、狼の応答はない。聞こえていないのか?


「彼から妙な力を感じるわね」


 霊妙さんのその言葉を聞き、俺も気を感じ取る。そして突風が起こったかと思うと、狼は地面に倒れていた。


「狼……?」


「大丈夫、気絶しただけよ」


 まったく……あれはいったいなんだったんだ? なにか大きな気を感じたが、それとも絶大ななにか……?


「みんな、大丈夫?」


「ああ——って、咲夜⁉︎ おまえこそ、もう動いて大丈夫なのか?」


「私は大丈夫よ。それにしても、薬は本当に効いたのね」


 薬? 薬ってなんだ?


「幻兄〜!」


「えぇ⁉︎ フラン⁉︎ ちょちょちょ、ここ日向だぞ⁉︎ 灰になっちまうぞ⁉︎」


 なーんて慌てて言ったけど、それは考えづらいんだよな。ここに来るまでの間フランの身に何事も無く、この状態だったからだ。薬と聞いて最初に浮かぶのが永琳さん。いや、永琳さんしかいないな。俺が眠っていたときにフランまでむりやり飲まされたのか?


「異常無しか?」


「うん? 私は大丈夫だよ?」


 俺のときは副作用とかいうヤツのせいで眠ってしまったからな。まあ、フランの身に問題ないならそれでいいんだが。


「で、なんの用かしら?」


 霊夢が聞く。


「妹様が幻真に用があるみたいで」


「うん! 幻兄——私を鍛えて?」


 鍛えて? なんだフラン? なにかあったのか?


「フラン、なんかあったか?」


「え? べつになんにもないよ? ただ強くなりたいだけなの!」


 なんだなんだ〜? レミリアでも打ち破る気か? まあ、フランのことだしそんなことは企んでなさそうだけどな。


「わかった。俺に任せとけ」


「わーい! それで、なんで狼が倒れてるの?」


 ああ、そっちのことも説明しておかないとな。






「——なるほど、それで爆発音が」


 咲夜は納得したようだ。フランは聞いていたのか怪しいが、美味しそうにお茶を飲んでいた。


「フラン、そんなにこのお茶が気に入ったのかしら?」


 フランはニコニコしながらどんどんお茶を飲む。


「妹様がこんなにもお茶を好かれるとは……」


「あ〜美味しかった! ごちそうさま! 咲夜、幻兄、早く紅魔館に行こ!」


 フランは上機嫌で鳥居を潜り、紅魔館へと飛んでいく。


「あっ、妹様!」


 咲夜はフランを追いかける。俺も追いかけるようにして、ふたりの後を追うのであった。

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