表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方人獣妖鬼  作者: 狼天狗
第壱章 龍使い
29/155

第29話 力試し

 〈幻真〉



 まったく……昨日は酷い目にあった。永琳さんに薬を飲まされて眠ってしまって、起きたらなぜか狼と魔理沙が帰らずに寝てるし……こいつら何する気だ? 霊夢も近くで寝ちゃってるし。


「久しぶりの登場かしら。霊妙よ」


「霊妙さん? どうしたんですか?」


 霊妙さん、いつも阿求さんのところに行ってるらしいけど、さすがになぁ……


「というわけで幻真、私と弾幕ごっこしましょ。あなたがどれだけ強くなったのか、見させてもらうわ」


 おっと、霊妙さんと初めての弾幕ごっこ……だよな? 絶対強いだろうな〜。


「いいですよ。その前に、朝ごはん食べませんか? お腹空いちゃって」


「そう言うと思って作っておいたわ。はやく食べましょ」


 俺と霊妙さんは食堂へ向かった。






 席に着いた俺たちは、挨拶をして食べ始める。


「あなた、最近活躍してるらしいわね。霊夢が楽をし過ぎてないか心配だわ」


「大丈夫ですよ。霊夢もちゃんと戦ってくれてますから」


 そのことを聞いた霊妙さんは安心した表情を浮かべた。その後、適当な雑談をしながら食事を堪能した。






 食事を済ませた俺たちは、食器を台所へと運んで洗い始める。


「霊妙さん、手加減無用ですからね」


「あら、すごい自信ね」


 勝てる確証はないが、本気で戦ってもらいたいと思ってな。俺だって異変解決に貢献してきたんだ。簡単には負けない


「俺も手加減なしで戦いますからね?」


「ふふ、もちろんよ」


 俺は早く戦いたいがため、手を早く動かす。そのせいで手を滑らせて危うく皿を落としかけたなんて、恥ずかしくて言えやしない。






「——片付け終わったわね。さあ、外に行きましょ」


 濡れた手を拭き、霊妙さんと外に出る。


「位置に着いた? それじゃあ、あなたからきなさい」


「いいんですか? それでは、遠慮なく……炎符『炎之勾玉(フレイムジュエル)』」


 いきなりだが、スペルカードを使う。


「甘いわよ!」


 彼女は飛んでくる弾幕を素早く避けながら俺に接近してくる。


「ぐっ……」


 距離を詰められた俺は、彼女の蹴りを受けてしまう。


「霊妙さんは格闘技ですか」


「そうね、どちらかと言うと格闘派。昔はこれで妖怪を退治していたわ」


 食らったらマズイな。俺は距離を空けて、別のスペルカードを発動する。


「炎符『炎円弾(サークルバラージ)』」


 これは隙があるからな〜。霊妙さんなら素早く避けてしまうだろう。


「こんなものかしら?」


 やっぱりお見通しだったか。だったら、そろそろ本気でも出すか。


「龍符『炎龍』!」


「今から本気かしら? いいわ、かかってきなさい! 夢符『封魔陣』!」


 ははっ、こんなもん……


「龍符『龍神炎一魔災狂獣(ビーストドラゴン)』」


 なんだかややこしい名前のスペルだなって? いやいや、カッコいいだろ?


 どんなスペルなのか説明すると、龍神が出てくるってわけじゃないけど炎龍は炎龍で……魔力が増加された炎龍だ。わかりにくい? 悪い、俺もわかってない。


「これはマズそうね。境界『四重結界』」


 四重……二重結界よりもさらに二重の結界を重ねた結界か。俺の放った龍は難無くと防がれる。


「どんだけ硬いんすか」


 これはキツイなぁ。でも、相手の霊力も消耗してきてるはずだ。すべて消耗させるのもアリかもしれないけど、俺がもちこたえられるかどうか……


「いくわよ! 神技『八方鬼縛陣』!」


 うおっ、神技だとぉ⁉︎ いかにもヤバそう……


「見真似だが……『二重結界』」


 霊力を出せる限り出し切って、二重結界を展開。俺は必死の思いで霊妙さんの攻撃を防ぐ。


「二重結界を使えるとは……やるじゃない」


 見真似なんだけどな……さてと、次は俺の番だ。


「霊妙さん、いきますよ。龍符『三方炎龍』」


 スペルを唱え、三方向に炎龍を放つ。


「そのスペルね。神霊『夢想封印・瞬』」


 あれはたしか、霊夢も使ってたスペルだっけ。炎龍、いけるか?


 俺は心の中で炎龍に問う。まあ、炎龍は喋らないんだけどな、心で通じ合う仲間ってな。


 だが、不思議なことに返事が聞こえてきたような気がした。耳を疑った俺だったが、ひとまず勝負に集中することにした。


 炎龍は弾幕を腕で薙ぎ払い、霊妙さんの方に向かう。でも、なんか変だな。反撃してこない気が……


「神技『天覇風神脚』」


 様子を伺っていると、彼女は突然連続で昇天脚を繰り出してきた。


「しまっ——」


 爆発音と共に爆風が起こった。






「——ぐっ、ゴホッゴホッ……」


 危ねぇ、死んだかと思った……


「思ったよりやるようになったわね。もしかしたら、霊夢に勝てるんじゃないかしら?」


 やっぱり霊妙さんには敵わないか。霊夢に勝てるかも怪しくなってきたかも……


「なんだなんだ? すごい爆発音がしたけど」


 魔理沙か。さっきの爆発で起こしちゃったか。


「ビックリして起きちゃったじゃないの。どうやら、お母さんと幻真が犯人みたいだけど」


「さすが霊妙さん。幻真じゃ相手にならなかったみたいだね」


 むっ、言ってくれるな狼。


「さて狼、弾幕ごっこするぞ!」


「うん、やろうか」


 魔理沙と狼が意気揚々と外に出てくる。


「霊夢、ここ借りるんだぜ」


「いいけど、あんまり境内を荒らさないでよ〜」


 霊夢はそう言い残して中に戻った。


「さてと、俺はお茶でも飲みながらふたりの弾幕ごっこでも見ようかな。霊夢〜お茶くれ〜い」


 戻ろうとしていた霊夢を呼び止めて注文する。


「なによその頼み方。まあいいわ、私もその気分だったし。魔理沙、呆気なく終わったらぶっ飛ばすわよ」


「れ、霊夢ぅ……暴力はダメだぜ……」


 魔理沙は霊夢に脅され、肩を竦める。


「まあまあ。僕もヘナチョコみたいに弱くないから心配しないで」


 おいおい、自分で言うのかよ。まあ、狼は弱くないけどな。


「弱かったら困る。とりあえず、位置に着こうか」


 魔理沙がそう言ったあと、ふたりは位置に着いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ