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東方人獣妖鬼  作者: 狼天狗
第壱章 龍使い
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第28話 狼の初宴会

 〈狼〉



「ふあ〜、もう朝か……」


 目を覚ました僕は、眠気が覚めずに目を擦る。


「今夜宴会があるんだっけ。とりあえず、顔を洗ってからごはん作ろ」


 僕は洗面所で洗顔をした後、台所へと向かう。


「さて、今日はあれを作ろうかな」


 僕は食材を用意し、調理を始めた。






 料理を終えた僕は食事を机に並べ、挨拶をして食べ始める。


「うん、味は大丈夫かな」


 さて、夜までなにをしよう。とりあえず軽く修行をして、人里でみたらし団子を食べて、ついでにお酒とかも買って行こうかな。


 今日の日程を考えていたら、食べ終わってしまった。


「ごちそうさまでした……っと。さて、後片付けをしよう」


 僕は食器を台所へと持っていく。そして、鼻歌混じりに洗い始めた。






「——終わった終わった。さてと、修行修行」


「おはようございます、狼さん」


「ん、君は白狼天狗の……」


 彼女の名は犬走いぬばしりもみじ、種族は白狼天狗。


 彼女の髪は白くて短く、頭には山伏風の帽子、頭襟を乗せている。手には紅葉が描かれた盾を持っていて、腰には剣を備えていた。


 上半身は白色の明るい服装、下半身は裾に赤白の飾りのついた黒い袴のようなスカートを履いていて、足元は裸足である。


「僕に何か用かな?」


「大天狗様が呼んでいます」


 大天狗様が? 僕なんか悪いことしたっけ?


 不安になる僕だったが、無視するわけにもいかないので行くことにした。






 山を登り、大天狗様のいる場所へ着いた。


「大天狗様、僕に何か用でしょうか?」


「勝手に異変とやらの解決に動きよって。タダでさえ人里に勝手に行くもんじゃから……」


「大丈夫ですよ。変な真似はしませんので」


「そうか……あまり調子に乗らないように」


 僕は敬礼して、その場を立ち去る。そして、人里へと向かうのだった。






 ちなみに、僕は風を操ることによって空を飛べる。主に持っているのは妖力だけど、霊力も少し持っている。


「ふぅ、着いた着いた〜。ん? あのふたりはだれだろう」


 前方には、楽しそうに会話をしながらこちらに歩いてくる二人の少女の姿があった


「お、もしかして君が幻真の言っていた狼か」


「ふむ、想像していた通りだったな」


 え? 幻真の言っていた?


「私は藤原妹紅だ。一応、寺小屋で先生をしている」


「私は上白沢慧音。妹紅と同じ寺小屋で先生をしている」


 へえ、寺小屋の先生か〜。


「君は宴会に行くのか?」


「ま、まあ……」


「そうか。私たちも行くから、またそのとき会おうじゃないか。生憎、今は忙しくてね」


「はい、それでは博麗神社で」


 僕は妹紅さんと慧音さんの二人と別れる。別れた直後に、妹紅さんが宴会の場所が博麗神社だったことを慧音さんに確認している声が聞こえた。場所を知らなかったとは……危なかった。


「さてさて、みたらし団子〜」


 僕は和菓子屋へと入る。


「おじさん、今日もみたらし団子よろしく!」


「あいよっ!」


 修行はみたらし団子を食べてからでいいよね。






「——ふぅ、着いた」


 特に何事もなく家に帰ってきた。


「さてと、僕も新しいスペルカードを思いついたんだよね。えっと、なんだったか……」


 自然を操れることもあって、風系のスペルカードが多いんだよね。それで、思いついたってのがこれ。


「氷符『氷塊』」


 固形型の氷を飛ばすといったもの。え? 自然を操るとはしっくりこない? 気温を操る? なに勝手に僕の能力変えちゃってるんですか。え? チルノ? 誰ですか? 妖精? 似た感じになりますか? そうですか、もっかい頭捻ってきます。






「——もういいや、風系で」


 え? 風系はフラワーマスターが? フラワーマスターって? あの、たぶん彼女まだ出てないです。作者、僕の能力ちょっと使い辛いです……メタい? すみません。


 そうこう思ってるうちに夕方になっていた。


「もうこんな時間か。仕方ない、修行は明日にでもしよっと。それじゃあ、博麗神社に行こっと」


 僕は博麗神社に向かって飛んでいった。






「——よし、着いた」


 着いた時には、すでに辺りは暗かった。人は……人じゃない人もいるけど……えっと、どういうことだろ。まあいいや。


「お、狼じゃないか。奇遇だな」


 後ろから聞き覚えのある声。そう、寺小屋の先生の妹紅さんと慧音さんだ。


「どうも、妹紅さん、慧音さん」


「さん付けは辞めてくれ。それと、普通に話してくれて構わない」


 僕は承知した。


「げ、幻真さん?」


「幻真?」


 彼の名前を呼んで心配する人の方を見る。幻真がいることは変ではないのだが、なぜか床で寝ていた。


「あの……師匠?」


「副作用だから大丈夫よ。明日にでも目を覚ますわ」


「明日って……宴会終わるじゃないですか⁉︎ 誘ってくれた方が宴会に参加できないなんて、なんだか変な話……」


 そこには見覚えのある人物の姿が。うさ耳の人は、たしか鈴仙だっけ。それで、その隣の人は——


「あなたも実験台になる?」


 その人のことを思い出していると、気づけば彼女は僕の目の前にいた。


「彼に飲ましたものは酒に強くなる薬よ。眠っているのは副作用の効果でね」


 僕はもう一度幻真に目をやる。妖精や妖怪たちが心配して見下ろしている。彼を叩いてる妖精もいたが。


「おーい、幻真〜。起きて〜」


「幻真さん、どうしたんでしょう……」


「大丈夫よ、薬の副作用で眠ってるだけだから」


 そこにいた妖精たちは薬と聞いたせいか、震えてその場を離れていった。


「あなたも昨夜いたのよね? 私は八意永琳、医者よ。ウドンゲのことはもう知ってるわね?」


「あ、はい。僕は狼です」


 永琳さんは手を伸ばし、握手を誘ってくる。僕は彼女の手を取り、挨拶をしながら握手をした。


「よろしくお願いします」


「ちょっと幻真〜? 幻真〜! なんで寝てるのよ」


 幻真を呼ぶ巫女服を着た少女、霊夢。


「彼なら副作用で眠ってるわ」


「は? 副作用? まさか、変な薬を飲ませたの⁉︎」


「変な薬じゃないわ。酒に強くなる薬よ」


 酒に強くなる薬……幻真、そんなに酒飲みたかったのかな。


「誤解しちゃダメよ? 彼は無理やり飲まされたんだから」


 耳元で鈴仙が囁く。僕は身震いしてしまった。


「おーい、狼! ちょっと来てくれー!」


 あの白黒の魔法使いは……魔理沙だっけ。会ったことない気がするけど。あ、でも昨日見たんだっけ。


「えっと、魔理沙さん、なんですか?」


「呼び捨てで構わないぜ。そんなことより、私と弾幕ごっこしないか?」


 え? 弾幕ごっこ?


「幻真だと強すぎて相手にならなくてな。それで、おまえとやりたいと思ってよ」


 幻真ってそんなに強いんだ。というか、僕は彼女に嘗められてるのかな? まあ、自分で自分が強いって言えないんけど。


「わかった、明日でいいかな?」


「いいぜ!」


 彼女は喜んだ。


「あなたが狼?」


「ん? そうだけど」


 そこには珍しい羽を持つ金髪の少女と、中国風の服を着た少女がいた。


「私はフランドール・スカーレット。フランって呼んで。こっちは美鈴。聞きたいんだけど、幻兄はなんで眠ってるの?」


 スカーレットという言葉に耳がピクっと反応したが、とりあえず彼女の質問に答えた。


「薬の副作用とかなんとかで……」


 それを聞いた彼女は、少し残念そうな顔をした。


「あら? あなたもしかして吸血鬼?」


 あっ、永琳さん……


「……だれ?」


「そんな怖い顔しないの。私は八意永琳、医者よ」


 フランはそんなに興味を持たず話を聞く。


「あなた、外で自由に遊びたい?」


「なにを言って……」


 永琳さんは二つの薬を手渡す。


「あなた、お姉さんがいるでしょ? だから二人分。これを服用して一日経ったら効果が出るわ。まあ、服用するかしないかはあなたたち次第よ。信用するかしないかもだけど」


 永琳さんはそう言い残し、鈴仙のところに戻る。その始終を見ていた鈴仙は呆れた顔をしていた。


「……妹様?」


「帰ってお姉様に聞く! 美鈴はお酒飲まないの?」


「妹様はお酒を飲めませんし、私だけ頂くのも……」


「いいよ、美鈴もゆっくりしていって!」


 美鈴さんは感激して言った。


「ありがとうございます!」


 そして、彼女は酒瓶を取った。


 僕もお酒飲もうかな。でも、明日は魔理沙と弾幕ごっこするし、二日酔いになったら話にならないよね。ほどほどに飲むとしよう。

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