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東方人獣妖鬼  作者: 狼天狗
第壱章 龍使い
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第27話 異変解決の宴

「んあ……朝か……」


 目が覚め、布団から起きる。いつも通り、隣には霊夢が眠っていた。


「そういや昨日、帰る前に輝夜さんから話を聞いたんだよな〜」






 ——時は遡り昨晩。


「蓬莱の薬?」


 俺は輝夜さんが地上に追放された理由について聞いていると、蓬莱の薬を耳にした。


「ええ。あまり話したくないんだけど、あなたなら話してもいい気がしてね。その薬を飲むと、不老不死になるのよ」


 不老不死……


「興味本位で使った結果がこれよ」


 なるほど……いや見た目でわかるか!






 ——とまあ、時は現在に戻るわけだが。


「今日は宴会があるだろうし、おつかいにでも行ってくるか」


 俺は買い物カゴを片手に、人里へ向かった。






「よいしょっと……」


 人里に着いたが、まずは腹ごしらえからだ。俺はその辺の和食店に入った。


「なにを食おうかな。昨日メシ食ってなかったから余計に腹減ってるし……大盛りにしてもらおう。おじさん、和食定食、白飯大盛りで!」


「あいよ!」






「——ごちそうさまでしたっと。さて、食材と酒でも買いに行くか」


 俺は買い物カゴを取り、外に出る。


「先に買いに行くのは酒だな」






「——よし、酒と食材を買えたな。そういや、永琳さんが昨日渡したいものがあるって言ってたな。よし、永遠亭に行こう」


 俺は迷いの竹林の方へと向かった。






「永琳さーん、永琳さーん」


「ん? あなたはもしかして、師匠が言っていた……」


「ん? ああ、君は鈴仙だっけ?」


 兎耳で女子高生のツーピースのような制服の少女、鈴仙で合ってるな。


「中へ案内するわ。ついてきて」


 俺は彼女についていった。






 数分歩いて、永琳さんがいるであろう部屋の前に着く。


「師匠、幻真さんが来ました」


「ウドンゲ、ご苦労様。はい、幻真」


 俺は何かの薬のようなものを彼女から受け取った。


「なんですかこれ?」


「魔力を体の奥底から引き出す薬よ。ちゃんと使わないと、恐ろしいことになるわよ」


 永琳さんは笑顔で言う。


「なんてもの渡すんですか! いったいいつ使えと……」


「自分次第ね。用件は以上よ」


「はい……あ、永琳さん、今夜博麗神社で宴会をするんですけど、よかったら永遠亭の皆さんで来てくださいよ」


「私たちが? ふふっ、お誘いありがとう。輝夜も連れて行くわ。ウドンゲ、あなたもよ?」


「え? あ、はい……」


 用事を終えた俺は、永遠亭を後にした。






「——さてと、永遠亭のみんなも誘って、帰るときに出会ったリグルとミスティアも誘ったけど、ほかに誘う人いるかな?」


「んん、君は……」


 俺の眼の前に現れた少女は、白髪のロングヘアーに深紅の瞳を持っていた。


 髪には白地に赤の入った大きなリボンが一つと、毛先に小さなリボンを複数つけていて、上は白のカッターシャツで、下は赤いもんぺのようなズボンをサスペンダーで吊っており、またその各所には護符が貼られていて、指貫袴の形状と似ているもんぺのようなズボンを履いていた。


 俺が名乗ると、彼女は自己紹介をした。


「私は藤原ふじわらの妹紅もこう。一応、寺小屋で先生をしている者だ」


 寺小屋の先生か。確か霊夢も寺小屋の先生に会ってたよな……誰だっけ。


「もこお〜。ん、この人は?」


 妹紅さんの名を呼びながら、こちらに寄ってくる少女。俺が名乗ると、彼女もまた自己紹介を始めた。


「私は上白沢慧音。彼女とともに寺小屋で先生をしている」


 それを聞いた俺は、霊夢が言っていた人物がこの人であることを思い出した。


「おふたりとも、よろしくおねがいします」


「そんな話し方しなくていいぞ。気軽に話してくれ」


「ああ、私も同感だ」


 俺は言葉を崩して話す事にした。


「じゃあ、俺も幻真で。そうだ、二人も今夜の宴会に来たらどうだい? きっと盛り上がると思うんだ」


「宴会か。夜は時間が空いてるから大丈夫だな」


「私も行かせてもらおう。おっと、そろそろ寺子屋に戻る時間だ。それじゃあ」


 俺は妹紅と慧音の二人と別れた。


「さてと、とりあえず荷物を置きに行ってっと。あ、そうだ。咲夜の様態は大丈夫かな? 荷物を置きに行ってから紅魔館に行くか」


 俺は博麗神社に向かった。






「——あ、幻真おかえりなさい」


「すまん、今から紅魔館に行ってくる!」


「帰ってきて早々なによそれ。まあいいわ、行ってらっしゃい」


 霊夢に憎まれ口で言われながらも、俺は紅魔館へ向かった。






「——よいしょっと、やあ美鈴……ってありゃ?」


 美鈴、寝ちゃってるよ。咲夜が今休んでるからって……起こしてやるか。


「おーい、美鈴ー!」


「あいや⁉︎ あぁ……幻真さんでしたか……」


 彼女は安堵の溜息をして言った。そんな彼女だったが、すぐに頭を切り替えて俺の目的が咲夜の見舞いに来たことを見抜く。どんな反応をするべきかわからなかった俺は、彼女にされるがままに中へと入った。






 扉を開けると、真っ先にフランが飛びついて来た。


「幻兄〜!」


「やあフラン。咲夜はどこかな?」


「咲夜? 咲夜なら部屋で休んでるよ。あ、幻兄お見舞いに来たんだね。私が案内してあげる。ついてきて!」


 俺は彼女に案内してもらった。






「——失礼するぞ」


 俺は起きてるかわからない咲夜に聞こえるように扉の前で言葉をかけてから、部屋の中に入る。


「咲夜ったらね、私たちのことが心配で仕事のことばっかり考えてるの。大丈夫って言ってるのにやろうとするから困っちゃって」


 フランが笑いながら言う。咲夜は頰を赤らめて俯いた。


「それで、今の様態は?」


「一応大丈夫なんだけど、安静にって、昨日の医者から言われたわ」


 永琳さんか。むりは禁物だしな。


「そっか。まあでも、咲夜が大丈夫なことはわかったし、そろそろ帰ろうかな。それじゃあ咲夜、お大事にね」


「わざわざありがとう」


 俺はフランといっしょにに部屋を出た。


「そういや、レミリアはどうしてるんだ?」


「お姉様なら、お部屋にいるはずだよ?」


 今回は顔を合わせなくても大丈夫かな。


「どうしたの幻兄?」


「いや、なんでもないよ。そんじゃ、俺はこの辺で帰るよ。じゃあな、フラン」


「うん!」


 俺は出口へと向かった。






 外へ出ると、立ったまま動かない門番、美鈴が門前にいた。また寝てるのか。


「めいり〜ん、めいり〜ん」


「あいや⁉︎ あ、幻真さんお帰りですか? 気をつけて帰ってくださいね!」


「おう、じゃあな」


 俺は彼女に別れを告げ、博麗神社へ帰るのであった。






「ただいま〜。ありゃ、もう夕方か」


 博麗神社に着いた時には、すでに夕方だった。


「そろそろ人が来るころか」


 俺は中に入って人を待つ。


「やあやあ、幻真」


「どうも、萃香さん」


 相変わらず陽気な彼女。


「よう! 幻真!」


 げっ、勇儀さんだ……


「お、俺! 霊夢の手伝いしてくるんで!」


「なんだなんだ? まあいいか。萃香、今夜もたくさん飲むぞ!」


「あいよっ!」


 ふぅ……またあのときみたいになりたくないからな。もはや勇儀さんは俺の天敵だ。宴会のね……


「幻兄〜」


 この声は……って、なぜ彼女がここに?


「どうも幻真さん」


 上機嫌なフランと照れくさそうにする美鈴がこちらに寄ってきた。


「お姉様にね、咲夜と私の代わりに行ってきなさいって言われたの。それと、咲夜の看病は任しなさいって」


「私は妹様のお供です。門番はパチュリー様の魔法でなんとか!」


 レミリア……従者思いのいい主人だな。


「けっこうたくさんいるわね」


「酔った人たちによく眠れる薬を投与しといてあげましょうか」


「いいね! 私も手伝うよ!」


「師匠、変なことをしてはダメですよ? てゐも悪乗りしないの」


 輝夜さんに永琳さん、それに鈴仙とてゐが来たようだ。てゐという兎耳の少女については、さっき会った狼に教えてもらった。


「永琳さん、変なことはしないでくださいね?」


「あら、それじゃああなたで我慢してあげるわ」


「なんでそうなるんですか」


 中はみんなの明るい声で活気に満ちていた。


「さあ、あんたたちも飲みな!」


「ずいぶんと陽気な鬼ね。試しがいがありそう……」


「し〜しょ〜?」


「はいはい、わかってるわよ。そんな怖い顔しないの」


 永琳さんは呆れたかのような表情で机の前に座った。輝夜さんと鈴仙も机の前に座る。てゐはどこかに行ってしまった。


「そうそう、あなた、これを飲んでみてちょうだい」


「なんですかこれ? 俺で実験するんですか?」


 彼女は笑って答える。


「そうじゃないわ。ただ酒に強くなるだけよ」


 酒か。要するに、勇儀さんに強くなると。


「永琳さん、信じますからね?」


 俺はその薬を飲む。すると、尋常じゃないほどの眠気に襲われる。


「そうそう、副作用に眠くなるのよ」


 それを早く言って欲しかったものだ。俺はそのまま薬の副作用によって、眠りにつくのであった。

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