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東方人獣妖鬼  作者: 狼天狗
第肆章 新たなチカラ
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第140話 霧の湖のかくれんぼ

 〈幻真)



「うーん、ここは一体……」


 俺は布団の上で目を覚ます。ここは何処かと目を擦りながら見渡していると、襖が開いて一人の少女が入ってくる。


「あ、幻真さん、目が覚めましたか。全く……大変だったんですからね」


 うん? 大変だった? 一体何の話をしているのかと、首を傾げながら彼女に問い掛ける。問われた彼女は呆れた様子を見せながらも、その意味を教えてくれた。


「幻真さんが帰って来たと思ったら、突然気を失って玄関で倒れてしまったんですよ。布団まで運ぶの、苦労したんですからね」


 頬を膨らませて不貞腐れる彼女、妖夢。恐らく、戦いの疲労と魔界の瘴気が原因だろう。まあだが、妖夢に迷惑をかけてしまったことには間違いない。俺は反省の意から彼女に頭を下げる。


 その様子を見た妖夢は何やら良からぬ考えをしてそうな笑いをし、俺の事を指差しながら罰を与えた。


「罰として、今日一日寝るまで私と一緒にいること!」


 その罰と呼んでいいのか分からない内容に、俺は思わず目を点にした。妖夢は恥ずかしそうに顔を赤らめていたが、俺は彼女の要求を飲んだ。


「それなら全然構わない。寧ろ俺からもお願いしたい所だ。異変のせいで妖夢と離れ離れになった分、一緒にいたいしな」


 その言葉を聞いた妖夢は、嬉しそうにして俺に飛びついて来た。あまりにも大胆な行動と勢いのあまり、俺は後ろに倒れてしまう。


 妖夢に馬乗りされ、お互いの顔は目線の先にある。何を思ったのか、彼女は顔を近づけて来る。というかこの光景、以前にどこかで……


「妖夢〜? 幻真は目が覚めたかしら〜?」


『ちょちょちょ!』


 突然現れた幽々子さんに驚いて、妖夢は俺から飛び退き、俺はそのまま後ろの方へと後退りする。幽々子さんは不思議そうに俺たちの様子を見ていた。


「ゆ、幽々子様、いらっしゃってたのなら声ぐらい掛けてくださいよ」


「あら、ごめんなさいね〜。それよりも、早くご飯にしましょ。お腹空いちゃったわ〜」


 幽々子さんはそう言って部屋を出ていく。暫く硬直していた俺たちだったが、俺はある事を思い出して妖夢に聞いた。


「妖夢、今何時だ?」


「え? 今ですか? そうですね……今は大体お昼頃ですね」


 俺が帰って来たのは確か明け方頃。どうやら、眠っていたのは数時間程だったらしいな。霊夢達は無事戻って来れたのだろうか。たぶん今夜は宴会があるだろうし、その準備もしないとな。


「今回もいつもと同じかな?」


 俺が自然な流れで妖夢に問い掛けると、彼女は首を傾げて何の話をしているのかと問い返して来る。俺が宴会に決まっているだろうと答えた直後、彼女はどこか気不味そうな様子を見せた。


「あの、幻真さん、実はですね……」


 俺は衝撃の事実を告げられた。なんと宴会があったのは昨晩で、今はその翌日の昼との事。つまり、俺は昨日の朝方から今日の昼まで一日以上眠っていたのである。


「今回の宴会の参加者は、いつもよりは少なかったみたいですよ。私と幽々子様も、今回は遠慮させてもらいました」


「悪い、俺のせいだよな」


 ポツリと呟くと、妖夢は慌てた様子で首を振る。優しいな、妖夢は。


「さて、幽々子さんも待ってるだろうし、ご飯にしよう。その後でなんだが、少し永遠亭に用があってさ。付き合ってくれるか?」


 聞かれた妖夢は笑顔で頷く。俺は彼女に近付いて頭を撫でてやり、一緒に食堂へと向かった。




 食事の最中、妖夢が俺に質問をしてくる。


「幻真さん、永遠亭に用があるって言ってましたけど、何の用事で?」


 俺は良くぞ聞いてくれましたと言わんばかりに、自身気に説明を始めた。


「ふっふっふ、実はある人のお見舞いに行こうと思ってな」


「まままま、まさか浮気ですか⁉︎ 幻真さん、私がいないところでそんな事を……」


「待て待て待て、違う違う。ニックのお見舞いだよ。俺が浮気なんてする訳ないだろ?」


 何故か突然あり得る事のない話をし始めた妖夢を宥め、永遠亭に行く用がニックのお見舞いである事を告げる。その話を聞いていた幽々子さんは、悪い笑顔を見せて俺に言った。


「いくら貴方でも、妖夢を悲しませたりしたらタダじゃ済まないわよ?」


 幽々子さんの迫力に圧され、俺は縮こまりながら返事をした。妖夢は幽々子さんにやり過ぎだと注意する。と言っても、俺自身も妖夢を悲しい思いにさせる気はさらさら無い。


 そんなこんなで、俺達は昼飯を堪能した。




 昼食後の後片付けを終えた俺と妖夢は身支度を終え、玄関で幽々子さんに見送られて白玉楼を後にする。外の世界へ続く下りの階段の上を飛んで、まずは幻想郷へと向かう。


 直接永遠亭に向かった方が用が早く終わっていいのだが、先に人里の甘味処で和菓子を食べてから行こうという話になったので、降りる地点は人里だ。


 天気は晴れ。散歩日和と言ったところか。こんな日には、日向ぼっこでもして呑気に時を過ごしたいものである。だが、今日はお預け。それよりも大切な事があるのだから。




 妖夢と並んで人里へと飛行している途中、霧に包まれた湖、霧の湖上空で辺りを見渡して何かを探している大ちゃんの姿を見つける。俺が声を掛けると、彼女はこちらに気付いて手を振る。


「幻真さん、それに妖夢さん、こんにちは。お二人揃ってお出かけですか?」


「ああ、人里に行ってから永遠亭に御見舞いに行く途中でな。大ちゃんは何か探し物か? 周りを見渡してたみたいだけど」


 俺の問いかけに対して、彼女は思い出したかのようにして説明する。


「今、チルノちゃん達とかくれんぼをしてまして。みんな隠れるのが上手で中々見つからなくって。それで上から見て探そうと思ったんです」


 なるほど、かくれんぼか。隠れる方も見つける方も頭を使う遊びだな。少しばかり子ども心を擽られる。よし、ちょっとやってみるか。


 俺が意気揚々と準備運動を始めたのを見た大ちゃんは、不思議そうな表情を浮かべながら首を傾げていた。彼女の様子を見た妖夢が、俺にも聞こえる程の声で説明した。


「どうやら幻真さんも遊びたくなったみたいですよ。鬼の出番を取っちゃいますが、大丈夫ですか?」


「え、ええ、構いませんが……」


「大ちゃん、隠れてる奴らは誰だ?」


 準備運動を終えた俺は彼女に隠れてるメンバーの情報を聞く。突然聞かれた彼女は慌てた様子で答える。


「えっと、チルノちゃんとルーミアちゃん、それとリグルとみすちーの四人で——」


 彼女が言い終える前に俺は出発する。目標は四人の発見。隠れているのは霧の湖周辺だろうが、霧のせいで視界が悪い。細かく探せば見つかりそうだが……


「探るのは気と違和感。森の一箇所から、周りと違う違和感を感じるな」


 そこだけ目を凝らして見てみると、暗さが周りと違い、明らかに違和感を感じた。俺はその暗闇に歩いて行き、その中にいる人物の名前を呼んでタッチする。


「ルーミア発見。能力を駆使した隠れ方、中々だったぞ」


「わっ、幻真だ。大ちゃんと変わったのかー?」


「悪いな、ついやりたくなってよ。大人気ないのは許してくれ。さて、次は……」


 自分の知る者だからこそ分かる、その人物の特徴。まあだが、特に能力を駆使せずに隠れようと思った場合は——


「ミスティア辺りは木の上に隠れてるかな?」


「えーっ! なんでバレたのぉ!」


 案の定、彼女は木の上に身を潜ませていた。見つかった彼女は悔しそうな表情を浮かべつつ怒っていた。


「後は二人か。同じような隠れ方はしないだろうし、隠れるとしたら……」


 俺は森を抜け、湖近くの低い草が生えている所へとやって来る。ここなら、小さい体の奴なら丸まって隠れる事は可能だ。


「虫の力を借りて隠れるっていうのは、少し思い付きにくい案だしな。となると、草の中に溶け込んでいるか」


 上から見下ろしたら分かるかと思ったが、ここの草は結構生い茂ってる。縮こまっていたら見つけるのは難しいだろう。ここは気配を察知して見つけるとしようか。


「おや、何か動いたな」


 気配を探ろうとしたその時、背後の草が揺れたのを感じ取る。俺はそこへと向かい、見えた姿の人物の名を呼ぶ。


「リグル、見つけた」


「あちゃー、バレちゃったか〜。見つからない自信があったんだけどな〜」


 順調に三人を見つけ、残るは後一人。問題のチルノだ。正直、何処に隠れているか見当が付かない。能力を使っているとも考えにくいし、普通に隠れているのか?


 俺はふと、霧の中で湖の先に立つ一軒の建物に目がいく。それは、ちょうど紅魔館と真反対にある洋館だった。


 あの建物、実は以前に悪魔レヴィアタンとここで戦った時に見つけていた。気になってはいたが、どうも行く機会が無く保留していたが……


「いい機会だ。それに、チルノもあそこに隠れているだろうしな」


 ルールを詳しく聞いていないから反則かは分からないが、まあ探しに行くだけ行ってみよう。




 目的地の洋館へと到着。手入れが施されているようには見えず、植物が建物の壁へと伸びていた。だが、中々に立派な建物といったところか。


 扉の前へと立ち、念の為ノックする。もしかしたら返事が返ってくるかもしれないと数秒待ったが、特に何も起こらなかった。


 仕方なく挨拶だけはしてから中へと入り、探索を開始する。中々広そうで、探すのに骨が折れそうだ。


「さて、まずはここから——」


 扉を開けようとしたその時、どこからか楽器を鳴らす音が聞こえてくる。耳を澄まして聞いてみると、その楽器の音はバイオリンのものであった。


「なんだか落ち着く音色だな」


 そんな感想を漏らしたが、音が止んでしまったので扉の先へと進んだ。


 そこはどうやら書斎のようで、たくさんの本が棚に敷き詰められていた。誰か住んでいる、というより、誰か住んでいたのか?


 窓の前には机と椅子が置かれている。机の上には羽ペンと紙があった。恐らく、作業部屋としてこの部屋を使っていたのだろう。


 そんな考察をしつつ、隠れられそうな場所を調べて行く。だが、チルノの姿は無かった。


「仕方ない、他の部屋も探すか」


 入ってきた扉から先程のエントランスへと戻る。然程広くないから、見つけるのも時間の問題だろう。そう思いつつ、次の扉へと手を掛ける。扉を開けようとしたその時、又もや何処からか楽器の音が聞こえてくる。


 聞こえてきた楽器の音は、トランペットのものだった。何処か高揚感が溢れてくる、そんな音色であった。


 それにしても、この音は一体どこから聞こえてきているんだ? 聞こえてきた楽器の音はバイオリンにトランペット……もし後一つ聞こえてくるとしたら……


 そんな考察をしつつ、入ろうとしていた部屋へと入って行く。その部屋はどうやら、食堂のようだ。


「長いテーブル……流石、館ってだけあるな」


 この建物については、何も知っている事がない。そもそも、ここに人が住んでいるのかも怪しい。怖いのは苦手では無いが、あまり長居はしたくない。チルノを見つけてさっさと出よう。


 そんなこんな思いながらも隠れられそうなところを一通り探すが、チルノの姿は無し。全く、手間をかけさせられる。


 食堂を出て再びエントランスへと戻って来る。一階にはいないと踏んだ俺は、そのまま二階へと探索を進める。


 階段を登って最初の部屋へと足を踏み入れる。そこはどうやら寝室のようで、大きなベッドが目に入った。


 そのベッドの近くにあった棚の上に立て掛けられた写真へと、俺の目が行く。


「これは……」


 その写真には、一人の男性と四人の少女が写っていた。これは、家族写真だろうか。見た感じ、この男性は四人の少女の父親といったところだろう。恐らくは、この館の主人。


 そしてこの四人の少女だが、彼女らは恐らく四姉妹。そのうちの三人には、何処か既視感を覚えた。なんだか見覚えがあるんだよな。


 そして後一人、緑髪にカチューシャを付けた少女。彼女は他三人に比べて、ひと回り背が小さい。たぶん、四姉妹の一番下、末っ子だろう。見た目で判断は出来ないが、流石に歳の差はありそうだ。


 突然、クローゼットからガタンという物音がする。いきなり音がしたことに驚いて一瞬身構えるが、こんな所に誰か隠れているとしたら……


「ここにいたか、チルノ」


 そこには、頭を抱えて縮こまっているチルノの姿があった。俺の声に気付いた彼女は、泣きながら俺に飛びついて来る。


「幻真ぁ〜!」


「なんだよ、お前らしくない。そんなに怖かったのか?」


「当たり前だよ! 見つけてくれるまで、ずっと暗闇の中にいたんだぞ! それにさっきから楽器の音が聞こえて来るし……この館、誰も住んでいないはず——」


 泣きながら話していた彼女だが、突然言葉を止める。どうしたのかと思っていると、何処からか楽器の音が聞こえて来る。この音は……鍵盤楽器?


 自然とチルノの力が強くなる。俺は彼女を優しく抱きながら、恐る恐る部屋を出る。音はまだ止まない。


 部屋から出ると、音は先程よりも大きくなる。音が聞こえて来るのは、間違いなくこの建物内から。今まで探索した部屋には誰も居ないはず。すると、音は必然的にそれらの部屋以外となる。


 順番に探索すれば見つけられるだろうが、より大きい音が聞こえて来る部屋に行けばいい話。先程の寝室から順に、他の扉へと耳を近付ける。音は確実に近付いている。それに、先程聞こえてきたバイオリンとトランペットの音も聞こえ出している。このまま行けば、一番奥だが……


「幻真……」


「ああ。どうやらここからみたいだな」


 一階は二部屋に分かれていたが、二階は恐らく広い一部屋。中に別室に繋がる扉が無ければだが……


 チルノは俺の体に顔を埋める。彼女をしっかり片手で支え、恐る恐る扉を開ける。顔を覗き込ませながら部屋の中を見渡すが、特に変わった様子もなく、誰も居なかった。気付けば音も止んでいる。


 変だなと、中へ入った瞬間——


「貴方たち、ここに何しに来たの?」


「ぎゃああああ!」


 突然茶髪でショートヘアの女の子の顔が上下逆さまに現れた事に驚き、情け無くも叫びながら来た道を猛スピードで走る。その勢いで外へ飛び出し、館から距離を取った辺りで息を整える。


「はぁ、はぁ、はぁ……い、一体あれはなんだったんだ……」


 チルノを一度地面に下ろしてやり、俺は再び息を整える。しかし、チルノの様子がどうも変だ。まるで何かを指差して……


「館の方面……まさか——」


「お兄さん、突然逃げるなんて酷いよ〜」


 振り返ると、先程の少女が後ろに手を組んで立っていた。よく見ると、彼女は返しのある赤い円錐状の帽子を被っている。帽子の飾りは緑の流れ星だった。


 だが、じっくりと彼女を見てみると、何処かで見たような気がしてならない。ついさっき見た写真に写っていた人物。更に前の事だと、雪春異変の時……そして、鍵盤楽器——


「もしかして、プリズムリバー楽団のリリカ?」


「あれ〜? お兄さん、もしかしてあの時の——」


「ちょっとリリカ? お客さんを驚かしたら駄目でしょ。ビックリして逃げちゃったじゃない」


 彼女に続いて現れたのは、薄い水色髪に全体的に強いウェーブがかかった、軽そうなふんわりした感じの髪質を持つ少女だった。だが、彼女の髪型は非対称で、どうも左側だけ長いようだ。


 頭には円錐状で返しのあるピンクの帽子を被っている。返しの淵には、ここにもフリルが付いおり、また、返しは一箇所に切れ目があるようだ。


 帽子の頂点にある飾りは、青い球体に青い円柱状の棒が何本か突き立っている物体だった。


「ごめんなさい、メルラン姉さん。人間のお客さんだったから、つい驚かしたくなって」


 メルラン……間違いない。彼女はプリズムリバー三姉妹の次女、メルラン・プリズムリバー。その決定的な証拠は、あの中に浮いているトランペット。彼女が得意とする楽器だ。


「貴方たち、練習中に勝手に何処かに行かないで。演奏が合わせられないでしょ?」


 そしてもう一人、髪はほぼストレートな金髪のショートボブヘアで、前髪は少し真ん中分け気味の少女が現れる。また、瞳は金色で少しツリ目気味でキリッとしつつ、パッチリした目つきをしていた。


「あ、ルナサ姉さん。ちょうど良かった。ルナサ姉さんなら、このお兄さんのこと覚えてるんじゃないかな?」


 リリカに言われ、持っていたバイオリンを宙に浮かせてからルナサは俺の顔を覗き込む。彼女との背の差があった為、背伸びをしながら確認していた。


「確か貴方、雪春異変の時に博麗の巫女と一緒にいてたわよね?」


「あ、ああ。俺は幻真だ。自己紹介をしていなかったかもしれないな。面と向かって話すのも初めてだろうし」


 自分の名前を名乗りつつ、彼女に差し出された手を取って握手をする。それにしても、あの館は彼女たちの家なのだろうか。それとも、ただ住み着いているだけなのか……


「君たちは、あの館に住んでいるのか?」


 俺は彼女たちに質問を投げ掛ける。その質問に、ルナサが館を見つめながら答えた。


「ええ、そうよ。元々あの館にはプリズムリバー伯爵とその娘たちが住んでたみたいだけど、マジックアイテムが原因で一家が崩壊してしまったらしいの」


「崩壊してしまった?」


 まるで他人事のような話し方だが、彼女たちは一体……


「私たち、そのマジックアイテムを使って生み出された存在なんだよ。レイラによってね」


 マジックアイテムを使って生み出した? そんな事が出来るなんて、一体どんな道具だったんだろうか。それに、レイラとは誰の事だろうか。


「レイラは家族の思い出がある屋敷と別れる事が出来ずに、あの屋敷に残ったわ。マジックアイテムの力も借りて、最大限の力を以って彼女の姉達の姿を模した私たちを生み出し、その後屋敷はレイラ達ごと幻想郷に転移したの」


「つまり、元々は外の世界に住んでいたのか?


 俺の問いかけに三人は頷く。そして、ルナサが説明を続けた。


「レイラが天寿を全うした後、創造主であり存在の拠り所であった彼女が居なくなった事によって私たちは消える筈だったんだけど、何故か消える事無くこの世に残ったのよね」


「そうそう。その後、私たちは騒霊らしく騒がしくやっていこうって話になって、楽器演奏を習得して演奏隊を始めたんだよ」


 なるほど。つまり、彼女たち騒霊(ポルターガイスト)はレイラという四姉妹の末っ子によって作られた存在であり、彼女たちの創造主が亡くなった事によって消えるはずだったが、何故か消えなかった。そして、この幻想郷らしい生き方をするためにも、演奏隊を始めたってところか。


「……作られたってところあたり、俺と似ているのかもしれないな」


「え?」


 そう呟いた後、空から俺の名前を呼ぶ声が聞こえて来る。そちらを見上げると、妖夢が手を振っていた。周りには大ちゃんたちもいた。


「チルノちゃん、無事でよかったよ! なかなか見つからなくて、心配したんだからね?」


「うう……みんな、ごめん……」


 大ちゃんの言葉に反省の意思を見せるチルノ。流石に今回は参ったようだ。一方の大ちゃんたちも怒る事なく、笑顔でチルノを許した。


「あれ、プリズムリバー楽団の皆さん。こんなところで何をしてらっしゃるんですか?」


 彼女たちに気付いた妖夢が、頭を下げて挨拶をしてから彼女たちに尋ねる。そういや、彼女たちは度々白玉楼に招待されてたんだっけか。と思うと、妖夢や幽々子さんとは関係があるのか。


「いえ、そこのお兄さんと少し。それでは、私たちは演奏の練習があるのでこの辺で」


「また演奏聞かせてくれよな」


 俺の頼みに、彼女たちは勿論と承諾してくれた。俺たちは彼女たちが館へと戻っていくのを見届ける。


「それにしても、チルノは何であんなところに隠れてたんだ? というか、ルール的にアリだったのか?」


 俺の質問にギクッとするチルノ。その問いに、ルーミアが両腕を横に伸ばしながら答えた。


「隠れる場所は霧の湖周辺って言ったのだー」


「で、でも、あの館も霧の湖周辺よ?」


「確かにそうだけど、最初に決めたよ。隠れるのは外だけだって」


 リグルの言葉に何も言い返せなくなったチルノは、再び謝るのであった。

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