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東方人獣妖鬼  作者: 狼天狗
第肆章 新たなチカラ
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第135話 未確認幻想飛行少女

大変お待たせしてしまい、申し訳ありません。

「この不吉な鳴き声は! 古から正体不明と言われてきた謎の妖怪、ぬえの鳴き声!」


「ご名答。私の名は封獣ほうじゅうぬえ。それにしても、魔界まで行ってあの僧侶を助けたかと思ったら、まさか有りもしない幻のUFOをこじ開けて私を追ってくるなんて驚いたわ」


 そう言いながら霊夢の前に現れる一人の少女。


 彼女は黒髪のショートボブで右の後ろ髪だけが外に跳ねた左右非対称の髪型をしており、瞳の色は深紅である。


 服装は裾に赤い渦巻型の模様のある黒地のワンピースで、胸元には赤のリボンが付いていて、更に黒のニーソックスと赤い靴を履いている。


 背中からは赤い鎌のような三枚の右翼と、青いグネグネとした矢印状の左翼が三枚生えていて、なんとも奇抜である。


 手には三又のトライデントのような槍を持っており、腕には蛇が巻き付いていた。


「出たな、謎の飛行妖怪」


「私が人間の前に姿を現すなんて滅多にない事よ? 貴方が余りにも嗅ぎ回るもんだからね。流石、魔界まで行って何事もなかったかのように戻って来ちゃう人間は違うね」


 呆れた様子で侮辱するような台詞を述べる鵺の妖怪。しかし、霊夢は挑発とも言える妖怪の言葉に乗らず、質問をする。


「あのUFOは一体なんなのよ」


「私は飛倉に正体不明のタネを仕込んだの。そのタネは見る者の頭の中で理解できる物へ変換して見せる力がある。つまり、貴方が見たUFOは貴方の想像力の賜物、という事ね」


 彼女の回答に理解はしたものの、完全には納得していない霊夢。そんな疑心暗鬼の彼女は口にする。


「そうなの? 人によって形が違って見えるってにわかに信じがたいわね」


「そうそう、それを言った人間に一度も姿を見せてないのにね。みんなまちまちな表現をするから、私も姿が曖昧な妖怪となってしまう。迷惑極まりない。いや、ありがたいんだけどね」


「ありがたい?」


「正体不明が売りの妖怪として、人間に恐怖を煽る事ができる。さあ、私の正体に気付いた貴方を葬って、正体不明を取り戻さないとね」


 そう言って、構えを作るぬえ。その動きに霊夢は警戒心と共に、お祓い棒を構える。


「む、くるのね! 語り継がれてきた正体不明の妖怪がどれほどのモノか、見せて貰うわよ!」


「夜の恐怖を忘れた人間よ! 正体不明の飛行物体(だんまく)に怯えて死ね‼︎」


 始まる巫女と妖怪の交戦。先行は妖怪。槍を横に薙ぎ払う事によって弾幕を出現させ、勢いに任せて放つ。一方の霊夢は、弧の配置で横に並ぶ弾幕を軽やかに避けつつも、いくつかのお札を放つ。ぬえはその札を薙ぎ払い、スペルカードを宣言する。


「妖雲『平安のダーククラウド』」


 その技は漆黒の雲を放出した後、その雲から光源と共にレーザーと雫弾を発射するといったもの。


 その技に対して、霊夢は攻撃を躱しつつも反撃を試みる。隙を見て放たれる弾幕。だが、あまりにも隙の無い攻撃によって、簡単には手を出せないでいた。


「ふっ、まだまだァ!  正体不明『怨念のレッドUFO襲来』!」


 続いて繰り出された二枚目のスペルカードは、ぬえを中心に赤い大型UFOが召喚され、彼女を中心とした螺旋軌道を描きつつその軌道上に弾幕を配置していく。


 そして、配置された弾幕は一定時間停滞した後、霊夢がいる場所に向けて放たれた。


「ぐっ、このッ!」


 なかなかに珍妙で不可解な攻撃に翻弄され、苦戦を強いられる霊夢。だが、ぬえの攻撃は止まらない。


「あはははっ! まだまだいくよ! 鵺符『鵺的スネークショー』!」


 三枚目のスペルカードは、ぬえがそのままこちらへ向かってくるモノと、一度引き返してから再度こちらへ向かってくるモノと、二種類の緑色のへにょり弾を放つといったもの。


 しかし、難点は弾と弾の隙間がやや狭く、動きも予測しづらいため、焦って位置を間違えると被弾しかねないことである。


「くっ……厄介な技を……!」


 反撃したくても、それを許さないぬえ。そんな彼女の戦法と策略に掛かりなかなか動けない霊夢。そうこう考えながら避けているうちに、次のスペルカードが発動される。


「正体不明『哀愁のブルーUFO襲来』」


 勢いのまま繰り出される四枚目のスペルカードは、ぬえを中心に青い大型UFOが召喚され、ぬえを中心とした螺旋軌道を描きつつレーザーを乱射するといったもの。


 レーザーの発射方向が螺旋の回転方向と同じ方向に回転し、あちこちを移動しながらレーザーを放ってくる。


 そんな捉えきれない移動の速さと、放たれるレーザーに翻弄される霊夢。しかし、終いにはUFOの姿を見失い、彼女に危険が迫る。


「余所見は禁物ってねッ!」


「なっ、しまっ——」


 翻弄され続けた彼女の背後を取ったUFOは、そのまま彼女へと激突。彼女は敗れたかのように思われた。思わず腕で防いでいた彼女は、目を開ける。そして、目にする。真っ二つに切れたUFOを。


「なっ……⁉︎ いったい誰だ!」


「妖怪が倒れていたと思いきや、次は上空で聞こえる戦闘音。里自体から離れてはいるものの、ちょうど俺の家の上空付近だから、うるさくて作業に集中なんてできやしない」


 ぬえの叫び声と共に姿を現わした、剣を片手に持つ一人の男。救われた霊夢は彼の姿を見て、誰であるのかを確認する。


「悪いわね、こんな夜中に」


「近所迷惑にも程がある。俺が変わろう、博麗の巫女」


 そう言って、遮るようにして剣を持った手を横に伸ばす男——想起。それを見たぬえは興味ありげにニシシと笑っていたが、彼が指を鳴らした直後、景色が一転して驚かされる。気付けば、彼らは石造りの建物の天辺らしき場所に立っていた。


「足場……? それに下が見えない、恐らく塔……」


「御名答。変景『雲海の塔』——能力が一つ、"環境と景色を変化させる程度の能力"による効果。無論、景色だけじゃない、環境だって変わる。ここは上空。吹き荒れる風と低気温が襲い掛かる」


 時刻は夜であったため、その分気温は更に低温。氷点下を下回るその気温は、肌寒さだけでは済まなかった。また、霊夢はその景色に見覚えがあった。


 一方のぬえは、この状況でありながら様子を少しも変えず、白い息を吐きながら想起に向かって言った。


「面白い! この状況、悪くない! 本当は彼女を倒したかったけど、気が変わった。お前は面白い。実にユニークだ。だから——私がお前を倒すッ!」


「巫女、お前はこれを着ておけ。体を動かさない分、体温と体力を寒さで余計に奪われる。あと、手は出さなくていい。心配無用だ」


 霊夢は渡された彼の上着を受け取りながら、彼の言葉に頷いた。


 彼は再びぬえへと振り返り、手の指を二回程鳴らして剣を構える。


「言っておくが、遠慮はいらない。その分、俺も本気でいかせてもらうがな」


「はッ! 面白い! その嘗めた口、二度と利けなくしてやるよッ! 鵺符『弾幕キメラ』ッ!」


 彼の維持の強さに興味を惹かれ、それに答えるかのようにしてスペルカードを放つぬえ。


 五枚目のスペルカードは、始めに彼女を中心に放射状にレーザーが放たれ、更に放たれたレーザーは少し進んだ後に停止し、同時にレーザーが一列に並んだ球弾に変化。


 その球弾は一つずつ右回りと左回りの交互に分かれて回転した後、停止すると同時に再びレーザーに戻り、少し進んだ後に停止して球弾に変化。


 このような形で、球弾とレーザーが交互に変化しながら展開されるといったもの。


 空中ではあるものの、塔の天辺という足場のある場所。直線上のその先に空を飛んで攻撃を仕掛けてくる彼女に対し、想起は剣を構えて間合いを縮めていく。一歩二歩と進む毎に速度は加速。気付けば彼はぬえの真上にて剣を振り被っていた。


「なにッ⁉︎ いつの間にそんなとこ——うぐ……」


 攻撃を躱そうとしたものの、衣服の右腕の部分を僅かに斬られてしまう。だが、その場所が痺れのような痛みと共に動かなくなる。


「いたっ……何これ? 痺れて動かない」


「斬符『雷鳥斬』……しばらく右腕は使えない」


 気付けば、彼女の手には先程まで持っていた槍が無かった。運動神経が麻痺した為に、手から離れてしまったのだろう。想起は彼女の目の前まで上昇し、掌を彼女に向ける。


「もう少し楽しみたかったが、条件が悪かったな。悪く思わないでくれ。弾幕『スターオブドライブ』」


 そう言って、放たれる複数の星型の弾幕。それらが高速で彼女へと襲い掛かり、彼女に被弾する——その瞬間、彼女の目の前に緑色をした物体が現れ、彼女を守った。


「ほう……なるほど、そうきたか」


 爆煙の中から現れた緑色のUFOを見て感心する想起。ぬえもまた、UFOを操った左腕を前に伸ばしたまま俯いていた。そして、ニシシッと笑ってみせる。


「正体不明『義心のグリーンUFO襲来』……だけど、油断大敵。UFOだけだと思って安心し切らないこと」


 彼女の忠告に違和感を覚え、辺りを見渡す想起。すると、ぬえの頭上辺りに緑のUFOが一列となって弾幕を放ちつつ現れ、並び終わると同時に想起に向けて緑色のレーザを放ってくる。


 また、緑レーザーに添って波打つような動きのレーザーも放たれ、彼は困惑を強いられる。そんな彼は、UFOに向けて言い放つ。


「くそッ……波動『オールインパクト』」


 その言葉に、次々と破裂していくUFOやレーザー。その一瞬の出来事に、ぬえは呆気に取られた。


「へぇ、驚いた。そんなこともできるんだ。お前、結構有能だな?」


「褒めてくれてるのか? こう見えて頭はキレる方だ。それに、最初に言っただろ? 遠慮はいらない。その代わり、俺も本気でいくとな」


 彼の何一つ表情を変えず発せられたその言葉に、笑いを堪えられなくなるぬえ。彼女は決して彼を馬鹿にして嘲笑っていた訳ではない。ただ——


「最高にクレイジーだな! 本当にッ! まだまだ楽しませてもらうぞ人間! 鵺符『アンディファインドダークネス』ッ!」


 本日七度目の封獣ぬえのスペルカード発動。想起のいる場所に移動しつつ、光弾を空中にばら撒く。それと同時に黒ずんだ闇雲の霧を全方位に放って彼の視界を遮り、普通に避けるよりも回避の難易度を高くさせる。


 闇雲の霧によって見えない想起の姿。流石に不味いと思った霊夢は彼のいる霧の中へと走っていこうとしたが、霧の中から伸ばされた腕によって行動を止められる。そして、彼は彼女に聞こえるほどの声で言った。


「俺が倒れるまで手出しは無用! お前は下がって見守っててくれ!」


 その言葉にどこか懐かしく、彼女にとって思い出深い何かが頭に過ぎった。だが今はそれを思い出せず、その場から再び離れただけであった。


 ようやく晴れる闇雲の霧。月明かりに照らされる天空の塔。そこに佇むボロボロの男。その様子を見たぬえは、高揚感に踊らされるようにして笑う。


「あはははッ! どうやら勝負あったみたいだね! 所詮人間なんてこんなもの! この私に勝てる者なんて誰もいないッ!」


 そんな彼女の言葉に不快感を覚え、いよいよ手を出そうかとした霊夢であったが、ある事に気付いて足を止める。


「想起……あんた……っ!」


「まだ……俺は負けちゃいない……膝を突いていないぞ……満足したから終わりとは……言わせない……」


「へぇ、まだやるの? ここで引き下がるのが賢い選択だと思うけど。そういや貴方、最初に言ったものね。遠慮はいらないって。だったらその約束、最後まで守らせてもらうよッ! 正体不明『恐怖の虹色UFO襲来』ィィ!」


 彼女の怒涛溢れるその言葉と共に、塔の上部から赤・青・緑の三色に点滅する虹色UFOが上から下に向かって一直線に進みつつ、波打つような形で弾幕をばら撒いていく。


 更にばら撒かれた弾幕そのものの軌道は一直線であるが、虹色UFOがひっきりなしに上部から降りてきては弾幕をばら撒くため、結果的に全方向から弾幕が押し寄せてくることになり安定して避けることが困難であるスペルカードである。


 そんな絶体絶命の攻撃に、想起は剣を構い直して呟くようにして言った。


「終斬『殺法幻翠』」


 その直後、彼は斬撃を目の前に数発残し、弾幕に被弾しながらもぬえへと接近。彼女への攻撃を図るが、彼女によって操作されたUFOが彼へと追突した。


 彼はそのまま意識を失って、空の下へと落下。そして、その後彼が最初に残した斬撃が彼女目掛けて飛んでいくが、その斬撃もまたUFOによって無効化。彼の最後の切り札は呆気なく散った。


 彼が気絶した為に景色が一転。その場所が変わっていたのか不明だが、そこは幻想郷の上空であった。


「はっ……想起!」


 景色の変化に見惚れていた霊夢は、地上に落下したであろう彼の元へと駆け付ける。地上に降り立つなり、辺りを見渡して彼を探す。すると、近くの草叢に倒れている人物を発見。


「想起……ごめんなさい、貴方に任せっきりにし過ぎてしまったわね。後は私がやる。貴方はゆっくり休んでて」


 彼女はそう言って、起こした彼の体を再び優しく下ろし、空から降りてくる妖怪へと鋭い目付きで睨みつける。そんな彼女の視線に、またもや高揚感を擽られるぬえ。そして彼女は、不吉な笑みを浮かべながら怒る霊夢へと煽るようにして言った。


「あはッ! その人間、呆気なかったわね。面白いと思ったけれど、所詮は人間。妖怪である私に敵う筈が無い。ふふっ、怒った? 火が付いちゃった? ほら、貴方も私をもっと楽しませて! 『平安京の悪夢』ッ!」


 そう言って、ぬえは狂ったかのようにして平安京の碁盤の目のような弾幕を繰り出してくる。その弾幕が迫り来る中、霊夢は俯いたままでいる。


 その様子を見たぬえは、彼女は諦めたのかと考えたが、その考察は的外れとなる。そして、ぬえは目を見張った。


「なッ⁉︎ その動きはいったい——あがっ……⁉︎」


 驚きと共に走る激痛。その激痛が走った腹部に目をやると、先程放った弾幕を無駄な動きをせずに避けていた霊夢がお祓い棒を突いているのを目の当たりにする。ぬえは痰を吐きつつも、霊夢を蹴り飛ばそうとする。だが、その前に彼女はその場から離れた。


「へ、へぇ……怒ったの? その人間の事を悪く言われて? その人間を酷い目に遭わされて? それとも、貴方自身が煽られて? いったいどうなの⁉︎ 答えてッ!」


「全部ハズレ。あんたねぇ、気持ちが荒ぶり過ぎなのよ。それと、人の気持ちを弄び過ぎよ。少しは他人の事も考えなさいっての。もういいわ、これで終わりにする。霊符『夢想封印』」


 地面に座り込んだまま俯くぬえに、最後の切り札を撃ち込む霊夢。だが、ぬえも簡単には終わらせない。迫り来る弾幕を睨み付け、対抗するようにして最後のスペルカードを発動させた。


「私は負けないッ! 恨弓『源三位頼政の弓』ッ!」


 その技は上方に放たれたレーザー弾が画面外で跳ね返り、落ちてくる最中に米粒弾に分解して弾幕を浴びせかけてくる。


 彼女らは、怒涛の最後を繰り広げた。






「——ま、まさか、幾ら長い間眠っていたからといって、こんな小娘にやられるとは……」


 勝負の結果は霊夢の勝利。無念と言わんばかりに落ち込むぬえ。そんな彼女を煽るようにして、霊夢は言う。


「伝説の妖怪とはいえ、普段姿を表に出したがらない奴はやっぱり大したこと無いわね。弱いからこっそり行動するんでしょ?」


「今まで鳴りを潜めていたのは、地底に閉じ込められていたからよ。その昔、心ない人間にやられたの」


 ふーんと言って腕を組みながら話を聞きつつ、霊夢は問い返した。


「何か悪い事したんでしょ?」


「私はただ怖がらせていただけ。それが妖怪の糧なんだから仕方が無いわ」


「誰だって怖い物は嫌よ。そんな妖怪、退治されて当然だわ」


「だって、肝試しとかやるじゃん。怖い怖いも好きのうちなんじゃないの?」


 彼女の言葉に呆れる霊夢。彼女は溜息混じりに彼女に言う。


「はぁ……それはそれ、これはこれよ」


「あーあ、正体不明の巫女に正体がばれちゃったし、これからどうしようかなぁ」


「取り敢えず、ばら撒いた正体不明のタネを元に戻しなさい。そうすれば、白蓮たちも散らばった飛倉の破片を集めやすくなるでしょう?」


「なんで僧侶の手伝いなんか……」


 そんな不満の言葉を漏らすぬえ。だが、その言葉を聞いた霊夢が、目を丸くして何を言っているのかと言わんばかりに彼女に言う。


「だってあの僧侶、妖怪の味方よ?」


「え?」


「特に、貴方みたいな人間に封印された妖怪の」


 彼女にそう言われ、彼女と同様にして目を丸くするぬえ。だがそれを聞いて、彼女は気不味そうな態度を取る。


「白蓮ってそんな人だったんだ。でも、私はムラサたちが助けだそうとしていたの、つい邪魔しちゃった。飛倉を地上にばら撒いたのも私だし。今更そんな……みんなの前に行けないわ」


「好きにする事ね。一応、封印したりはしないけど。ただ一応言っておくけど、私はあんたの味方じゃないから」


「ふん、人間を怖がらせて楽しむからいいもん」


 不貞腐れながらも、彼女は月夜の空を飛んでいった。彼女が飛んでいくのを見届けた霊夢は、倒れた想起を彼の家へと運ぶ。


「済まないな、巫女。心配と迷惑をかけてしまって。お前は怪我、無いのか?」


「ええ、私は大丈夫よ。寧ろ謝るのはこっちの方。妖怪退治と言う名の私の仕事に付き合わせてしまってごめんなさい。作業中だったにも関わらず……」


「気にするな。それに、体を動かしたかったってのもあったからな。丁度良く体が温まった。これからまた作業に没頭するつもりだ。ほら、お子様はさっさと帰って寝な。お前はまだまだ若いんだから」


 そう言って彼女の頭をポンポンと叩く想起。弄りを混じえた彼の言葉に頰を膨らませて不貞腐れつつも、彼女は扉を開けて彼の家を後にしようとする。そして、彼女は一言添えた。


「あ、あと……巫女じゃなくて霊夢って呼んでよねっ」


 こうして、博麗の巫女は今回もまた仲間たちと共に無事異変を解決したのであった。








「——くそッ! 分が悪すぎるッ!」


 剣を振りながら苦痛の言葉を吐き捨てる男——幻真。いったいなんの分が悪いのか。戦闘において予想されるのは、戦力差であったり、戦法の相性の悪さ。だが、苦痛の原因はこれらでは無い。その最悪な状況とは——




 ——圧倒的人数差。

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