第112話 迎え撃つ者たち
どうも、狼天狗です。
毎度閲覧ありがとうございます。
さて、今回はやっと幻想郷パート。
彼らは悪魔達に立ち向かいます。
〈幻真〉
時は喜響からの連絡があった後。俺はあの暴走化の真相を調べるために、実際にそれを体験した二人の少女の元へと向かっていた。
まずは、最初の暴走化に合ったこいし。彼女に会いに行くため、地霊殿へと足を運んだ。
彼女の住む館へと到着し、扉を開けようとしたその時、背後から奇妙な声が聞こえてきた。
「今……貴方の後ろにいるの……」
慌てて振り返るが、誰もいない。扉の方へ向き直ったその時、目の前に彼女——こいしの姿があった。
「うわぁ⁉︎」
「やいっ。えへへ〜、ビックリした?」
体に飛びつく幼い少女。参ったなと自分の頭を掻きつつ、こいしの頭を撫でてやる。彼女は気持ち良さそうな表情をした。
彼女を見つけられたのは好都合だった。彼女の話を聞く為に、どこで話そうか場所を検討する。すると、館の扉が開いて一人の少女が出てきた。
「あれ、君は……」
「水橋パルスィ。さとり様と用があったのよ。妹を見つけたら連れてきてって——あっ!」
パルスィの視線は、俺の体に抱きついていたこいしへと移る。彼女はパルスィの様子を見て陽気に笑っていた。パルスィの方に視線を戻すと、彼女はなんだか妬んでいるような目付きで俺を見ていた。こいしと同じように、苦笑いで誤魔化した。
館へ入ると、黒に赤色、または紫色と言うべきか、市松模様に彩られた床や、ステンドグラスの天窓が見受けられる。なんだろう、紅魔館とはまた違うな。
すると、奥の方から一人の少女が姿を現した。こいしの姉にして、地霊殿の主——古明地さとり。彼女は心を見透かして話した。
「こいしと同じ被害にあったフランさんとそのお姉さん、レミリアさんもこちらにお越し頂いています」
彼女の能力は知っていた。俺は驚いたが、驚いたのはその事ではない。レミリアたちが地霊殿に来ているという事だ。
その言葉を聞いたパルスィも、彼女に尊重する様に話す。
「だからこの子を探していたのよ。なんだか妬ましい結果になったけど……」
俺は妬む彼女を宥めた。だが、自分にとっては都合が良かった。移動の手間が省けたのだ。パルスィは館を去り、さとりさんの後に続いてこいしと共にレミリアたちの所へ向かう。その途中、さとりさんが話しかけてきた。
「幻真さん、私のことはさとりと呼び捨てで構いません。お気遣いなく」
彼女に言われ反応に困りつつも、把握した。
案内され、とある一室の前に到着する。コンコンとさとりが扉を叩くと、向こうの方から誰かが扉を開いた。その正体は、フランだった。
「あ! さとりさんお帰り! こいしちゃんも一緒だったんだね! って、あれ? 幻兄も来てたんだ!」
自分の名前がフランに呼ばれた直後、部屋の奥からドタドタと人が来る音が響く。フランやさとりを押し退け目の前に現れた人物の正体は、博麗の巫女、霊夢だ。
「幻真! あんた、あれから一体どこに——」
「悪い悪い。友人の家を借りてたのさ。っと、霊夢……あの事は話してないよな?」
霊夢を無理矢理連れ寄せ、質問する。しかし、霊夢は呆れた様子を見せてその事を否定した。
「おいおい霊夢、幻真が無事だったからって興奮しすぎだぜ?」
「一回殴るわよ?」
部屋の中から出てきた魔理沙の言葉に怒りを持ち、拳を握る霊夢。魔理沙は両手を上げて、焦りながらも謝る仕草をして見せる。その様子に皆は笑っていた。
「取り敢えず、中へ」
さとりに言われ、部屋の中へと入る。そこには、紅茶を清らかに美しく飲むレミリアの姿があった。
「待ってたわよ。さあ……"作戦"を練りましょうか」
〈犬走椛〉
現在、私は妖怪の山の警備のために巡回中。侵入者などは見当たらない。今日も平和、そう思っていた。
木々の生い茂る中、突如として背後に現れた着物を着た一人の人物。その者から、とんでもない程の傲慢さを感じた。
直ぐに臨戦態勢へと入るため、腰に備えていた天狗式・秋松月を抜いて構える。そして、相手へと剣尖を向けて威嚇する。一方の相手は、金色の炎を纏ったお札を指に挟み、戦闘体勢へと入った。
歯をギリッと鳴らし、地面を蹴って相手へ斬りかかる。飛ばされるお札を斬っては、前へ進み続ける。この相手から感じるこの感覚……一度似たような感じで、目の当たりにした事があるはず。
「……暴走か」
しかし、今回の相手は力を乱用はしていない。つまり、暴走とは形の違うモノ。この異常な落ち着き様……操られていると言うべきか。
斬撃が入りそうな所で、お札による効果なのか、結界が張られ攻撃が防がれてしまう。一度距離を開けて、再び攻撃をしようと試みる。だが、油断した。足元にはいつの間にかお札が仕込んであり、その罠に引かかって起爆してしまう。
「うあっ!」
一箇所だけではなかったその罠は、連鎖を起こして全てのお札に対して衝撃が加わり起爆する。どうにかこの状況を打破しなければ……!
「終わりじゃ」
その人物が言葉を発した直後、一札のお札が私目掛けて投げられる。空中に吹き飛ばされていた私は、身動きが取れずにどうする事もできなかった。ここで終わるのか。そう思った——その直後。
自分の体はお札の爆発を受ける事なく、はたまた地面にも無かった。そう、自分は空中でとある人物に助けられていた。
——射命丸文。
「あやや〜、大丈夫? 椛」
彼女は暢気そうな口調で心配し、カメラを片手に持って問いかける。思わず笑ってしまった私に対し、彼女は不思議そうにこちらの顔を除いていた。
「頭おかしくなっちゃたの?」
「違います〜! コホン……文さん、その……」
「もちろん、端からその気で助けたのよ? 私が相手の注意を引くから、貴方は身を隠しつつ攻撃してちょうだい。私のスピード、嘗めてもらっちゃ困るわよ」
彼女の頼もしさから、私は強く頷く。そして、それぞれの作戦を実行するために一度別れる。文さんに抱かれていた私は手を離され、地面へと着地した。そして、刀を構え直して木の陰へと身を潜める
「ほらほら、こっちですよ! 『無双風神』!」
文さんは空を飛び交いつつ、大量の米弾を相手へと降らせる。その時の彼女はレーザーとしか確認できないため、攻撃は当たらない。後は米弾に紛れて斬撃を与えるのみ。
「小癪な真似を……狐符『天地開闢』」
そのスペルカードが発動された直後、地面と空が分からなくされてしまう。なんて強力なんだ。このままでは感覚が狂ってしまう。なんとかしなければ——
そう思ったその時。一つの玉が、敵目掛けて飛んでいく。それに気付いた相手は咄嗟にお札で結界を貼るも、結界は砕かれ、相手へ直撃した。
その威力は、まるで鋼鉄の鉄球玉。その正体は、一度どこかで見た事がある陰陽玉。
すると、地形が元に戻る。私は地面に立っていた。同様に文さんも空中から降りて来て、先程の光景を思い出す。
「今のは一体……」
首を傾げながら考えていると、苦しむ敵に歩み寄る、一人の影が目に入る。刀を横に振り、弾幕を飛ばす。しかし、その弾幕は効かなかった——否、干渉を受けなかったと言うべきか。
こちらに振り向いた影は、黒いアンダーウェアの様なものに博麗の巫女服を纏っていた。となると、あの少女は博麗家の者……?
緊張感を持ちつつ冷汗を流す。少女はゆっくりと一歩ずつ近付いてくる。下がろうとしたその時、彼女は既に目の前にいた。
円らな瞳を覗かせ、興味深く私の体を見てくる。ゴクリ……と息を飲み込み、その様子を見守る。
「あんた……犬走椛ね。私に敵意を見せてるの?」
彼女から感じる威圧感に押し倒され、尻餅をついてしまう。すると、文さんが彼女に話しかけた。
「どうもどうも、私、射命丸文と申します。名前を伺ってもいいでしょうか?」
「……霊奈。博麗霊奈」
驚いた。名字からして博麗家の者。でも、霊夢さんに娘がいた覚えはない。となると、これは一体……
「いや〜、素晴らしい強さを持っておられるんですね。でも貴方、もしかするとこの世界の者では無いんじゃないですか?」
その言葉に私は驚いた。文さんも同じ事を考えていたようだ。やはり、そういった話なのだろうか。
「それを教えてどうするつもり?」
「ただの確認です。貴方が味方だと心強いのですが、同様に敵だと困るといいますか……」
「興味無いわ。私は独断で動くから」
彼女は背を向けてその場を去ろうとするが、もう一言添えた。
「千代春……その娘を運んであげて。洗脳は気絶させたら解けると思うから」
彼女はそれだけ言い残して、どこかへ消えてしまった。
私は文さんに差し伸べられた手を取り、体を起こす。衣服についた汚れを払い落とし、一つ溜息を吐く。文さんの方を見ると、千代春と呼ばれた少女を担いで話しかけてきた。
「どこかで休ませましょう」
「でしたら、狼さんの家とかどうですか?」
〈幻真〉
「幻兄幻兄! 早く早く!」
俺を急かす声の主はフラン。全く、気楽でいいな。こっちはとても緊張しているというのに。
「お兄さん、リラックスしよ!」
緊張を解そうとしてくれるのは、こいし。この子もまた気楽だった。
「なんでこうなったのかね〜」
箒を片手に呆れる様子を見せながら言う魔理沙。いくらレミリアの提案だからって、この編成はどうなのだろうか。戦力としては劣らないのかもしれないが。
因みに、今向かっているのは霧の湖。ここで敵を迎え撃つ。俺たちの代わりに、紫さんが幻想郷の住民たちに声を掛けている。一方でレミリアたちが向かっているのは、紅魔館だった。
すると、突如として大きな気を感じる。それと同時に、ある感情も押し寄せる。
目の前に現れたのは俺のよく知る人物であり、一度酷い目にも合わされた人物——
「——悠飛」
今回登場した博麗 霊奈。
異様な感じで登場しましたが、この先彼女はどう関わってくるのでしょうか。




