表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方人獣妖鬼  作者: 狼天狗
第壱章 龍使い
11/155

第11話 紅霧異変解決

 〈博麗霊夢〉



 まったく……幻真と魔理沙はどこに行ったのかしら? ちなみに私は今、エントランスらしき場所にいる。


「紅魔館へようこそ——」


 突然、上の方から声がした。そちらに視線を向けると、そこにはメイド服を着た少女が立っていた。


「——そしてさようなら、博麗の巫女」


 そのメイドは突如としてナイフを投げてきた。私は素早く避ける。


「へぇ〜、あんた、ナイフ使いなのね」


 私が確かめるようにしてそう言うと、目の前にいたはずのメイドがいつの間にか隣に移動していた。私は素早く彼女との距離を取る。


「申し遅れたわね。私は十六夜いざよい咲夜さくや。当館のお嬢様に仕えるメイドよ。私の使命は、あなたをお嬢様のところへ行かせないこと」


 お嬢様に仕えるメイドね……お嬢様ってところを聞くと、そいつがこの異変の元凶かしら?


「そのお嬢様に会わせてほしいんだけど」


 しかし、彼女は何も答えず、いつの間にか持っていたナイフを投げてくる。


「無理に決まってるでしょ? お嬢様の計画の邪魔はさせないわ。幻世『ザ・ワールド』」


 なっ……! 時が止まって……!


「——時を止めたのよ。まぁ、今のあなたに言っても聞こえていないだろうけど。解除——って、なに⁉︎ 今の攻撃を躱したって言うの⁉︎」


 目の前に現れた大量のナイフを、私は躱す。そして、私は気づく。


 彼女からしたら、止まっている時も彼女の歩んだ時。私からすれば、まるで時が飛んだような感覚に陥る。だけど、時が止まっているからってその間に攻撃を与えることは不可能。



 ――あなたの能力、見切ったわよ。



「あなたは時間を操れるのね」


「……そうよ。私の能力は『時間を操る程度の能力』。時間を止めたりすることができるわ」


 やっぱりね。厄介な能力だわ。


 彼女の元に瞬時に移動するとともに唱えておいた夢想封印を、彼女の目の前で発動した。鮮やかな弾幕が、彼女を襲う。


「お嬢様……すみません……」








 〈幻真〉



 チッ……この子、なかなか強いな。


「ぼーっとしてたら死んじゃうよ〜! 禁弾『スターボウブレイク』!」


 フランが色とりどりの中ぐらいの弾幕を飛ばしてくる。俺も反撃するようにスペルカードを発動させる。


「炎符『炎之勾玉(フレイムジュエル)』」


 彼女が飛ばしてきた弾幕と、俺が放った勾玉形の弾幕が互いにぶつかり合う。魔力は大丈夫そうかな。霊力を変換して補えば大丈夫だろう。


「むぅ、なかなかやるわね! それなら、次はこれよ! 禁忌『カゴメカゴメ』!」


 彼女はライン状に並んだ丸弾を飛ばし、大玉をぶつけては崩して拡散する。俺はそれらの弾幕を素早く避ける。


「さすが、ここの館主のお嬢様とやらの妹様だな」


「ふふ、なあに? 改まっちゃって」


 手を後ろに組んで可愛げに言うフラン。さて、どうしたものか。魔力は大丈夫なんだが……というか、ここは館のどこなんだろうか。気にしながらも、フランに視線を向け直して言った。


「さあて、妹様……続きをしましょうか」








 〈博麗霊夢〉



「ここかしらね」


 扉を開けると、上品な雰囲気を出す部屋があった。そして目の前には、ひとりの少女の姿もあった。


「よくここまで辿りついたわね、博麗の巫女」


 私に声をかけてきた少女は、玉座のような椅子に足を組んで座っていた。水色の髪に白と赤が混じった帽子をかぶっており、背中には何かの生物のモノであろう羽が付いていた。


「ふーん、あんたが噂のお嬢様ね」


「悪いけど、幻想郷は私が支配させてもらうわよ。阻止しようとするなら問答無用で倒すだけ。天罰『スターオブダビデ』」


 彼女は丸弾とリング弾を飛ばしてくる。


「夢符『二重結界』」


 私は攻撃を防ぐために、結界を展開する。


「ふーん、思ったより楽しめそう。それならこれよ。紅符『スカーレットシュート』」


 今度は中弾と小弾を大弾に付随させ、連続で飛ばしてくる。


「迎え撃つ! 霊符『夢想封印』!」


 弾幕はぶつかり合い、爆発を起こした。








 〈幻真〉



「なかなか……やるわね……」


 はぁ、はぁ……クソッ、しぶといな。こうなったら次で決めてやる!


「魔力最大!」


「ふーん、次で決める気ね!」


 ありったけの霊力を魔力に変換。炎龍、頼むぞ!


「龍符『炎龍』!」


 俺は炎龍を召喚する。魔力を最大限に引き出しているため、いつもより炎を纏っていた。


「行くぞ! 龍符『七方神炎龍』!」


「禁弾『過去を刻む時計』!」


 フランは青い回転十字レーザーと、赤弾が組み合わされたスペルカードを唱える。俺は七匹の炎龍を七方に放つ。七匹の龍は彼女の弾幕を打ち消し、そのまま彼女に直行した。


「そんなっ……! 私の、負け……」








 〈博麗霊夢〉



 場所は変わって外。


「霊夢〜、頑張れ〜」


 紅魔館は、現在行われている弾幕ごっこによってボロボロになっており、下のほ方では魔理沙が応援していた。その近くに赤い髪の少女と、魔法使いらしき少女、そしてメイドの咲夜が倒れていた。


「博麗の巫女、なかなかやるわね」


「それで呼ぶのやめてくれる? 霊夢で良いわよ」


 私が名乗ったことによって思い出したのか、彼女はいまさら自己紹介をしてきた。名前はレミリア・スカーレット。純粋なる吸血鬼だとか言ってたけど、私には関係ない。


「さて、次で終わりにしましょうか。覚悟しなさい。紅符『スカーレットマイスタ』」


 彼女はさきほどのスペルより強化されたものを唱える。


「霊符『夢想封印』!」


 私は霊力を最大限に引き出し、スペルカードを唱える。結果、私のスペルが一枚上手だったことにより、弾幕はレミリアに直撃した。


「私が……負けるだなんて……!」








 〈幻真〉



「はぁ、はぁ……ヤバ……」


 俺が倒れかけたところに、霊夢が肩を貸す。


「霊夢か……サンキュー……」


「あんた、無茶しすぎよ」


 すると、魔理沙が駆け足で寄ってきた。


「空を見ろ! 霧が晴れていくんだぜ!」


 空は先ほどのおぞましい景色とは一変し、雲の隙間からは日が差し込んでいた。


「紅魔館……ボロボロになってしまったな」


「そうね、修復でも手伝ってあげようかしら」


「そうしてもらえると……ありがたいわ……」


 メイド服を着た少女が立ち上がって言った。


「あら、メイドじゃないの。目を覚ましたのね」


「なんとかね……それで、手伝ってくれるのかしら?」


「俺は、いいですよ……たぶん、すぐに回復すると思うので——」


「幻真!」


 俺は意識を失った。。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ